Management Message

常に自らに高い目標を課しながら、自己変革と新たな挑戦を繰り返し、セガサミーグループとエンタテインメントの新たな未来を創り上げていきます。

持続的な企業価値の拡大に向けて

企業価値の拡大を主眼に置いた不断の改革

当社の業績は、(株)セガとサミー(株)が経営統合した翌年度である2006年3月期をピークとし、以降、下降トレンドを描いていました。収益ドライバーである遊技機事業の経営環境が、2004年7月の「風適法施行規則等の改正」の施行を境に、徐々に悪化していったことに加え、セガのコンシューマ事業やアミューズメント施設事業の収益性悪化が課題として浮上したのが要因でした。そして営業赤字を計上した2008年3月期から、当グループは、すべての事業で構造改革を断行してまいりました。
 遊技機事業の中核企業であるサミーは、「いかなる経営環境の変化の中においても安定的に収益を創造する組織を構築する」ことを経営目標に掲げ、社員の意識改革をはじめ、様々な改革を推し進めました。一貫してトップシェアの座を維持するパチスロ遊技機に加え、パチンコ遊技機でもシェアを拡大することを企図し、開発体制の強化を図りました。製品の競争力強化を進める一方、部材のリユース等による原価改善の徹底や、不採算であった周辺機器事業からの撤退等を通じた収益体質の強化も推し進めました。その結果、2008年3月期には5.8%まで落ち込んだ遊技機事業の営業利益率は、2012年3月期には33.5%まで飛躍的に改善するなど、環境変化への耐性を兼ね備えた強固な収益構造の構築は大きく進展しました。また、パチンコ遊技機の市場での存在感も確実に高まっています。収益改善という目的に向けて、開発・営業・生産のベクトルが一致したことで大きく向上した組織力は、決して他社に負けないものと自負しています。
 アミューズメント機器事業やアミューズメント施設事業、コンシューマ事業では、収益規模に見合った費用構造へのスリム化をテーマとする改革を推進しました。なかでも、アミューズメント施設事業では、収益性・将来性が低い店舗の閉店・売却を継続的に進めました。2005年3月期末に477店舗あった国内アミューズメント施設数は2012年3月期には、241店舗まで減少し、併せて社員教育を通じたオペレーションの強化にも取り組みました。これにより、市場環境が厳しいなかでも利益を創出できる体質を構築することができました。このほか、上場子会社の完全子会社化を行い、IP・コンテンツの密接な連携等によるシナジーの創出に向けたグループ経営体制の整備を進展させました。
 2008年3月期における営業赤字計上から営業利益600億円前後の水準まで着実に収益を改善してきた背景には、これら一連の改革を妥協せずに進めてきたことがあったのです。当期の業績でもその成果は証明されています。
 しかし、我々は現在の利益水準に決して満足してはならないと考えます。統合直後の1,000億円を越える営業利益と現在の利益水準は未だ大きくかけ離れています。まずはその水準まで早期に戻したいと考えています。そのために、今後も改革の手を緩めず、グループ一丸となって邁進してまいります。

構造改革の歴史

2009年3月期以降の主な事業構造改革

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さらなる飛躍に向け課題克服を加速

遊技機事業のパチンコ遊技機は、「トップシェアを獲得する」という目標を、未だ達成できていません。20%のシェア獲得を念頭に置いた今期の販売台数目標を達成し、何としてもトップメーカーの仲間入りを果たしたいと考えています。マーケティングの精緻化と開発力の強化にこれまで以上に力を注いでいくことで、より幅広い世代に支持される遊技機を市場に提供してまいります。
 サミー(株)を中心とした遊技機事業が安定的に700億円前後の利益を稼ぐ力がついてきた現在、「1,000億円」という利益水準を達成するためのカギを握るのは、やはり(株)セガです。セガには過去に200億円以上の利益を生み出していた実績があり、また、サミーとは異なり、商機を世界中に求めることができる事業を展開しています。
 アミューズメント機器事業は、国内では市場活性化をリードする製品の提供を行う一方、海外では現地パートナーとの連携を深めながら事業基盤の構築を急ぎます。また、アミューズメント施設事業では、既存の施設は引き続き運営力強化ならびに店舗のスクラップ&ビルドを通じて収益力の強化を進め、一層の収益改善を図ります。さらに、新たに国内でオープンするテーマパーク型の施設を成功させ、そのオペレーションノウハウを活かしたライセンスビジネスを海外に拡げたいと考えています。
 最大の課題と位置付けるセガのコンシューマ事業については、先に申し上げた通り、欧米のパッケージ事業を合理化する一方、デジタル事業へ経営資源をシフトし、注力してまいります。今後も市場環境の変化を常に注視し、収益構造の強化を進めていく方針です。
 また、玩具事業やアニメーション事業などのグループ会社を含め、有力IPをグループ内で最大限に活用したビジネスを創造し、グループシナジーの創出を通じた収益の最大化を本格化します。

