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BATTERY

森井、横田、石垣、三宮、陶久-吉田、須田

戦評COMMENT

2回戦まで計13得点のNTT西日本打線に対し、東京ドーム初登板の先発・森井絃斗がどんなピッチングを見せてくれるのか。その注目の1回裏、森井は三者凡退に抑える最高の立ち上がりを見せた。

「先輩方がつないでくれて、今日、登板することができました。ここで負けられないと思いながら投げました」

21歳の右腕は気持ちを奮い立たせて全国のマウンドに立っていた。森井のピッチングに攻撃陣が応えたのは2回表だ。イニングの先頭となった6番市根井隆成が右手一本でセンター前ヒット。後続が倒れて二死となるが、9番吉田高彰の3球目に市根井が二盗を決めて走者二塁。その好機で、吉田がフルカウントからのチェンジアップをレフト線へ運んだ。市根井がホームを陥れて先取点。森井をリードする捕手であり、今大会初スタメンとなった吉田の一打は、チームの士気を高めるには十分過ぎるものとなった。吉田は言う。

「相手投手(NTT西日本の先発・濵﨑浩大投手)は、追い込んでからのチェンジアップがあるというデータがあった。うまく反応できたと思います」

女房役の先制打に、先発右腕の気持ちも落ち着いただろう。さらに、3回表の攻撃が森井と一塁側ベンチに勇気をもたらす。2番大内信之介(JPアセット証券からの補強選手)のセンター前ヒットと盗塁、3番小野田俊介(東京ガスからの補強選手)のショートへの内野安打で無死一、三塁とチャンスを築くと、一死後、5番澤良木喬之に代わって打席に立った平田巧が4球目のストレートをライト前へはじき返して貴重な追加点が入った。

「打つ前(3球目)に空振りしたチェンジアップを狙っていたんですが、反応で打ちました」

直後の3回裏に森井が1点を失ったが、序盤の速攻劇で主導権を握ったのは間違いない。

4回裏からは、投手の継投がズバッと決まってNTT西日本の強力打線を封じた。4回裏の1イニングを無失点に抑えたのは、左腕の横田哲だ。持ち前のスライダーが冴え、一死一塁から相手の5番打者を空振り三振に仕留めたシーンは、横田の真骨頂と言えるだろう。5回裏のマウンドに立った右腕の石垣永悟は、140キロ台後半のストレートを軸に相手打線を力でねじ伏せて無失点。危なげないピッチングで前半を締めくくった。

主導権を相手に与えないままに迎えた7回表は、投手陣の好投に応えるかのように攻撃陣が奮起。2番大内のセーフティバントでのヒット、3番小野田のレフト線二塁打、そして4番根岸晃太郎の四球で一死満塁とビッグチャンスを掴む。その好機で、5番平田が一塁手の右横を襲う内野安打。三走・大内の俊足が、一塁手のホームへの送球(野選)に勝ったのはその直後。大きな3点目が入る。さらに二死満塁から、7番中川智裕に走者一掃の左越え二塁打が飛び出して、一挙に点差が5点に広がる。第一打席で犠打失敗、その後は2三振と精彩を欠いていた中川の意地の長打は、勝敗を決定づけるような値千金の一打だった。マウンドでは、前のイニングを跨いで7回裏に5者連続三振を奪った三宮舜(明治安田生命からの補強選手)が躍動する。8回裏からは、勝利の方程式として登板した陶久亮太が仁王立ちだ。9回表にも7番中川にレフト前へのタイムリーヒットが生まれてダメ押し点を入れたチームは、9回裏を陶久が三者凡退に抑えて2年ぶりの4強進出を決めた。西田真二監督は言うのだ。

「(先制の場面で)吉田がよく打ってくれたし、とにかく投手陣が頑張ってくれました。チーム一丸となって戦ってくれた」

18安打7得点の猛攻。そして5投手による粘りの継投。投打が噛み合って手にした今大会3勝目は、チームの成熟を感じるものだった。

 

文:佐々木 亨

写真:政川 慎治