戦評・コラム
第51回社会人野球日本選手権関東代表決定戦 2回戦 vs 茨城日産
2026.10.02 [Fri] 15:00VS 茨城日産
場所:ゼットエーボールパーク
先発・樫村が無安打投球! 13安打10得点の猛打で代表決定戦進出を決める!
一瞬、目尻が下がる。三塁側ベンチから引き揚げてきた佐藤俊和監督は、喜びを含んだ安堵の表情を浮かべた。
「勝ったことがすべてです」
第51回社会人野球日本選手権大会の関東代表決定戦2回戦(茨城日産戦)である。負ければ終わりの大一番で、「強いセガサミー」が帰ってきた。
試合が動いたのは2回裏だ。イニングの先頭となった谷口嘉紀がチーム初ヒットとなる左前安打で出塁する。続く高本康平は、初球を迷うことなく振り抜いた。右翼スタンドに飛び込む先制の2ラン本塁打。「ライト前に打てたらいい」。その延長線上にあった価値ある一発だった。一気に流れを引き寄せた攻撃陣は、2死から廣岡隆成の四球と片岡大和の右前安打で再びチャンスを築く。相手投手の暴投で走者二、三塁と攻め立てると、一番に座るルーキーの黒川怜遠が右前へはじき返して、さらに2点を加える。
4点リードで迎えた3回裏には、植田匡哉の中越え二塁打を起点に、谷口の左翼フェンス直撃となる適時打三塁打、高本の技ありの左前適時打で点差を広げる。さらに廣岡にも左越えの2点二塁打が飛び出して、またしても1イニングで4点を挙げた。4回裏には、四番としての風格さえ感じる谷口の特大2ランアーチだ。3イニングで計10得点。勢いに乗れば止まらない「セガサミーの爆発力」が、そこにはあった。
チームに戻った、勝ち切る強さ。いわば、「勝ちグセ」が浸透し始めたのは真夏のオープン戦からだ。砂川哲平コーチは言う。
「都市対抗の補強選手となった主力メンバー数名が抜ける中、8月のオープン戦で7連勝したことがあったのですが、そのあたりからチームに『勝つ』雰囲気が出ましたし、選手たちがポジティブに戦うようになった」
12年目のシーズンを戦う須田凌平にも、同じような雰囲気と景色が見えていた。
「今予選直前に行った明治安田とのオープン戦でも、5点ビハインドの中でも終盤にかけて7点を奪って逆転しました。たとえ劣勢でも『勝てる』という空気が、その試合にもあった」
投手陣も然り。佐藤監督が「8月、9月は、なかなか点を与えない試合ばかりで」と振り返るように、ディフェンスにおいても「勝てる」要素が蓄積していた。
それを証明したのが、先発のルーキー右腕である樫村佳歩だ。2回表に与えた四球が、茨城日産に許した唯一の出塁。150キロに迫るストレートと変化球を巧みに操り、4イニングを投げ切って無失点。1本のヒットも許さず、得点圏に走者を進めない完璧に近いピッチングを見せた。樫村の言葉である。
「やるだけでしたので、割り切って、しっかりと(試合に)入っていこうと思って投げました」
5回表に2番手として登板したルーキーの吉野蓮も隙を与えない。3番手の武冨陸も、ヒットを許すが点を与えない。ゼットエーボールパークの上空からこぼれる雨粒が大きくなる中でも、6回表を三者凡退に抑えたのはコーチ兼任の陶久亮太だ。最後は、尾崎完太が打者3人を完璧に封じて、7回コールドゲームが成立した。
勝利の喜びを胸にしまい込み、佐藤監督が次戦に視線を送る。
「高本の先制弾もそうですけど、先発の樫村が初回をしっかりと抑えたのが大きかった。今日は点を取れたことがよかったですし、投げるべき人がしっかりと投げた。次は、SUBARUさんが相手ですが、一戦必勝で挑むしかありません」
これまで6度の出場を誇り、2014年には準優勝を果たした日本選手権の本大会へ向けて、セガサミーの戦いは終わらない。
文・写真:佐々木 亨