• TEAM T
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • R
  • H
  • E
  • Honda H
  • 0
  • 0
  • 1
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 1
  • 4
  • 6
  • 8
  • 0
  • セガサミー
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 2
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 2
  • 7
  • 1

BATTERY

草海、三宮、陶久、横田-須田

HOMERUN

小野田(6回)、根岸(6回)

INFO

大会規定により10回からタイブレーク

戦評COMMENT

3回表に先発の草海光貴がソロホームランを浴び、今大会4試合目にして初めて先取点を奪われる。それでも、準々決勝までの勢いは伊達ではない。積み重ねてきた実力で相手を呑み込んだのは6回裏。一死から、3番小野田俊介(東京ガスからの補強選手)が初球を左翼席中段に運んで、まずは同点。さらに4番根岸晃太郎がカウント3ボール1ストライクからの5球目、高めに浮いたツーシームを豪快に振り抜き、喜びを爆発させた。

2者連続となる勝ち越しのソロホームラン。右翼席最前列に飛び込む一発は、4番としての意地でもあった。

「小野田さんが(同点のホームランを)打ってくれて気持ちが楽になった。うまく逆方向へ打てた」

6回を投げて1失点にまとめた草海の後を受け、7回表から登板したのは左腕の三宮舜(明治安田生命からの補強選手)だ。準々決勝までのチーム防御率は0・33。その数字は、先発投手もさることながら、中継ぎ、抑えを務める投手陣の安定感がもたらしたもの。終盤からの継投は、盤石の勝利の方程式だった。7回表は、先頭打者にレフト前ヒットを浴びるも、後続の犠打に対して三宮が好フィールディングを見せて得点圏への進塁を許さない。6番打者は、3球勝負での見逃し三振。7番打者に二塁手・大内信之介(JPアセット証券からの補強選手)への内野安打を浴びて二死一、二塁、さらに8番打者にレフト前ヒットを浴びて、あわや「同点か」というシーンを迎えた。そのピンチを救ったのは、1回裏にチーム初安打となるセンター前ヒットを放ち、チームの士気を高めた左翼手の本間諒だ。守備位置は、やや深めだっただろうか。それでも、打球を素早く処理した本間は、ホームへダイレクト送球。セーフか、それともアウトか。微妙な判定にはなったが、送球をしっかりと受け止めた捕手・須田凌平が喜びを爆発させると、スコアボードの7回表に「0」が刻まれた。野手の好プレーにも支えられながら、三宮が相手の流れを食い止めた。

8回表からは抑えとしてフル稼働する陶久亮太だ。二死からライト前ヒットと死球で一、二塁のピンチを迎えるも、Hondaの4番佐藤竜彦選手を空振り三振に仕留めて無失点で切り抜ける。だが、1点リードで迎えた9回表、一死から一塁手・根岸のまさかの失策で出塁を許すと、雲行きが怪しくなった。序盤にソロホームランと7回表に内野安打を放ち、打撃好調の7番打者には右中間への二塁打だ。後続は、カウント3ボールとなった時点で申告敬遠。満塁のピンチを迎えた。すると、9番打者には初球を左中間へ。痛烈な打球を左翼手・本間がダイレクトで好捕して大量失点にこそならなかったが、土壇場に犠飛で同点に追いつかれた。

さらに悪夢は続く。一死満塁の選択打順から始まるタイブレークに突入した延長10回表には、二死から4番佐藤選手にバックスクリーンへ飛び込む満塁ホームラン。瞬く間に点差を4点に広げられた。

「二死になって『抑えたい』という気持ちが出てしまった……」

右打者の懐をつくツーシームが真ん中に甘く入ってしまったことを陶久は悔やむのだ。

10回裏の攻撃を、ソロホームランを打っていた3番小野田と4番根岸がともに空振り

三振に倒れて終えると、その瞬間は訪れた。準決勝敗退――。2年前の壁を、今年も乗り越えることはできなかった。それでも、西田真二監督は選手たちを労った。

「大会を通じて投手陣はよく投げてくれましたし、今日は小野田、根岸とチームに勢いをつけるホームラン。セガサミーらしい攻撃だったと思います。二次予選の初戦で5本のホームランを打ちながらJR東日本に負けた。そこからよく踏ん張って本大会に第3代表として出場。東京ドームでは、初戦でトヨタ自動車に勝って強豪がひしめくAブロックを勝ち抜き、準決勝まで進んだ。選手たちは本当に頑張ったと思います」

3位チームに贈られる黄獅子旗を手にしたチームは、あと一歩届かなかった都市対抗決勝の舞台を目指す。東京ドームでの4試合は大きな財産。試合後に溢れた陶久の涙が、きっと無駄ではなかったことを証明するためにも。

 

文:佐々木 亨

写真:政川 慎治