コラム
ダーツ世界一決定戦に潜入!『SUPER DARTS 2025』に迫る
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2025年12月23日
11月29日、30日にダーツの世界一決定戦『SUPER DARTS 2025』(以下スーパーダーツ)が開催されました。優勝賞金は1,000万円!10の国と地域から16名のプロダーツプレーヤーが東京に集結し、しのぎを削った会場に潜入。「ダーツはスポーツだ!」と大いに感じさせてくれた、世界No.1を決める熱き戦いをレポートします。
会場チケット完売!『スーパーダーツ』とは
コンセプトは“観るダーツ”――スーパーダーツは、2007年にセガサミーグループのダーツライブがスタートさせました。2013年にはアジアや欧米のトップ選手が出場するグローバルな大会へとスケールアップし、2018年には日本代表として世界大会でも活躍する女性プレーヤーが出場。国籍・性別に関係なく、世界最高峰のプレーヤーが集う権威ある大会へ成長していきました。
11月29日、30日には11度目となる『スーパーダーツ 2025』が開催されました。2024年大会を制した日本人プレーヤーの浅田斉吾(あさだ・せいご)選手を筆頭に、10の国と地域から16名のプレーヤーが豊洲PIT(東京都江東区)に集結。優勝賞金1,000万円とトッププレーヤーの名誉をかけて戦いました。大一番を見逃すまいと多くのファンが詰めかけ、両日とも会場チケットは完売に。試合はオンラインでも同時配信され、27の国と地域でも視聴されるなど、歴史を重ねてきたスーパーダーツが国際的にも知名度を高めていることを実感します。
では、どうやって世界No.1を決めるのでしょうか。今大会は、ステージにセットされたダーツマシン『DARTSLIVE3』を使用し、負けたら終わりのトーナメント方式で行われました。ダーツでは試合を『マッチ』、その中で繰り広げられる勝負を『レグ』と呼び、レグを複数回繰り返して勝敗を決めます。今回のスーパーダーツでは1対1の対戦形式で、1マッチにつき4レグ先勝で勝利となります。勝負は『501(ゴーマルイチ)』と『スタンダードクリケット』(以下クリケット)のルールで争われました。
501は、文字通り501点の持ち点を各プレーヤーが減らしていき、0点ぴったりにする勝負です。ダーツボードのどこを狙っても構いませんが、本大会ではダーツボードの外側にある枠の部分『ダブル』※を射抜いて0点にしなければならない『ダブルアウト』というルールが設けられています。
※該当ボードの数字の2倍の得点が得られるエリアのこと。
一方でクリケットは、いわば“陣取り合戦”です。ダーツボードの中で使うナンバーは15・16・17・18・19・20・ブル(ボード中心部分)のエリアのみ。ダーツを3回ヒットさせると該当ナンバーエリアが自陣になり、4回目からはダーツをヒットさせると得点が加算できます。また、相手の陣地にダーツを3回ヒットさせれば陣地を無効化(=クローズと呼ぶ)できるため、得点させないようにすることも可能に。得点が対戦相手を上回る状態で全エリアをクローズするか、全20ラウンド終了時に得点の高いプレーヤーが勝利となり、双方の駆け引きが見どころになります。
スーパーダーツでは、この2種類の勝負を繰り返します。最大7回あるレグのうち、1番目と4番目、5番目が501、2番目と3番目、6番目がクリケットです。6レグが終わって両者譲らず3-3の場合、7レグ(フルレグ)はどちらかのプレーヤーが501かクリケットを選んで、勝敗を決します。
他のスポーツ観戦とは一線を画す『試合前の静寂』
スーパーダーツでは各マッチの開始に先立ち、見る者の高揚感を一段と高める入場演出が行われました。選手たちは観客席の最後尾から登場し、レッドカーペットが敷かれた花道を歩いて前方のステージへ。入場曲とともに、きらびやかな照明の中、両サイドで花道をつくるファンとハイタッチをしながら前に進む姿は、息をのむ光景です
2名の選手がステージに並ぶとガッチリと握手をかわし、ウォーミングアップに入ります。このひと時は、先ほどと打って変わって場内が静寂に包まれます。
「バン!」 「バン!」 「バン!」
――ダーツボードに矢が刺さる音のみが鳴り響き、ファンの視線がステージ中央に注がれます。他のスポーツの試合前は音楽やファン・サポーターの声援や応援歌などのチャントで盛り上がるのが一般的ですが、ダーツの試合前は張り詰めた緊張感が漂う、独特の雰囲気でした。
