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BATTERY

陶久、横山-吉田
横山、石垣-須田

HOMERUN

澤良木(3回ソロ)、北阪(3回ソロ)

戦評COMMENT

「序盤、流れはウチにあった」

西田真二監督の言葉通り、早々に主導権を握って試合の流れを引き寄せた。

2回表、イニングの先頭となった4番澤良木喬之のセンター前ヒットが口火だ。5番北阪真規がライト前ヒットで続き、無死一、二塁。後続が倒れて二死となるが、8番吉田高彰が初球をライト前へ運び、二塁走者の北阪がホームを陥れて先取点を奪った。なおも二、三塁の好機で、9番市根井隆成が左中間を深々とやぶる二塁打を放って2点を追加。二死からの複数得点に三塁側ベンチは湧いた。

3回表も二死からの得点だ。4番澤良木が、フルカウントからの6球目を右中間スタンドに運んで4点目。

「打った球は真ん中低目のチェンジアップ。長打狙いで思い切りいった」

コーチ兼任の頼れるベテランの一振りが、高まる士気を加速させる。その豪快弾に感化されたのが5番北阪だ。3ボール1ストライクからの5球目を迷いなく振り抜いた打球が、ライトスタンドに吸い込まれる。雲が立ち込めるほっともっとフィールド神戸の空にかけた2者連続のソロアーチは、チームに大きな勇気を与えるものだった。

投げては、先発の陶久亮太が粘りのピッチングだ。2回裏に併殺崩れの間に点を奪われるものの、序盤はその1失点のみ。「3年ぶりぐらいの公式戦での先発」と苦笑いを浮かべる陶久に対し、「キャリアと安定感で陶久を先発に」とは西田監督。30歳右腕の粘投もまた、序盤に流れが舞い込んだ要因の一つと言えるだろう。

ただ、中盤から終盤にかけてはNTT西日本の反撃に苦しめられる。5回裏は一死二、三塁から5番打者にレフト前ヒットを浴びて2失点。2点差に詰め寄られたところで陶久は降板した。8回裏には、2番手で登板していた横山楓が先頭打者への死球に続き、7番打者にライトへの三塁打を浴びて1失点。さらに9番打者に犠飛を浴びて1失点。6回裏の先頭打者から5者連続三振を記録するなど好投を見せていた横山が相手打線につかまり、ついに同点とされた。

それでも9回表、攻撃陣の勝利への執念が相手チームを上回る。6回裏の守備から出場していた7番本間諒が三塁線を痛烈に抜ける二塁打で出塁。8番須田凌平が犠打を決めて走者を三塁へ進めた。二死後、快音を響かせたのは1番根岸晃太郎だ。2ボール1ストライクからの4球目をライト前へ弾き返す。チームとして12安打目は、値千金の勝ち越し打となった。9回裏は、新守護神の石垣永悟がマウンドで仁王立ちだ。先頭打者をレフトフライに討ち取り、続く3番打者は144キロのストレートで空振り三振に仕留める。4番打者には四球を与えたが、最後は「(相手の盗塁は)頭にあった」という捕手の須田が二塁盗塁を阻止してゲームセット。日本選手権における5大会ぶりの勝利を手にした。西田監督は言う。

「試合を通じて経験者や打つべき人が、しっかりと打ってくれた。最後は根岸が二死からよく打ってくれた。勝ち切ったのは大きいですね」

得点シーンはすべて二死から。攻撃陣の「ここ一番」での集中力と勝負強さが光った初戦。決勝打を放った根岸は、次戦以降に向けて力強い言葉を残した。

「一戦必勝。一戦一戦、セガサミーの野球をやっていきたい」

 

文:佐々木  亨

写真:政川  慎治