プロダンスリーグ・D.LEAGUE 25-26シーズンの開幕を目前に控え、スタジオにやや緊張した面持ちのダンサーが現れました。SEGA SAMMY LUX（セガサミールクス）のSHUTOさん（19）とTAKARAさん（25）です。彼らは、2シーズンぶりの新メンバーとして7月よりチームに合流。昨シーズンからの継続メンバー12名とともに、開幕に向けて準備に励んでいます。ディレクターのU-GEさんを交えて、ニューフェイスたちの魅力を深掘りしていきます。

―― お二人にはセガサミーとして初めてお話を伺いますが、インタビューには慣れていますか？TAKARAさんはバックダンサーの経験をお持ちで、大舞台も踏んでいるそうですね

SHUTO

慣れていないです・・・

 

TAKARA

インタビューは慣れていませんが、お喋りと踊るのは好きです！

 

U-GE

二人とも肩の力を抜いていこうか（笑）

―― U-GEさん、2人がチームに合流されて雰囲気は変わりましたか？

U-GE

チームの雰囲気は昨シーズン以上に良くなっています。新しいメンバーが入ってくると、スタジオに流れる風が変わりますね。

―― 改めて、SHUTOさんTAKARAさんにどんな魅力を感じて新メンバーとしてチームに迎えたのでしょうか

U-GE

SHUTOは、生粋のB-BOY（※1）です。ブレイキンのスキル、表現が素晴らしいと感じています。僕がSEGA SAMMY LUXに携わるようになってから、チームには「床技の表現が足りていない」と感じていました。僕らの強みはヒップホップです。昨シーズンはジャズの演目や、フラッグ、フラフープなど表現の幅を広げる取り組みをしましたが、結果としてはまだまだ表現の幅が足りなかったです。ですので新シーズンに向けてSHUTOを迎えることができて嬉しいですね。GOOD FOOTというブレイキンの世界では有名なチームにも所属している、期待の若手になります。

 

TAKARAは、EXPGスタジオ（LDHが運営する、エンタテイナーを育成していく本格的なダンススクール）で特待生の頂点となる「EXPG PRO」に選抜されたダンサーです。EXPG PROは当時、東京校に1400名ぐらい在籍していた中の上位5名のみでしたので、ダンスのスキルは群を抜いて上手です。卒業後は、自分でバックダンサーの仕事や個人活動を幅広くやっていて、経験も積んでいます。

 

特に彼の得意なアクロバット（※2）は、いまのSEGA SAMMY LUXに必要な表現でもあります。立ち踊りもできて、アクロバットもできて、作品作りに欠かせない裏方の仕事もできるタイプでしたので、チームに迎えることを決めました。

 

※1…ヒップホップの要素であるブレイクダンス（ブレイキン）を踊る男性のことを指す

※2…バク転や宙返りなどのアクロバット技をダンスに取り入れたパフォーマンススタイル

―― お待たせいたしました。SHUTOさん、まず自己紹介と、自分の持ち味を教えていただけますか

U-GE

頑張れ！

 

SHUTO

ダンスは幼稚園の年中から始めて、16年目になります。最初は妹とダンスコンテストに出場していて、途中からジャンルをブレイクダンスに絞っていって、自分の持ち味となりました。

―― ブレイクダンスの中で、特に「ここが自分の強みだ」と思う部分はありますか

SHUTO

“パワームーブ”が、一番の強みです。床に手をついて、ぐるぐる足を回す技ですね。

―― 妹さんとダンスを組んでコンテストに出場されていたという話もありましたが、いつ頃から出場されていたのですか

SHUTO

僕が小学2年生のときです。妹とは2歳違いで、僕が中学3年生の頃まで8年間ぐらい一緒にやっていました。

―― コンテストではご活躍されたんですか

SHUTO

ALL JAPAN SUPER KIDS DANCE CONTEST（※3）では、中学生部門で優勝と準優勝を1回ずつ獲りました。

 

U-GE

え！優勝しているの!?

 

SHUTO

一回ですけど、はい。

 

U-GE

すごいね！妹さんもダンスが上手いんだよね。

 

SHUTO

妹は海外のバトルに挑戦したり、ブレイキンの大きな大会で優勝しています。だから、僕も兄として負けていられないので、良い刺激ですね。

 

※3…2006年よりスタートした日本初のキッズダンス全国大会で、国内最大規模を誇る

 

―― SHUTOさんのご家族はダンス一家なんですか？

SHUTO

両親は全くやっていなくて。習い事として、自分が4歳ぐらいのときにダンスを始めたんです。小さいときは、結構やんちゃだったらしくて。それを見て、お父さん、お母さんが「習い事をさせよう」となって、ダンスになりました。

 

U-GE

やんちゃって、何やんちゃなの?

