2012年9月、サミー(株)の新工場と新流通センターが稼働します。新工場は埼玉県川越市の現工場に隣接する用地に総額135億円*を投じて建設を進めてきました。延床面積は、現工場のおよそ2倍の約36,000m2の規模を誇ります。また、新工場に隣接する敷地には、27億円*を投資し、新流通センターを建設、新工場の稼働に合わせて操業を開始します。
当グループは、サミーブランドを軸とした遊技機事業の収益拡大に向け、引き続きパチスロ遊技機の強化を図るとともに、シェア拡大余地が大きいパチンコ遊技機におけるトップシェアの奪取を中期的な戦略目標に定めています。近年、安定的に10%以上のシェアを維持し、着実にプレゼンスを高めているパチンコ遊技機事業の一層の飛躍と、セガサミーグループの収益の牽引役として、遊技機事業のさらなる収益構造の強化に向けた戦略基盤と位置付けるのが、サミー(株)の新工場・新流通センターです。
新工場の製造ラインでは高い演出効果が期待できる様々な仕様のパチンコ遊技機の製造が可能になります。また、一般的に遊技機の販売は、発売の初期段階に出荷が集中します。例えば、当社の代表的なタイトルである「CR北斗の拳」シリーズは、受注台数の9割以上が発売第1週に集中しました。こういった短期集中的に発生する需要に迅速に応え、販売機会ロスを回避する「瞬発力」ある生産・供給体制が、新工場の稼働により大きく進展します。
* 取得済用地代金を除く
サミー(株)は、これまで2001年に稼働を開始した現川越工場でパチスロ遊技機・パチンコ遊技機の生産体制を敷いてきました。段階的な増強によりパチスロ・パチンコ遊技機ともに2,400台/日の生産能力となっています。しかしながら、パチンコ遊技機に関しては、上位企業は、サミー(株)と比して約2倍から3倍の生産能力を有しており、上位のシェアを浸食していく上では、上位企業と同等の生産能力の確保が課題となっていました。
新工場は、パチスロ遊技機が日産2,500台、パチンコ遊技機が同5,000台の生産能力を誇り、「CR北斗の拳」シリーズや「CR蒼天の拳」シリーズなどの主力タイトルの初期需要に確実に応えることができる、まさに「瞬発力」のある生産体制が整います。また、稼働を継続する現工場とグループ企業の工場を合わせた生産能力は、パチスロ遊技機が7,900台/日、パチンコ遊技機が9,800台/日と業界トップクラスの生産能力を有することになります。
生産能力の増強に加え、短期集中的な需要に迅速に対応するためのリードタイム短縮策として、いくつかの生産プロセスの改善も図りました。盤面にセルを貼り付けるセル貼り工程、盤面に穴を空けるルーター加工の外注化により社内組立時間を短縮したほか、工程管理をシステム化し、工数の削減と精度向上など、様々な生産リードタイム短縮を実現する仕組みを導入しました。
また、従来の生産プロセスでは、基板組立、機械加工、盤面組立、本体組立といった一連の生産工程を通じて完成した製品を一時製品保管倉庫に保管し、各流通拠点に出庫する際に証紙貼り作業や基板実装を行っていましたが、新工場では、この製品保管倉庫を廃し、受注から生産、出庫まで一気通貫のシンプルな方式に変更することで、当日生産・当日出庫の比率を大きく高め工程の短縮を図っています。
新流通センターは、新工場で実現する生産能力の増強とのコンビネーションで、生産・供給体制の「瞬発力」を相乗的に高めます。
全国4つの流通拠点のうち最大規模の埼玉県鶴ヶ島市の流通センターと、6箇所に散在していた部品保管倉庫の機能を新流通センターに集約。「製品流通」「部品倉庫」ならびに「リユース・リサイクル」機能を製造拠点に隣接・集約したことで、生産から出荷までのリードタイムの大幅な短縮と、従来の2.5倍に増強した保管能力で、初期受注に応えることができる万全の出荷体制が整いました。加えてリユース・リサイクルの効率化と流通拠点までの運送費の削減も見込めます。
また、新流通センターでは、出庫・入庫・出荷に関する管理作業システムの強化も実施し、工数軽減と在庫計上のリアルタイム化を実現させ、業務改善を図っています。
業界トップクラスの遊技機生産・供給体制が整った当グループは、いよいよ「パチスロ遊技機におけるトップシェアの堅持」と「パチンコ遊技機におけるトップシェアの奪取」に向けた攻勢を本格化していきます。同時に、大幅な生産能力の拡大は、受注動向の変化に応じたリアルタイムでの生産計画の変更を通じて部材廃棄ロスの低減効果も見込めるなど、収益力の面でも大きな効果が期待できます。遊技機事業の中核戦略拠点と位置付け、新工場と新流通センターの機能を最大限に発揮していきます。