29日のDAY1は、連覇を目指す浅田選手が登場。フルレグにもつれ込む大接戦を制してクォーターファイナル進出を決めました。また、韓国で開催された2024年のツアーランキング首位のチェ・ミンソク選手、今大会の出場権が獲得できるオープン大会を制して来日したホセ・フスティシア選手(スペイン)らも1回戦を突破。フランスリーグの決勝大会で優勝しスーパーダーツにやってきたリリアン・ル・カルヴェス選手ら多数の初出場プレーヤーも勝ち上がりました。
熱戦続出!チャンピオンが決まるまで
一夜明けた30日のDAY2、フルレグにもつれこむ接戦が目白押しの会場は一段と熱を帯びていきます。
ベスト8の戦いを終え4強激突の幕が上がると、セミファイナル1では浅田選手と、東南アジアで開催されている年間ツアー1位のテリー・タン選手(マレーシア)が対決。4レグまではお互いに2度のブレイク(=後攻のプレーヤーが勝利)に成功し、互角の展開に。それでもディフェンディングチャンピオンの浅田選手がフルレグに及ぶ激戦を4-3でモノにして2大会連続の決勝へ進出します。
セミファイナル2のチェ・ミンソク選手とヒューゴ・リョン選手(香港)の一戦もTHREE IN A BED(スリーインアベッド)※1やTON80(トンエイティ)※2が飛び出す熾烈な戦いになりましたが、チェ選手が4-3で制して初の決勝へ駒を進めました。
※1:同じナンバーのトリプル、またはダブルに3本のダーツを入れること。出現率は0.8%
※2:20のトリプルに3本の矢を入れること。出現率はわずか0.3%
(出現率は全国のダーツライブプレーヤーのプレーデータを基に算出)
浅田選手の2連覇か、チェ選手の初優勝か――。
2日間の総決算となる決勝マッチは大きな注目を集めてスタートしました。1レグの501では、両者ともに順調に持ち点を減らしていきます。お互いに高難易度のトンエイティを出すなど、会場は大盛り上がり。それでもチェ選手が持ち点119を一気に0にする正確なスローイングで先手を取ります。
2レグのクリケットでも、チェ選手はナンバー20や19をオープンして得点を積み上げます。浅田選手もナンバー18や17をオープンして得点を奪い返しますが、チェ選手はナンバー20のトリプルをマークして大きく加点。さらに浅田選手の得点源だったナンバー17をクローズするなど流れを引き寄せ、このレグをブレイク。3レグのクリケットも正確無比なスローイングで制して、リードを3-0に広げます。
迎えた4レグ、崖っぷちの浅田選手も501の序盤で奮起しますが、後攻のチェ選手のダーツの精度がさらに加速。最後は41点の持ち点を9シングルからの16ダブルで見事にフィニッシュ!韓国から参戦のポーカーフェイスプレーヤーが、4-0とストレートでの初優勝を達成しました。チェ選手はその瞬間大きな声を上げ、拳を突き上げて喜びを爆発させました。
激戦を終えたチェ選手はステージ上で「このような大きな舞台で優勝したことは初めて。いま、どのように表現したらいいのか分かりません」と明かしました。優勝セレモニーをひとしきり終えたあとには、改めて「昨年のベスト4を超える成績を残すことと、夢である世界チャンピオンという2つの目標を同時に達成でき、本当に良かったと思います」と落ち着いた表情を見せるとともに、初優勝を後押しした応援にも感謝を述べました。
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チェ・ミンソク選手
この会場の熱気をすごく感じていました。韓国から来て応援してくれた家族や友人たちにも、とても感謝しています。応援があったからこそ優勝できたと思いますし、試合中も後ろからのファンの皆さんの声が力となり、優勝できました。
次回は2027年に
チェ・ミンソク選手の初優勝で幕を下ろしたスーパーダーツ2025。今回も世界トップレベルのダーツプレーヤーが、会場で、そして配信を通して多くのファンを魅了しました。
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初めてスーパーダーツに訪れたファン
次元が違いすぎて「すごい」という言葉しか出てきません!会場の熱気も凄まじく、試合のレベルも高くて、本当に来てよかったです。
