HOME 試合情報 試合結果 1回戦 試合日程・結果 2022.07.20 [Wed] 18:00 第93回都市対抗野球大会1回戦 vs Honda鈴鹿 東京ドーム 三塁側 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E Honda鈴鹿 H 0 1 0 1 0 0 0 0 0 2 5 0 セガサミー セ 0 2 1 0 0 0 0 0 x 3 10 1 BATTERY 草海、 氏家、 舘 - 須田 舘 - 吉田 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT 2つの三振を含む三者凡退に抑えた1回表のマウンドに、草海光貴の思いが凝縮されているようだった。捕手の須田凌平は、キャッチャーミットを通じて感じていた。 「立ち上がりに不安があるのは草海本人もわかっている。だからこそ、初回から全力で攻めていた」 2回表に内野の敵失で先取点を奪われても、気持ちが途切れることはない。むしろ、冷静だ。なおも二死一、三塁とピンチは続いたが、効果的に変化球を交えて追加点を与えなかった。 大事な初戦を任せられた先発の草海を打線が援護したのは、その直後だ。2回裏、東京都二次予選の第4代表決定戦に続いて四番に抜擢された高本康平が、センター前ヒットでチャンスメイクする。5番中川智裕が強烈なセンター前ヒットで続き、一死後、7番須田が詰まりながらもレフト前ヒットを放って満塁。そのビッグチャンスで打席に立ったのは、8番北川智也。相手チームの先制点につながった自らの失策。「汚名返上」。北川の思いは一つだった。力強く振り切ったバットから、センター前ヒットが生まれる。逆転となる2点タイムリーヒットに、一塁ベース上の北川の表情は、少しだけ和らいだ。 点を取られた直後の逆転シーンに、活気が漲る三塁側ベンチ側。勢いに乗る打線は3回裏、二死から3番黒川貴章がセンター前ヒット。そして、4番高本がセンターのフェンスに直撃する三塁打を放って1点を追加する。手にした主導権は、さらに強固なものとなった。 3回表と4回表を三者凡退に抑えた草海は、5回表に内野ゴロの間に1点を失ったが、その安定したピッチングは変わらなかった。6回表も投げ切った右腕は、計90球を投げて先発マウンドを全うした。7回表に登板したのは、左腕の氏家優悟だ。イニングの先頭打者をショートゴロに討ち取って一死。続く8番打者には、あわやセンター前へ抜けるかと思われたヒット性のアタリを浴びる。だが、その打球を遊撃手の中川が軽快にさばき、クルッと反転しながら一塁へ矢のような送球。野手のビッグプレーにも助けられて、氏家は打者2人をしっかりと抑えた。二死となり、満を持して登板したのは舘和弥。気持ちのこもったピッチングで9番打者をショートゴロに討ち取り、そのイニングに「0」を刻んだ。8回表を三者凡退に抑えた舘は、1点差のまま迎えた9回表もマウンドへ。イニングの先頭となった相手の4番打者を空振り三振に仕留めると、一気に勝利が近づいたようだった。四死球を与えて二死一、二塁とされるも、舘は決して動揺しない。初球の変化球はストライクコール。2球目以降はファウルで粘られるも、最後も変化球を選択して空振り三振に。マウンド上で勝利を掴んで雄叫びをあげる舘が、そこにはいた。西田真二監督が初戦突破を振り返る。 「失点率を考える中で、草海をはじめとする投手陣がよく粘って投げてくれた。選手たちがそれぞれに期待に応えてくれた」 先制されても、まったく動じない強さがあった。試合中盤から終盤にかけては、野手の守備を含めて粘りの“守り”を見せた。決して簡単な試合ではなかった。それでも、最後は勝ち切った。チームの成熟を感じた一戦は、一昨年、昨年と続いた『ベスト4』を上回る快進撃を予感させるものだった。 文:佐々木 亨 写真:政川 慎治 前へ 1 次へ PHOTO GALLERY 一覧を見る 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
2つの三振を含む三者凡退に抑えた1回表のマウンドに、草海光貴の思いが凝縮されているようだった。捕手の須田凌平は、キャッチャーミットを通じて感じていた。
「立ち上がりに不安があるのは草海本人もわかっている。だからこそ、初回から全力で攻めていた」
2回表に内野の敵失で先取点を奪われても、気持ちが途切れることはない。むしろ、冷静だ。なおも二死一、三塁とピンチは続いたが、効果的に変化球を交えて追加点を与えなかった。
大事な初戦を任せられた先発の草海を打線が援護したのは、その直後だ。2回裏、東京都二次予選の第4代表決定戦に続いて四番に抜擢された高本康平が、センター前ヒットでチャンスメイクする。5番中川智裕が強烈なセンター前ヒットで続き、一死後、7番須田が詰まりながらもレフト前ヒットを放って満塁。そのビッグチャンスで打席に立ったのは、8番北川智也。相手チームの先制点につながった自らの失策。「汚名返上」。北川の思いは一つだった。力強く振り切ったバットから、センター前ヒットが生まれる。逆転となる2点タイムリーヒットに、一塁ベース上の北川の表情は、少しだけ和らいだ。
点を取られた直後の逆転シーンに、活気が漲る三塁側ベンチ側。勢いに乗る打線は3回裏、二死から3番黒川貴章がセンター前ヒット。そして、4番高本がセンターのフェンスに直撃する三塁打を放って1点を追加する。手にした主導権は、さらに強固なものとなった。
3回表と4回表を三者凡退に抑えた草海は、5回表に内野ゴロの間に1点を失ったが、その安定したピッチングは変わらなかった。6回表も投げ切った右腕は、計90球を投げて先発マウンドを全うした。7回表に登板したのは、左腕の氏家優悟だ。イニングの先頭打者をショートゴロに討ち取って一死。続く8番打者には、あわやセンター前へ抜けるかと思われたヒット性のアタリを浴びる。だが、その打球を遊撃手の中川が軽快にさばき、クルッと反転しながら一塁へ矢のような送球。野手のビッグプレーにも助けられて、氏家は打者2人をしっかりと抑えた。二死となり、満を持して登板したのは舘和弥。気持ちのこもったピッチングで9番打者をショートゴロに討ち取り、そのイニングに「0」を刻んだ。8回表を三者凡退に抑えた舘は、1点差のまま迎えた9回表もマウンドへ。イニングの先頭となった相手の4番打者を空振り三振に仕留めると、一気に勝利が近づいたようだった。四死球を与えて二死一、二塁とされるも、舘は決して動揺しない。初球の変化球はストライクコール。2球目以降はファウルで粘られるも、最後も変化球を選択して空振り三振に。マウンド上で勝利を掴んで雄叫びをあげる舘が、そこにはいた。西田真二監督が初戦突破を振り返る。
「失点率を考える中で、草海をはじめとする投手陣がよく粘って投げてくれた。選手たちがそれぞれに期待に応えてくれた」
先制されても、まったく動じない強さがあった。試合中盤から終盤にかけては、野手の守備を含めて粘りの“守り”を見せた。決して簡単な試合ではなかった。それでも、最後は勝ち切った。チームの成熟を感じた一戦は、一昨年、昨年と続いた『ベスト4』を上回る快進撃を予感させるものだった。
文:佐々木 亨
写真:政川 慎治