HOME 試合情報 試合結果 2回戦 試合日程・結果 2022.07.24 [Sun] 18:00 第93回都市対抗野球大会2回戦 vs 日本通運 東京ドーム 一塁側 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E 日本通運 日 0 0 0 0 0 0 0 1 1 2 8 0 セガサミー セ 3 0 0 0 0 2 1 0 × 6 10 1 BATTERY 草海、 森井、 氏家、 伊波、 舘 - 須田 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT 1回裏、先頭の植田匡哉がライト線二塁打で出塁する。幸先のいいスタートだ。しかし、後続が連続三振に倒れて不穏な空気が流れる。その嫌な流れを食い止め、大きな仕事を成し遂げたのは、4番に座った平田巧だった。初球のカーブをとらえた打球はレフト線へ。二塁走者の植田がホームを陥れて先取点が刻まれた。「気持ちで負けないこと」を意識する平田の勝負強さ。一回戦では高本康平が4番を担って快打を放ったのだから、まさに“日替わり4番”の活躍ぶりだ。勝負師である西田真二監督の選手起用の妙が、そこにはあった。 なおも二死二塁と続くチャンスで、5番北川智也はライト前へ強烈な打球を放つ。果敢にダイレクト捕球を試みる右翼手の左側を抜けていき、記録は三塁打。2点目が入る。さらに、6番中川智裕にまで左前への適時打が飛び出すのだから、一塁側ベンチの熱気は凄まじい。二死からの3連打で奪った初回の3点は、この試合の行方に大きく影響したことは間違ない。 味方打線の援護を受けてマウンドに立ち続けたのは、一回戦に続いて先発を担った草海光貴だ。序盤3イニングスは、いずれも先頭打者にヒットを浴びた。死球に野手の失策、さらにボークで進塁を許す場面もあったり……苦しい投球の連続だ。試合中盤になっても毎イニングで出塁を許し、失点しても不思議ではないピンチが続いた。それでも、だ。草海は、最後の決定打だけは許すことなく、スコアボードに「0」を並べる。5四死球を与えながら6イニングスを投げ切った右腕が、最後まで点を与えることはなかった。 「草海はエースですから。よく粘った」 ピッチング内容はともかく無失点に抑えた草海を、西田監督はそう言って労う。捕手の須田凌平も「ゼロに抑えるあたりは、さすがエースだなと思った」。それらの言葉に、信頼の大きさを感じる。 エースの粘投を受けて、打線が初回以来の得点シーンを作ったのは6回裏。制球に苦しむ日本通運の2番手投手を攻めて一死満塁とすると、途中出場の7番砂川哲平が押し出しとなる四球を選んで「欲しかった1点」を奪う。さらに、3番手投手の登板直後に8番須田が初球を左前へ運んで5点目。大きな追加点が入った。7回裏にも、2番犬飼康太郎(JPアセット証券からの補強選手)、3番黒川貴章の連打を起点に満塁とした直後に押し出し四球で1点。6点リードとなった展開に、勝利の二文字が薄っすらと浮かび上がった。 8回表にソロ本塁打、9回表には3連打で失点して点差を縮められたが、チームは最後まで動じることなく戦い続けた。草海、森井絃斗、氏家優悟、伊波友和とつないだ投手リレー。最後は舘和弥が、持ち味の「吠えるピッチング」で相手打線を押し切って勝利の瞬間を迎えた。 準々決勝進出。 勝利は嬉しい。ただ、選手たちの気持ちが緩むことはない。試合後の草海は言うのだ。 「これからも一戦一戦、チーム一丸となって戦います」 東京ドーム2勝にも決して満足しないチームの雰囲気。その強さは、試合を重ねるたびに増しているようだ。 文:佐々木 亨 写真:政川 慎治 前へ 1 次へ PHOTO GALLERY 一覧を見る 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
1回裏、先頭の植田匡哉がライト線二塁打で出塁する。幸先のいいスタートだ。しかし、後続が連続三振に倒れて不穏な空気が流れる。その嫌な流れを食い止め、大きな仕事を成し遂げたのは、4番に座った平田巧だった。初球のカーブをとらえた打球はレフト線へ。二塁走者の植田がホームを陥れて先取点が刻まれた。「気持ちで負けないこと」を意識する平田の勝負強さ。一回戦では高本康平が4番を担って快打を放ったのだから、まさに“日替わり4番”の活躍ぶりだ。勝負師である西田真二監督の選手起用の妙が、そこにはあった。
なおも二死二塁と続くチャンスで、5番北川智也はライト前へ強烈な打球を放つ。果敢にダイレクト捕球を試みる右翼手の左側を抜けていき、記録は三塁打。2点目が入る。さらに、6番中川智裕にまで左前への適時打が飛び出すのだから、一塁側ベンチの熱気は凄まじい。二死からの3連打で奪った初回の3点は、この試合の行方に大きく影響したことは間違ない。
味方打線の援護を受けてマウンドに立ち続けたのは、一回戦に続いて先発を担った草海光貴だ。序盤3イニングスは、いずれも先頭打者にヒットを浴びた。死球に野手の失策、さらにボークで進塁を許す場面もあったり……苦しい投球の連続だ。試合中盤になっても毎イニングで出塁を許し、失点しても不思議ではないピンチが続いた。それでも、だ。草海は、最後の決定打だけは許すことなく、スコアボードに「0」を並べる。5四死球を与えながら6イニングスを投げ切った右腕が、最後まで点を与えることはなかった。
「草海はエースですから。よく粘った」
ピッチング内容はともかく無失点に抑えた草海を、西田監督はそう言って労う。捕手の須田凌平も「ゼロに抑えるあたりは、さすがエースだなと思った」。それらの言葉に、信頼の大きさを感じる。
エースの粘投を受けて、打線が初回以来の得点シーンを作ったのは6回裏。制球に苦しむ日本通運の2番手投手を攻めて一死満塁とすると、途中出場の7番砂川哲平が押し出しとなる四球を選んで「欲しかった1点」を奪う。さらに、3番手投手の登板直後に8番須田が初球を左前へ運んで5点目。大きな追加点が入った。7回裏にも、2番犬飼康太郎(JPアセット証券からの補強選手)、3番黒川貴章の連打を起点に満塁とした直後に押し出し四球で1点。6点リードとなった展開に、勝利の二文字が薄っすらと浮かび上がった。
8回表にソロ本塁打、9回表には3連打で失点して点差を縮められたが、チームは最後まで動じることなく戦い続けた。草海、森井絃斗、氏家優悟、伊波友和とつないだ投手リレー。最後は舘和弥が、持ち味の「吠えるピッチング」で相手打線を押し切って勝利の瞬間を迎えた。
準々決勝進出。
勝利は嬉しい。ただ、選手たちの気持ちが緩むことはない。試合後の草海は言うのだ。
「これからも一戦一戦、チーム一丸となって戦います」
東京ドーム2勝にも決して満足しないチームの雰囲気。その強さは、試合を重ねるたびに増しているようだ。
文:佐々木 亨
写真:政川 慎治