家庭用ゲームソフト市場の急激な環境変化、ならびに厳しい収益状況を受け、今後のコンシューマ事業の収益改善、及び成長軌道への回帰を実現するためには、環境の変化に適応した体制へ早期に転換することが必要不可欠であると判断し、2012年3月、セガのコンシューマ事業を構造改革することを決定いたしました。
具体的には、①欧米市場におけるパッケージゲームソフトを担当する組織の合理化、②流通している市中在庫を含めた在庫の費用引当処理、③欧米向けパッケージソフトの収益見通しを厳格に精査し、確固たる収益が期待される有力IPに販売を絞り込むことに伴い、開発中の一部タイトルの開発を中止、④2012年3月期末から2013年3月期にかけて販売予定のタイトルに係る仕掛品の収益性を再評価し、一部タイトルにおいて仕掛品の評価減等の施策を実施しました。
これらの構造改革に伴う費用については、49億円を売上原価、66億円を特別損失として、2012年3月期にすべて計上しました。これら一連の取り組みにより、2013年3月期以降のコンシューマ事業は、営業費用が減少する見込みです。
このような収益改善を確固たるものとするための組織の合理化を進める一方、成長軌道への回帰に向けた第一歩も踏み出しました。
コンシューマ事業においては、急成長を続けるSNSやスマートフォン向けコンテンツ、PCオンラインゲーム等の分野に経営資源を大胆に振り向けていく方針です。その第一ステップとして、(株)セガのネットワーク事業の主要機能を会社分割し、2012年7月2日付けで同社の100%子会社として(株)セガネットワークスを設立しました。
この会社分割の目的は、経営意思決定の迅速化や多様化する顧客ニーズに応えるサービスの提供を図り、拡大するネットワーク市場における事業の収益の最大化を目指すことにあります。今後はセガネットワークスが管掌するデジタル分野の意思決定は、原則としてセガネットワークス自身で完結させ、プロセスの簡素化を図ります。一方、コンテンツ開発に際しては、セガとセガネットワークスが密接に連携を図り、セガが擁する数多くの優秀なクリエイターという貴重な経営資源をフルに活用する方針です。
また、近年のSNSやスマートフォン向けコンテンツ市場の急成長を牽引してきたサービスの一要素であるコンプリートガチャに関しましては、当グループにおける影響は軽微でありますが、社会的要請に鑑み、相当する機能は2012年5月31日までにすべて停止いたしました。今後のマーケットでは、コンテンツの中身や、真に面白いゲームが求められます。マーケットが「質」へと回帰していくとするならば、それはセガが本来の強みを活かす絶好のチャンスです。数多くの優良IPや高度な開発力を有するエンタテインメント企業グループとしての総合力をフル活用しながら、是非ともこのチャンスをものにしたいと考えています。