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BATTERY

舘、 井上、 伊波 - 吉田
氏家 、 石垣- 須田

HOMERUN

根岸(4回3ラン) 、 平田(8回ソロ)

戦評COMMENT

一球一球に熱い想いを込める。マウンド上で声を張り上げ、自らとチームを鼓舞し続ける。序盤2イニングスを完璧に抑えた先発の舘和弥に、心を揺さぶられた。初ヒットを許した3回表に先取点を奪われたが、強い気持ちを再び取り戻した舘は4回表を2つの空振り三振を含む三者凡退に抑えた。その姿を無駄にはできない。

攻撃陣が反撃に転じたのは4回裏だ。イニングの先頭となった2番片岡大和が、技ありのレフト前ヒットで出塁する。3番黒川高章もレフト前ヒットで続き、無死一、二塁。そのチャンスで打席に立ったのは、4番根岸晃太郎だ。前日の1回戦ではスタメンを外れるなど、体の状態は決して万全ではない。状況を考えれば、犠打も考えられた。打席に入る直前、根岸は西田真二監督と言葉を交わしている。「自分が犠牲(犠打)になります」。根岸の言葉に、西田監督は「いや、打て」と言い返した。4番としてのプライドと実力を指揮官は信じた。

初球だった。136キロのストレートをとらえた打球が、大田スタジアムの上空に舞った。レフトスタンドへ一直線に伸びる弾道。打球を追う左翼手の足が止まり、レフトスタンドの芝に打球が跳ねると、一塁側ベンチに歓喜の声が広がった。逆転の3ラン本塁打である。

5回表に2ラン本塁打を浴びて試合を振り出しに戻されるが、攻撃陣の勢いが衰えることはなかった。6回表から登板した伊波友和が2イニングス連続で三者凡退に抑える中、7回裏は6番中川智裕の左中間二塁打が起点となった。二死三塁となり、打席に立ったのは代打の宮川和人。ストレートをとらえた主将の打球が、センター前へ抜ける。三塁走者の中川が、勝ち越しのホームを踏んだのはその直後だ。宮川はPL学園高の出身だ。同校の黄金時代を築いた名将と言えば、中村順司氏である。二次予選直前に行われた5月21日のオープン戦でのこと。宮川は、たまたま居合わせた中村氏と会話する機会を得た。「”じょうず“という字は、『上』の『手』と書くだろ。だから、打撃でも上の手が大切なんだよ」。中村氏の言葉が、宮川の心に響いた。右打者の場合、バットを握る際は右手が上になる。つまりは、打撃においてボールを押し込む側の右手が重要になるわけだ。7回裏のタイムリーヒットは、「右手を意識した」中で生まれた値千金の一打だった。

8回表に再び同点とされるも、攻撃陣は怯まない。その裏、先頭打者として代打を告げられたのは平田巧だ。

「先頭だったので、何とか出塁してチャンスを作ることだけを考えていました」

ファーストストライクとなった137キロのストレート。平田曰く「真ん中、高め」のボールを振り抜いた打球は、センターバックスクリーンのやや左中間寄りへグングンと伸びた。「感触はよかったが、センターオーバーぐらいかなと思った」。平田自身の想像を超えていく勝ち越しのソロ本塁打だ。点の取り合いとなったシーソーゲームに決着をつけた平田の豪快弾を西田監督はこう称えた。

「すばらしいホームランだった」

最後のマウンドを石垣永悟が3人で締めて、勝負あり。2013年以来、実に9年ぶりとなる第一代表決定戦進出を決めた。過去3度(06年、12年、13年)の第一代表決定戦では、いずれの年も悔し涙を流した。

部史を変える――。

大一番に向けて、チームの士気は高まっている。

 

文:佐々木  亨

写真:政川 慎治