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BATTERY

草海、三宮、陶久-須田

戦評COMMENT

勝利の鐘が大きな音を立てて鳴り響いたのは3回裏だ。まずは、イニングの先頭となった8番市根井隆成がレフト前ヒットで出塁する。2年目の市根井にしてみれば、東京ドーム初スタメンにして初打席でのヒット。2回裏まで相手の先発右腕に完璧に近い投球をされていた中で生まれたヒットに三塁側ベンチは活気づいた。一死後、1番本間諒にセンター前ヒットが飛び出してチャンス拡大。打順が1回戦の5番から1番に繰り上がった左の強打者が、つなぎの打撃に徹した。一死一、二塁の好機では、2番・大内信之介(JPアセット証券からの補強選手)が大仕事をする。1ボール1ストライクからの3球目、内角をつく143キロのストレートを完璧にとらえた打球はライト前へ。代走の二塁走者・植田匡哉がホームへ還り、大きな先取点が入った。大内は言う。

「1打席目は全球がストレートの中で空振り三振に倒れていたので、2打席目は絶対に打ってやろうと思っていました。また強いボールで勝負してくるだろうと思っていたので、少し早めにタイミングを取って振り抜きました」

なおも一死一、三塁と好機が続く中で、貴重な追加点を叩き出したのは3番・小野田俊介(東京ガスからの補強選手)のバットだ。2球目の変化球にうまく反応した小野田の打球は、左中間フェンスに直撃する二塁打に。三塁走者の本間に続き、一塁走者の大内までもが一気にホームを陥れて3点目が入る。小野田は「ベンチを見たら、西田(真二)監督が鬼の形相をしていたので、打たないといけないなと思った」と言い、会心の一打を振り返って笑みをこぼした。その後も相手バッテリーのミスに乗じて1点を追加したチームは、3回裏のスコアボードに勝利を大きく手繰り寄せる4点を刻んだ。

そのビッグイニングをもたらしたのは、3回表までピンチを迎えながらも要所を締めた先発・草海光貴のピッチングだ。1回表を三者凡退に抑えた草海は、2回表に先頭の4番打者にセンター前ヒット、5番打者に四球を与え、さらに犠打で一死二、三塁とピンチを迎える。だが、その苦しい場面で1回戦で6回途中無失点の好投を見せた右腕が本領を発揮。チェンジアップやツーシームをうまく使い、そして140キロ台のストレートをコーナーにきっちりと決め、2者連続三振で無失点に抑えた。その粘投を引き出したのが捕手の須田凌平だ。

「打者の目線をずらしながらの配球。草海はよく投げてくれた」

3回表も二死からレフト前ヒットと2四球で満塁のピンチを迎えるも、5番打者をショートゴロに討ち取り、やはり得点を与えない。相手に傾きかけた流れを食い止め、直後の猛攻につなげた。

5回表に2点を返されて一度は重い空気が流れたが、6回以降は2番手の三宮舜(明治安田生命からの補強選手)、8回表からは陶久亮太が危なげない投球で相手打線の反撃の芽を摘んだ。試合後に西田監督は言った。

「あと1、2点の追加点があればなお良かったと思いますが、それはそれとして……。とにかく一戦必勝でこれからも戦っていくだけです」

ベスト4だった2018年以来、2年ぶりに8強進出を決めたチームは、これからも貪欲に高みを目指す。

 

文:佐々木 亨

写真:政川 慎治