• TEAM T
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  • 7
  • 8
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  • NTT東日本 N
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  • 3
  • 3
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  • セガサミー
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BATTERY

舘 - 吉田 高彰
氏家 、 森井 、 石垣 、 伊波 - 須田

HOMERUN

澤良木 (4回ソロ)

戦評COMMENT

1回表を無失点で終えた直後だ。雷鳴とともに激しい雨が降り出した。約1時間20分の中断を経て、1回裏の攻撃が始まったのは14時29分のことである。

立ち上がりから”荒れ模様“となる中で、先取点を奪ったのは2回裏だ。無死から4番根岸晃太郎と5番中川智裕が連続四球。二死となったが、8番吉田高彰が二塁走者をホームへ還すレフト前ヒットを放って主導権を握った。追加点が生まれたのは4回裏。6番澤良木喬之が136キロのストレートを完璧にとらえ、レフトスタンドへソロアーチ。ベテランのひと振りが、三塁側ベンチのボルテージを加速させた。

攻撃同様に、チームの士気をグングンと高めたのは先発マウンドに立った舘和弥だ。長い降雨中断というピッチャーにとってはコンディショニングが難しい状況下で、NTT東日本打線にチャンスを与えない。2回表は、一死から7番打者にレフト前ヒットを浴びるも、後続を空振り三振、そしてライトフライに討ち取って点を与えなかった。三者凡退の3回表を経て、4回表はイニングの先頭打者にセンター前ヒットを浴びるもレフトフライ、そして併殺打でピンチをしのぐ。ショートへの内野安打と犠打、9番打者のセカンドへの進塁打で二死三塁とされた5回表も、気持ちを込めたピッチングで無失点に抑えた。6回表も二死からアンラッキーな野手の間に落ちる二塁打を浴びたが、そのピンチでも点を許さなかった。6イニングスで90球。打たれたヒットは、わずかに4本。相手打線を無失点に抑えたピッチングは、大きな光を放った。陶久亮太コーチが先発右腕の好投をこう評する。

「舘の最大の良さは、気持ちの部分です。そのピッチングに野手は盛り上がる。今日も、イニングを追うごとに気持ちのこもったピッチングをしてくれました」

試合中盤までは、理想的な展開だった。勝利の風は、間違いなく三塁側ベンチに吹いていた。だが、終盤。気まぐれな空と同様に、試合は激しく動き出した。好投の舘に代わり、7回表からは左腕の氏家優悟がマウンドに上がった。イニングの先頭打者にセンター前ヒットを浴びると、続く7番打者にはレフト前ヒットを打たれて無死一、二塁。犠打を決められて一死二、三塁とされた。そのピンチで迎えるは、代打の右打者。1ボール2ストライクとピッチャー有利のカウントに持ち込むが、6球目をライト前に運ばれて同点とされた。なおも死球が絡んで二死一、二塁とされると、3番打者には初球をライト前へ運ばれる。右翼手の政野寛明から捕手の須田凌平へ渡ったボールは、ダイレクト返球。タイミング的にはアウトに見えたが、二塁からホームへ還ってきた走者の好走塁の前に勝ち越しを許す。一気に形勢を逆転された。

それでも、直後の7回裏。またしても降雨による中断(37分)を余儀なくされる中で、2四球と1番植田匡哉のショート内野安打で二死満塁。そのビッグチャンスで、代打の平田巧がしぶとくライト前へ運び、2人の走者がホームを陥れる。逆転となる2点タイムリーだ。再び主導権を奪い返した三塁側ベンチの熱が最高潮に達した瞬間だった。

勝てる――。

そう思わせるだけの雰囲気、そして試合展開がそこにはあった。だが、満を持して送り出された石垣永悟がマウンドを担った8回表、予期せぬ悪夢が待っていた。2四死球とレフト前ヒットが重なって二死満塁とされると、1番打者に148キロのストレートをセンター後方に打ち返される。走者一掃となるタイムリー二塁打。再び逆転を許してしまう。

2点を追う9回裏。イニングの先頭となった代打の高本康平が放ったセンター前ヒットは、追い詰められた状況での意地の一打だったか。諦めない姿勢は見せた。しかし、最後は後続が3者連続三振に倒れて試合は決した。

降雨による2度の中断を挟んだ一戦は、5時間超の激闘となった。雨上がりの大田スタジアム。疲労と悔しさが入り混じった空気が、チーム全体を覆う。それでも、選手らは前を見据えるのだ。いや、前だけを見つめて勝利を信じるしかない。次戦で「決める」覚悟を持って、チームは3度目の代表決定戦に挑む。

 

文:佐々木 亨

写真:政川慎治