また、今大会では印象的な場面がありました。それは、多数の子どもたちが会場に足を運んでいたことです。その中には、ダーツライブがダーツの生涯スポーツ化を目指して取り組んでいる『スポーツダーツプロジェクト』をきっかけにダーツにはまった中高生たちもいました。とある学生は児童館に設置されたダーツマシンでダーツに触れ始め、そのキャリアは1年ほど。試合前には、「素晴らしい選手が出ている中でトンエイティやハットトリック※を目にできるところが楽しみです」、「プロ選手の試合を生で見るのが初めてなので、大舞台を楽しみたいと思います」と話し、一流プレーヤーたちがしのぎを削る姿を直に見るという体験を楽しみにしていました。
※ハットトリック:ブルに連続で矢が3本入ること
スーパーダーツは、次回2027年の開催が決定しています。大会には様々な参加方法があり、よく足を運ぶ身近なダーツライブマシン設置店舗で腕を磨き、そこで行われる店舗大会を勝ち上がることでもこの大舞台へ立つチャンスがあります。店舗から勝ち上がって今大会に出場した久保田將裕(くぼた・まさひろ)選手のようなプレーヤーが現れるのかも、注目ポイントです。
『ダーツ=スポーツ』という認識をさらに高めたい
スーパーダーツ全体責任者であるダーツライブの中嶋 康博(なかしま やすひろ)さんに、大会への思いと今後のビジョンを語っていただきました。
- ―大会の準備はどれくらい前から行われるものなのでしょうか
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会場の調整などから含めると、約1年前から準備を進めてきました。
今年は、より『ライブ感』を出したいと思っていましたので、選手入場時のサウンド、ライティングからこだわりました。中継においては“スポーツ中継”を見てもらうのだということを意識し、試合後のリプレイ、ハーフタイムの振り返りなどを織り交ぜながら、ダーツを見ることをさらに楽しんでもらえるよう、工夫しました。
- ―中継は日本語に加えて、英語でも配信されていましたね
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今大会も多くの国と地域からご覧いただいていましたし、国際化も意識して『英語コメンタリーチャンネル』を初導入しました。解説はダーツ界の“生ける伝説”、70歳を超えて今も世界トップレベルで活躍するポール・リム選手(シンガポール)と、香港で歌手兼プレーヤーとして大変人気を集めているキャシー・リョン選手に務めていただきました。
- ―中嶋さんが思われるダーツの魅力とはなんでしょうか
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ダーツの魅力は、年齢・性別関係なく誰でもプレーすることができる“生涯スポーツ”であるところだと思います。ダーツライブが行っている『スポーツダーツプロジェクト』では、これまで高齢者福祉施設を巡って体験会を開催したり、ジュニア世代の競技大会を実施したりしてきました。また、『つくろう!ダーツ部』というキャンペーンでは、複数の小中高校で『ダーツ部』立ち上げの支援もしています。体と頭を使った健康増進目的はもちろん、部活動化などで“スポーツ”としてのダーツのすそ野も広がってきていることを実感しています。
- ―今後の大会への意気込みを教えてください
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ダーツライブが毎年行っている市場調査では、ダーツの競技人口は右肩上がりで、過去一年以内にプレーした推定人口は693万人。日本人のおよそ18人に1人がダーツで遊んだことがあるという結果が出ています。ダーツはどんどん注目度が高まっていますので、次の2027年大会は、今回以上にパワーアップした大会にしていきたいと思っています。ぜひ、今後のスーパーダーツにご期待ください!
熱気あふれる会場で、メッセージボードを掲げながら声援を送る観客たち。進化を続ける中継映像――そのすべてが「ダーツはスポーツだ!」という実感を与えてくれた、スーパーダーツ2025。会場内はもちろん、国内外にもスポーツダーツによる心震える感動の輪を広げたその姿は、セガサミーグループのMission/Purposeである『Captivate the World 感動体験を創造し続ける ~社会をもっと元気に、カラフルに。~』をまさに体現していたと言えるでしょう。2年後に控える次の大舞台では、さらに進化したスポーツダーツの祭典が私たちを待っているはずです。
写真© DARTSLIVE Co., Ltd. 画像提供:株式会社ダーツライブ
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