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BATTERY

森井、横山-吉田
横山、石垣、陶久-須田

戦評COMMENT

総力戦で勝利を掴み取る――試合前から、その空気は十分に伝わった。

新型コロナウイルスの影響で同ブロックの2チームが大会出場を辞退し、リーグ戦の戦いは1試合のみ。つまり、パナソニックとの初戦が決勝トーナメント進出をかけた大一番となった。負けられない試合で先発マウンドを託されたのは、右腕の森井絃斗だ。1回表の先頭打者を、最後は自己最速にあと1キロと迫る151キロのストレートで見逃し三振に仕留めたピッチングに、森井の気迫を感じた。しかし、その後はコントロールに苦しむ。二死後、3番打者から3者連続で四球を与えて満塁のピンチを迎えた。試合後、「独特の雰囲気の中で緊張して力んでしまった」と森井が言うように、「勝ちたい」という気迫が少しだけ空回りし、本来のピッチングが影を潜めた。1回表のピンチを何とかしのぎ、2回表も走者を背負いながら無失点で切り抜けたが、両チーム無得点で迎えた3回表、ついに相手打線につかまった。イニングの先頭となった2番打者に二塁打、続く3番打者には詰まりながらも一、二塁間へ運ばれて無死一、三塁と攻め立てられる。一死後、5番打者の打球は遊撃手・中川智裕の後方に飛んだ。わかさスタジアム京都の上空を舞う風が、打球の行方を惑わす。懸命に前進する中堅手・市根井隆成と中川の間に飛球がポトリと落ち、三塁走者がホームを駆け抜けて1点を先制された。不運な打球、そして失点だった。それでも、森井はこう言うのだ。

「ピンチを迎え、あそこは三振を取らなければいけない場面。フォークをとらえられた打球も、防ぐことはできたはず。防げる要素は、たくさんありました。打たれた自分の責任です」

結局、3イニングスを投げ切ったが、序盤で降板した右腕。わずか1失点も、この日、22回目のバースデーを迎えた森井にとっては苦いマウンドとなった。

それでも、この試合の重要性を知る一塁側ベンチが、沈むことはなかった。むしろ、先取点を奪われ、勝利への執念は加速しただろうか。3回裏は、イニングの先頭となった1番根岸晃太郎が左越え二塁打。第一打席のレフト前ヒットに続く出塁で、反撃の火蓋は切られた。2番北川智也がライト前ヒットで続き、無死一、三塁。後続が倒れて二死となるが、5番本間諒がフルカウントから一、二塁間を抜ける適時打を放ち、試合を振り出しに戻した。4回裏は、一死から8番市根井が左中間へ二塁打を放ち、代打の9番政野寛明が初球を右翼線へ運ぶ適時二塁打を放って勝ち越した。さらに二死一、三塁のチャンスで3番中川が詰まりながらもセンター前へ運んで点差は広がった。5回裏には二死からの連打で1点、そして7回裏には相手の失策で2点を加えた打線。試合の主導権を奪い返してからの攻撃には、力強さがあった。

投げては、森井からマウンドを譲り受けた横山楓の快投だ。4回表からの4イニングスを投げて、打たれたヒットはわずかに2本。140キロ台後半のストレートと決め球に使ったフォークボールが冴えて、パナソニック打線につけ入る隙を与えなかった。8回表は石垣永悟が、9回表は陶久亮太が無失点に抑える完璧なリレーも決まり、リーグ戦の“大事な試合”を制した。西田真二監督は言う。

「打線は、本間が同点打、代打の政野が勝ち越し打と、それぞれがしっかりと打ってくれた。投手陣では、森井が少し制球に苦しみましたが、横山が成長している姿を見せてくれましたね」

投打すべてにおいて勝利への執念を見せたチームは、4日後の4月29日に行われる決勝トーナメント進出を早々に決めた。

 

文・写真:佐々木 亨