コラム
日本フェンシング史上初の偉業達成!菊池小巻~“個の力”磨き高みを目指して~
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2025年6月30日
パリ五輪・女子フルーレ団体では日本にフェンシング女子種目史上初めてのメダル(銅メダル)をもたらした、セガサミーホールディングス所属のアスリート社員※1、菊池小巻(きくち・こまき)選手。
2025年3月、国際大会としては世界選手権と同等の知名度を誇る『グランプリ大会(リマ開催)』(以下GP大会)※2において個人種目でも初タイトルを獲得し、GP大会女子フルーレ個人種目を史上初めて制した日本人選手になりました。今回は個人種目でも飛躍を続ける菊池選手に成長のきっかけや、今後のさらなる大きな目標についてお話しいただきます。
※1 企業に社員として籍を置きながら競技に打ち込むアスリートのこと。
※2 国内ランキング上位の選手が派遣される国際大会。年3回、各国で開催されている

成長のきっかけ掴んだ大舞台での経験
- -まずは3月のGP大会(リマ開催)での初タイトルおめでとうございます。同大会女子フルーレ個人種目を日本人選手で初めて制する偉業を達成されましたが、今のお気持ちを聞かせてください
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ありがとうございます。GP大会には大学生の頃から参加してきましたが、毎年3回チャンスがある中でベスト18やベスト8止まりでした。世界の壁に阻まれてきた中、今回ようやくタイトルを獲得することができました。
大会直前にはフランスでの日本代表強化合宿に約3週間参加していて、疲労もありコンディション的には決して万全ではありませんでした。そんな中、初戦では前の大会で負けた日本人選手との対戦があったり、2回戦では初対戦となるアメリカの選手との一戦があったりと「今度は勝つぞ」「初対戦では勝つぞ」と、ひとつひとつの試合に向き合っていたらいつの間にか決勝に進んでいました(笑)
決勝進出が決まったとき「これはもう優勝しかないな」と腹をくくれたのが、メンタル的にも大きかったのかなと感じています。


- -GP大会の優勝で世界ランキング6位となり、女子フルーレの日本人選手として最高位に躍り出ました。 (共に2025年6月現在)
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やっとここまできたか、という感覚です。最高位に甘んじず、もっと世界の上を目指したいですね。
- -昨年のパリ五輪団体戦に続き、今回個人戦でも国際大会において偉業達成となりました。選手として一皮剥けた印象がありますが、ご自身の実感としてはいかがでしょうか
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大舞台でのメダル獲得で自信がついた部分はあります。ただ、実はパリ五輪後は選手として競技を続けるかどうかを悩んだ時期があったんです。4歳の頃からフェンシングを続けてきて、アスリートとしての最高到達点である五輪でメダルを獲得できたことはもちろん嬉しく、大きな目標を達成できた満足感がありました。ただ同時に、「団体でパリに連れていってもらったけれど、個人としては出場できる力がなかった」という悔しさも、五輪でメダルを獲得したあとにもずっと心に残っていたんです。ですので、悔しさを晴らすべく現役を続行し、次の五輪を個人戦で目指すという目標を立てました。個人戦でメダルが取れたら、自分のやってきたフェンシングを、より世間に証明できる気がするんです。パリ五輪の結果は、もう一度自分を奮い立たせる原動力になってくれましたね。新しい目標ができた中で五輪メダリストとして臨んだ今回のGPリマ大会での優勝は、“個の力”を鍛えていきたい私にとっては気持ち的にもさらなる自信になりました。

- -結果を出したことで、何か変化が生まれた部分はありますか
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故郷・熊本の地域イベント等に携わる機会を頂く機会が増えたことがありがたいと感じています。元々、故郷に貢献したい思いを持っていましたし、直近では熊本で行われたプロ野球での始球式もご依頼いただいて、このあと帰ってから投球練習もしなければと思っていたところです(笑)
“史上最強”の一翼を担う存在へ
- -現在の日本フェンシング界は、パリ五輪で男子フルーレ団体が金メダル獲得、女子フルーレ団体も初のメダル獲得と、まさに日本フェンシング界“史上最強”と言っていいのではないかと思います。その中心にいらっしゃることについてはどう感じられていますか
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偉大な先輩たちがコツコツと下地を作り上げてきてくれたからこそ、自分たちが今いい環境でフェンシングができていると思っています。気持ち的にも「全部の歴史を塗り替えていくぞ!」という気持ちで、私含め現役の選手は競技に向き合えているのではと思います。
- -最近は、さらなる進化を果たすべく新たなトレーニングにも挑まれているとお伺いしました
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今年の4月から週2回、パーソナルトレーニングを受けさせていただくようになりました。個人戦で五輪を目指すにあたりわずかでも肉体づくりで後悔したくなかったので、会社にお願いしたところメダル効果なのかすぐ認めていただけました(笑)セガサミーグループには様々な面でサポートいただいていますのでありがたいなと思っています。
- -主にどんな部分を鍛えていらっしゃるのでしょうか
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フェンシングの土台となる下半身のフットワーク面の強化を狙っています。筋肉をつけることで激しい動きにも体が耐えられるようになるため、怪我の予防にも繋がります。ただ筋肉だけをつければよいという訳ではなく、フェンシングの動きに落とし込みながら鍛えているので時間はかかりますね。例えば、私は稀に一歩足を引いてから相手へ踏み込んでしまう癖がでるときがあるのですが、試合ではその一瞬の隙・・・コンマ数秒の間に試合が決することがザラにあります。トレーナーの方には、下半身を鍛えながら、その癖も改善していくアプローチをしていただいています。少しずつ土台もできてきているので、本格的なフェンシングシーズンが始まる秋に向けて、筋肉の厚みでズボンが破けるくらいさらに追い込もうと思います(笑)

“個の力”伸ばし、もう一度あの舞台目指す
- -今後の目標を教えてください
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大きな目標はもちろん、3年後のロサンゼルス五輪に個人戦で出場することです。まずは五輪の出場権を取ることを目標にして、そこからは「絶対にメダルを取る」と決めています。日本が団体戦の出場権利を獲得すると、その団体戦の中から3人個人戦に出られるというルールがあるため、その枠に絶対入ることを目指していきます。今は状態がよいですが、ロサンゼルス五輪までの3年間でプレーの状態が下がる時期が来ることは自身の経験上分かっているので、そこでモチベーションを下げないように気をつけていきたいですね。そのためにも、目の前にある試合を、一つひとつ納得するプレーと結果で終わらせていくことを大切にしていきたいです。

- -セガサミーのGroup Mission/Purposeである「感動体験を創造し続ける~社会をもっと元気に、カラフルに。~」をアスリートとしてどう表現していきたいか、改めて教えてください
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パリ五輪からメダルを持ち帰ったとき、セガサミーグループ内の仲間はもちろん、地元・熊本の皆さまにも喜んでいただけて「自分はこんなにたくさんの方に支えられて競技をしてきたのだな」と改めて実感できましたし、自分のプレーで感動してもらえたことが嬉しかったです。
肉体強化の成果を試合の結果でも少しずつ示していきたいと思っていますし、挑戦する姿をしっかりお見せすることが、感動体験にもつながると考えています。2028年のロサンゼルス五輪ではパリ五輪のときよりさらに皆さまから応援のパワーもいただいて挑みたいと思っていますので、引き続き、ご声援をよろしくお願いします!
“個の力”を磨き上げ、個人戦で再び大舞台を目指す菊池選手。3年後に向けたさらなる進化が楽しみです。
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