HOME 試合情報 試合結果 都市対抗二次予選 第四代表決定戦 試合日程・結果 2022.06.08 [Wed] 13:00 第93回都市対抗野球大会 東京都二次予選都市対抗二次予選 第四代表決定戦 vs 明治安田生命 大田スタジアム 三塁側 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E セガサミー セ 2 3 0 0 0 0 1 0 0 6 15 0 明治安田生命 明 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 7 1 BATTERY 舘、 伊波、 石垣 - 吉田 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT それまでの鬱憤を晴らすかのようだった。1番植田匡哉の四球、2番片岡大和の犠打で一死二塁。さらに3番黒川貴章のショートへの内野安打、4番高本康平の四球で満塁とした1回表。先取点を叩き出したのは、5番中川智裕のバットだった。フルカウントからの6球目。変化球に対応した中川のやや浅めの打球がレフトに舞う。タッチアップの体勢になった三塁走者の植田に迷いはない。勝利への一歩を踏み出すかのように駆け出した植田が先制のホームを踏むと、三塁側ベンチに歓喜の声が広がった。なおも一、二塁から、6番澤良木喬之のセンター前ヒットが飛び出して、二塁走者の黒川が2点目のホームを陥れたのは、その直後だ。初回の2得点が、チームに勇気と自信を生んだ。 2回表は、自信が確信へと変わるようだった。イニングの先頭となった8番吉田高彰がセンター前ヒットで出塁。9番砂川哲平の犠打で得点圏に走者が進む。二死後、2番片岡がショートへの内野安打を放って一、三塁。その好機で、3番黒川がサード強襲のタイムリーヒットを放って3点目が入る。さらに、代打の4番根岸晃太郎が四球を選んで満塁とすると、5番中川がセンター前へ2点タイムリーを放って5点目。試合序盤の大量リードは、大きなアドバンテージとなった。 攻撃陣の援護を受けて、明治安田生命打線をねじ伏せたのは先発の舘和弥だ。捕手の吉田が「もともとコントロールが良い。さらに今年はストレートが強くなった」と評する右腕は、1回裏を三者凡退。2回裏は、先頭打者に初ヒットを許したが後続をチェンジアップで討ち取り併殺。結局、3人で終えた。3回裏は、7番打者に三遊間への痛烈な打球を放たれた。だが、そのヒット性の打球を三塁手の黒川が半身で好捕。すかさず一塁へボールを送って先頭打者の出塁を阻んだ。ビッグプレーが飛び出して三者凡退。4回裏も二死からレフト前ヒットを浴びたが、4番打者の飛球を中堅手・植田が飛び込んで好捕。守備にも助けられて、舘の無失点ピッチングは続く。5回裏、そして6回裏も危なげないピッチングだ。舘は6回を投げ切った。71球を投じて打たれたヒットは、わずかに3本。二塁を踏ませない快投で、無失点に抑えた。 「とにかく無失点に抑えることを意識して投げました。守備にも助けられて、最後まで自分のピッチングを貫けました」 そう振り返った右腕からバトンを受けた伊波友和が7回裏を何とか無失点に抑えると、8回裏からは守護神の石垣永悟がマウンドに上がる。7回表の1番植田のタイムリー二塁打で6点差に広がる中、石垣は落ち着いていた。二死から連打を浴びるも、2番打者を空振り三振に仕留めて無失点。9回裏は、振り逃げで先頭打者の出塁を許すが、4番打者をレフトフライ、5番打者をセンターフライに討ち取った。そして……6番打者は、1ボール2ストライクを追い込む。最後は渾身の145キロのストレートだ。勝利への想いが詰まった一球が吉田のミットに吸い込まれて空振り三振。歓喜の瞬間を迎えた。 試合を終えた西田真二監督の言葉が、6試合に及んだ東京都二次予選の激闘を物語る。 「生みの苦しみと言うんでしょうか……。第一代表決定戦から、雨天もありながら迎えた第四代表決定戦。長丁場の中で、選手たちは最後までよく戦ってくれました。昨年までの2年間で積み上げてきたもの(2年連続での都市対抗4強)がある。その経験値のもとで、また東京ドームでみんなと戦えるというのは大きな喜びです」 主将の宮川和人は言う。 「都市対抗予選の難しさを改めて感じました。第三代表決定戦までは、チームとしてどこか受け身になっていた。最後は『思い切ってやろう』と言い合って挑んだ。勝つことができて本当によかったです。東京ドームでは、東京都の代表として恥じない野球をしたいと思います」 3度の代表決定戦で流した涙は、無駄ではなかった。『4度目の挑戦』で掴み取った東京ドームの切符。苦しみを乗り越えたチームには、3年連続13回目の出場となる都市対抗本大会の舞台が待っている。 文:佐々木 亨 写真:政川 慎治 前へ 1 次へ PHOTO GALLERY 一覧を見る 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
