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BATTERY

草海、氏家、陶久、横田、石垣-須田

HOMERUN

北川(1回2ラン)、植田(18回ソロ)

戦評COMMENT

神宮の夜空に舞った。いや、漆黒の闇を切り裂いたという表現のほうがいいだろうか。

勝ちたい――。

その執念が宿った強烈な一打が、明治神宮球場のレフトスタンドに吸い込まれた。

両チーム3点ずつを奪い合い、延長に入ってからは膠着状態が続いていた18回表だ。午後5時59分に試合が動き出してから、実に5時間以上が過ぎている。球場利用の制限時間が迫り、延長18回の攻防でも決着がつかない場合は引き分け再試合が決まっていた。相手のマウンドには、9回表からJR東日本の3番手として登板していた山田龍聖投手がいる。プロ野球ドラフト会議も行われたこの日、試合途中に巨人から2位指名を受けていた左腕だ。実力者に対して延長15回表まではノーヒット。延長16回表に1番植田匡哉が技ありのレフト前ヒット、続く17回表に二死から3番本間諒が特大の中越え三塁打を放ったとは言え、気持ちのこもった投球の前に得点を挙げることができずにいた。

“最後の攻撃”も、イニングの先頭となった9番砂川哲平が初球を打ってライトフライ。7回表に相手の2番手である西田光汰投手から同点打となる右中間三塁打を放っていた砂川でさえも、最後まで好左腕を攻略することができなかった。一死となり、打席に1番植田が向かう。初球はファウル。ボール球が3球続いて、カウントは3ボール1ストライク。運命の一球は、山田投手が植田に対して投じた5球目だった。140キロのストレートに対し、右打席に立つ植田のフルスイングが勝る。一瞬、球場全体が静まり返った。ボールがレフトスタンドに着弾して、歓喜の声が広がったのは一塁側だ。体いっぱいに喜びを表現して一塁側ベンチに戻ってきた植田を、満面の笑みを浮かべるチームメイトが迎え入れた。

苦境は何度となくあった。1回表に2番北川智也のライトスタンドに突き刺さる2ラン本塁打で先制し、先発の草海光貴が4回裏まで被安打1の無四球無失点の展開は理想的だった。だが、5回裏にスクイズも絡められながら2点を奪われ、6回裏に先頭打者の死球を皮切りにタイムリーヒットを浴びた中盤以降はピンチの連続だ。同点に追いついた直後の7回裏には、一死一、三塁で重盗を仕掛けられる。だが、そのシーンでは捕手・須田凌平がチームを救う。一塁走者のスタートと同時に、ホームを狙ってわずかに歩を進める三塁走者の動きを見逃さなかった。三塁手の砂川へ送球してタッチアウト。なおも続いた二死二塁のピンチでは、左翼手の本間が魅せる。9番打者のレフト前ヒットで一気にホームを狙う二塁走者。打球を処理した本間のホームへのダイレクト返球が、相手の勝ち越しを許さなかった。延長戦に突入して一死満塁のピンチを迎えた10回裏は、8回途中から登板していた陶久亮太が一塁手から捕手、そして再び一塁手へボールが渡る併殺打で切り抜ける。さらに13回裏は、3番手で登板した横田哲が二死満塁のピンチを凌ぐ。15回裏には、三塁側フェンスに激突しながら執念でファウルフライを好捕した砂川のプレーもあった。サヨナラのピンチを迎えても、最後まで諦めずに守り抜く選手たちの姿が、そこにはあった。

耐えて凌いだ先にあった18回表の勝ち越し劇。その裏のマウンドでは、抑えの石垣永悟が仁王立ちだ。先頭打者に二塁への内野安打を浴びるも、新・守護神が動揺することはなかった。センターフライ、空振り三振で二死を奪う。7番打者に対しては全球ストレートでの勝負だ。145キロ、147キロのストレートで空振りを奪い2ストライク。1ボールを挟んだ4球目には150キロをマークする気迫のストレート。フルカウントからの6球目、最後は148キロのストレートでレフトフライに。日付が変わろうとしていた23時22分、長く、険しい戦いとなった5時間23分の激闘に終止符が打たれた。

東京都第三代表である。歓喜の続きは、2年連続12回目の出場となる東京ドームでの都市対抗野球大会。昨年の同大会でベスト4だったチームは、再び日本一を目指す戦いに向かう。

 

文:佐々木  亨

写真:政川  慎治