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BATTERY

横田-須田

戦評COMMENT

先発の横田哲は試合後に言葉を噛みしめた。

「長かったですね……」

そう語った直後、柔らかさを含んで崩れた表情が印象深かった。

立ち上がりは決して完璧なピッチングではなかった。1回表、さらに2回表と横田は先頭打者にヒットを許して得点圏に走者を背負う。それでもホームベースを踏ませることなく無失点に抑えた。序盤の粘り抜いたピッチングを、横田自身も「大きかった」と振り返る。スコアボードに「0」の数字を並べるたびに、左腕はかつての感覚を取り戻していった。

中盤から終盤にかけても、横田のピッチングが崩れることはなかった。7回表には二死から左中間への二塁打を浴びて2回表以来のピンチを迎えたが、後続をショートゴロに討ち取って点を与えなかった。9回表もヒット1本を許したが、最後はファーストへのファールフライ。終わってみれば、一度も連打を許すことなく被安打6の無失点。横田にとっては1年目(2014年)の日本選手権準決勝、日本生命戦以来の完封勝利だった。3年ぶりに快投を演じ、それまで費やした時間を「長かった」と振り返ったのは素直な思いだろう。久しぶりの感覚に自信を深めたのは確かだ。

「今日はストレートや変化球、すべての球種でしっかりとカウントを整えられたのがよかった。今年は春季キャンプやオープン戦を通じて改めてピッチング動作を一つ一つ確認して公式戦を迎えられました。味のあるピッチング? その味を、今年はさらに濃厚なものにしていきます(笑)」

横田の長所を最大限に引き出しながら、巧みにリードした須田凌平は言う。

「今日の横田さんはマウンドの顔つきが違った。変化球をうまく散りばめながら、要所では攻めのピッチングを見せてくれました。横田さんにとっての久しぶりの完封。その試合でマスクを被れたことが嬉しいですね」

さらに、椎木匠コーチはこう言うのだ。

「横田はアグレッシブに投げていた。常に『勝負に行く』姿勢で投げていたところがよかったと思います」

アグレッシブな姿に、打線が応えたのは3回裏だ。1回裏、さらに2回裏と先頭打者の長打でチャンスを作りながら無得点に終わっていただけに、序盤のうちに先取点を奪えたのは大きかった。一死から2番宮川和人の右中間への二塁打、3番赤堀大智のレフト前への適時打で1点。追加点をなかなか奪えずに終盤を迎えたが、8回裏にはビッグイニングを作って点差を広げた。起点となったのは、センター前ヒットで出塁した1番砂川哲平。犠打で走者二塁とすると、3番赤堀がレフトオーバーの二塁打を放って2点目。なおも、4番根岸晃太郎が死球で一死一、二塁とすると、5番澤良木喬之にライトオーバーの二塁打が飛び出して、さらに2点。トドメは7番江藤圭樹の2点適時打となるレフトオーバーの二塁打だ。この回一挙に5点を奪い試合を決定づけた。

投打の歯車がガッチリと嚙み合った好ゲーム。今シーズンの開幕戦は、文句なしの快勝だった。それでも、試合後の選手たちに浮かれた様子はなかった。新主将の赤堀は言い切った。

「明日(準決勝のJR東日本戦)、勝たないと意味がない」
(文・写真:佐々木亨)