それまでの鬱憤を晴らすかのようだった。1番植田匡哉の四球、2番片岡大和の犠打で一死二塁。さらに3番黒川貴章のショートへの内野安打、4番高本康平の四球で満塁とした1回表。先取点を叩き出したのは、5番中川智裕のバットだった。フルカウントからの6球目。変化球に対応した中川のやや浅めの打球がレフトに舞う。タッチアップの体勢になった三塁走者の植田に迷いはない。勝利への一歩を踏み出すかのように駆け出した植田が先制のホームを踏むと、三塁側ベンチに歓喜の声が広がった。なおも一、二塁から、6番澤良木喬之のセンター前ヒットが飛び出して、二塁走者の黒川が2点目のホームを陥れたのは、その直後だ。初回の2得点が、チームに勇気と自信を生んだ。
2回表は、自信が確信へと変わるようだった。イニングの先頭となった8番吉田高彰がセンター前ヒットで出塁。9番砂川哲平の犠打で得点圏に走者が進む。二死後、2番片岡がショートへの内野安打を放って一、三塁。その好機で、3番黒川がサード強襲のタイムリーヒットを放って3点目が入る。さらに、代打の4番根岸晃太郎が四球を選んで満塁とすると、5番中川がセンター前へ2点タイムリーを放って5点目。試合序盤の大量リードは、大きなアドバンテージとなった。
攻撃陣の援護を受けて、明治安田生命打線をねじ伏せたのは先発の舘和弥だ。捕手の吉田が「もともとコントロールが良い。さらに今年はストレートが強くなった」と評する右腕は、1回裏を三者凡退。2回裏は、先頭打者に初ヒットを許したが後続をチェンジアップで討ち取り併殺。結局、3人で終えた。3回裏は、7番打者に三遊間への痛烈な打球を放たれた。だが、そのヒット性の打球を三塁手の黒川が半身で好捕。すかさず一塁へボールを送って先頭打者の出塁を阻んだ。ビッグプレーが飛び出して三者凡退。4回裏も二死からレフト前ヒットを浴びたが、4番打者の飛球を中堅手・植田が飛び込んで好捕。守備にも助けられて、舘の無失点ピッチングは続く。5回裏、そして6回裏も危なげないピッチングだ。舘は6回を投げ切った。71球を投じて打たれたヒットは、わずかに3本。二塁を踏ませない快投で、無失点に抑えた。
「とにかく無失点に抑えることを意識して投げました。守備にも助けられて、最後まで自分のピッチングを貫けました」
そう振り返った右腕からバトンを受けた伊波友和が7回裏を何とか無失点に抑えると、8回裏からは守護神の石垣永悟がマウンドに上がる。7回表の1番植田のタイムリー二塁打で6点差に広がる中、石垣は落ち着いていた。二死から連打を浴びるも、2番打者を空振り三振に仕留めて無失点。9回裏は、振り逃げで先頭打者の出塁を許すが、4番打者をレフトフライ、5番打者をセンターフライに討ち取った。そして……6番打者は、1ボール2ストライクを追い込む。最後は渾身の145キロのストレートだ。勝利への想いが詰まった一球が吉田のミットに吸い込まれて空振り三振。歓喜の瞬間を迎えた。
試合を終えた西田真二監督の言葉が、6試合に及んだ東京都二次予選の激闘を物語る。
「生みの苦しみと言うんでしょうか……。第一代表決定戦から、雨天もありながら迎えた第四代表決定戦。長丁場の中で、選手たちは最後までよく戦ってくれました。昨年までの2年間で積み上げてきたもの(2年連続での都市対抗4強)がある。その経験値のもとで、また東京ドームでみんなと戦えるというのは大きな喜びです」
主将の宮川和人は言う。
「都市対抗予選の難しさを改めて感じました。第三代表決定戦までは、チームとしてどこか受け身になっていた。最後は『思い切ってやろう』と言い合って挑んだ。勝つことができて本当によかったです。東京ドームでは、東京都の代表として恥じない野球をしたいと思います」
3度の代表決定戦で流した涙は、無駄ではなかった。『4度目の挑戦』で掴み取った東京ドームの切符。苦しみを乗り越えたチームには、3年連続13回目の出場となる都市対抗本大会の舞台が待っている。
文:佐々木 亨
写真:政川 慎治