遊技機事業と遊技機事業以外の営業利益

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将来を見据えた新たな挑戦

総合エンタテインメント企業グループとして「人を楽しませる」ノウハウを活かすことができ、グループの既存事業との相乗効果により収益拡大を見込むことができると判断すれば、新しい事業にも積極的に乗り出していく方針です。その際、リターンを慎重に検証した上で初期投資ならびに追加投資額を決定し、リスクを一定の範囲内に抑えるとともに、バランスシートの肥大化にも留意していく方針です。
 具体的に進めている取り組みのひとつが、複合型リゾート施設事業です。2012年3月に、日本有数のリゾート施設である「フェニックス・シーガイア・リゾート」を経営しているフェニックスリゾート(株)の株式をRHJ International S.A.から譲り受けて子会社化しました。再建のポイントは、家族で楽しむことができる「ファミリーエンタテインメント」を充実させることだと考えています。エンタテインメント企業ならではの視座のもと、まずは、グループの資産、ノウハウを活用してご家族連れなどの集客効果が期待できるところから着手し、追加投資についてはROIを慎重に検証した上で、実施の可否を検討していきます。
 中期的には、コンテンツの育成・発信拠点としての活用を検討するほか、大規模施設の運営ノウハウを蓄積し、将来、当グループが目指すカジノを中心とした複合型リゾート施設の開発運営に活かしたいと考えています。
 中長期的な視点で、新たな収益機会として捉えているのがカジノビジネスです。国内においてカジノに関する法律が整備され、一事業として確立されれば、雇用創出効果や日本の国際観光競争力の向上など、計り知れない経済効果が期待できます。環境が整えば、当グループは、総合エンタテインメント企業としてのノウハウを活かし、積極的に参入したいと考えています。参入に際しては、カジノ運営で実績がある海外の有力パートナーとの協業により、リスクの抑制とお互いの知見の活用等を図りながら事業の展開を検討していきます。
 2012年7月には、Paradise Groupと、韓国仁川市エリアにおいてカジノを含む複合型リゾート施設の企画・開発・運営を行う合弁会社を設立しました。当社は、合弁会社の45%を出資する第2位の株主として経営に参画し、収益の確実な獲得を目指すと同時に、将来的には日本におけるカジノ事業参入を視野に入れ、カジノ運営のノウハウ獲得と経験の蓄積を図ります。

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企業価値向上に向けた資本政策

当グループは、成長戦略を通じた利益の拡大と、株主の皆様への直接的な利益還元である配当金の安定的な実施の両面で企業価値の向上を実現していく方針です。
 ご説明した通り、セガサミーグループは、持続的な企業価値向上に向けて、成長分野での事業育成を進めています。また、カジノビジネスへの参入が実現した場合は、大規模な投資が必要になることも予想されます。厳選した優良案件への投資を大胆に意思決定できるよう、毎期の純利益による積み増しで、ネット・キャッシュ1,500 ~ 2,000億円程度の余資を準備していく方針です。
 利益還元については、毎期の税引き後利益のうち、20 ~ 30%程度の配当性向を目処に、株主の皆様へ還元させていただく考えです。成長分野への投資とのバランスを考慮し、毎期、柔軟に判断していきます。

キャッシュ・フローの推移

1株当たり年間配当額と配当性向

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