 

SHUTO

友だちによくちょっかいをかけてしまうような子だったと聞いています（笑）

 

U-GE

いまのSHUTOの落ち着きぶりからは全然イメージがつかないね（笑）でも、その秘めたエネルギーをステージで解放してもらえると嬉しいな。そのギャップが良いかも。

―― TAKARAさんも自己紹介と、自分の持ち味を教えていただけますか

TAKARA

8歳からダンスを始めて、17年目になります。中学2年生ごろからブレイクダンスを教えてもらったり、アクロバットの練習も始めました。

 

自分の武器は2つあって、ひとつはアクロバット。EXPGスタジオで認めていただいたのをきっかけに技を磨き続けて、いま自分を最も表現できる踊りであると言い切れます。もう一つは、振りを覚えることも得意ですね。

 

あと、バックダンサーとしてこれまでいろいろな現場でアーティストの方はもちろん、スタッフの方など、たくさんの人と関わってきました。そんな人との繋がりが持てることにとても楽しみを覚えながら、活動をしています。

―― TAKARAさんが表現するアクロバットの見どころはどこでしょうか。特に注目してほしいところはありますか

TAKARA

ダンスのソロのパートのとき、バク宙やバク転といったアクロバットを織り交ぜていくので、ダンスをよく知らない方でも、老若男女どの世代の方でも「かっこいい」「すごい」と感じていただけると思います。

 

僕のアクロバットでは、トリッキングという技に注目をして欲しいですね。トリッキングは、新体操や武術、テコンドーといった種目を合わせたエクストリームスポーツにあるジャンルのひとつで、地面を蹴り上げた遠心力だけで宙返りをしたり、体をひねりながらパフォーマンスをするんです。助走をしたり、手を使ったりはしないんですよ。

 

僕は、トリッキングでアジア人初の世界チャンピオンになったDaisukeさんとの出会いをきっかけに、一緒に練習をしたり、アドバイスをいただいて技を磨くことができました。

―― なるほど。先ほど人との繋がりを楽しめるとおっしゃっていましたが、さまざまな出会いがTAKARAさんを作り上げているんですね

TAKARA

僕は出会いに恵まれていると自信を持って言えます。ダンサーとして、ありがたい環境にいると思います。

―― SEGA SAMMY LUXに合流して3カ月が経ちましたが、チームの雰囲気や印象はいかがでしょうか

SHUTO

SEGA SAMMY LUXを一言で表すと、“輝き”だと思います。チームに入る前に何度か作品を拝見したのですが、心から本当に自分が「うぉぉ！」と唸るような作品ばかりでした。いまチームのみんなとも少しずつコミュニケーションをとっているのですが、みんな面白くて最高なチームです。

―― 誰とよく話をされるのですか

SHUTO

よく話をしてくれるのは、一番年が近いTASくんです。2年前の高校生ダンスバトル選手権の決勝大会で初めて会って、ちょっと話をしたところから始まりました。

――もともとダンスでつながっている仲間がチームにいるは心強いですね

U-GE

TAKARAも人の繋がりによって人生を切り開いてきていますし、繋がりは本当に大事ですよ。

―― TAKARAさんから見たSEGA SAMMY LUXの印象はいかがですか

TAKARA

見ていて、元気が出ます!ダンサーそれぞれが主役であると一目で分かるし、個性も際立っていると感じています。チームカラーも黄色で、ステージで眩しく見えるようなチームという印象です。

―― よく誰と話していますか

TAKARA

実はKoodyはスクールの後輩なんです。僕が東京校でKoodyが横浜校だったので校舎は別でしたが、ライブやイベントで一緒になる機会も多く、共通の知り合いも多いので、ご飯を食べたり遊びに行ったりしていました。あとはKURASHOUくんや、最近だとKENTAROくんとよく話をしますね。

―― まもなくD.LEAGUE 25-26シーズンが開幕します。U-GEさん、昨シーズンのSEGA SAMMY LUXは苦しい戦い（レギュラーシーズン14チーム中12位）となりましたが、新たなシーズンに向けて、準備の状況はいかがでしょうか

U-GE

作品作りの進め方やスケジューリングなどシーズンを通してSEGA SAMMY LUXの作品を生み出していくシステムが整備できて、形になってきました。新しい試みをたくさんしていますし、SHUTOとTAKARAの加入によっていろいろな技が演目に組み込めるようになっています。システムが機能すれば、結果がついてくるのではないかと期待しています。

―― システムとはどんな内容なのか、言える範囲でご説明できることはありますか

U-GE

企業秘密です（笑）

今までのSEGA SAMMY LUXは結果に波があったと思っています。SWEEP（※4）できるような素晴らしい作品もあれば、そうではない結果が続いたりもしました。もちろん、メンバーのみんなも結果を出そうと努力をしていたのは言うまでもありませんし、僕も頑張らないといけない立場にありました。そんな中で、新シーズンに向けてメンバーのみんなと、改めて作品作りに向き合って取り組んでいこうよと話をしました。やってダメなら、結果を振り返ってまた考えればいいんです。

 

昨シーズンが終わってからいろいろと取り組んだ結果、心身ともにメンバーの変化を感じています。各々の変化が加速していけば、例えば作品を制作していく過程のクリエイションの質の向上にもつながっていくことが期待できます。僕たちは25-26シーズンに『NEO CREATOR SQUAD』というコンセプトを掲げました。ダンサー各々がクリエイターであれという願いを込めていて、それぞれの考えが作品作りに結びつけばSEGA SAMMY LUXらしさをステージで発揮できて、勝ち星を増やすことにつながるでしょう。LUMEN（※5）の皆さんにも、新しいSEGA SAMMY LUXを楽しみにしていただけたら嬉しく思います。

 

※4…D.LEAGUEにおいて、ジャッジとオーディエンス全員の票を獲得し完全勝利すること

※5…SEGA SAMMY LUXのファンネーム。読み方はルーメン

―― D.LEAGUEは新シーズンより、16チームを8チームずつに分けた2ブロック制になります（SEGA SAMMY LUXはBLOCK VIBE所属）。また、2026年1月には品川にSEGA SAMMY LUX専用のダンススタジオ「STUDIO LUX」もオープンします。至るところで新しさのあるシーズンになりますね。最後に意気込みをお聞かせください

U-GE

とにかく勝ちたいです！もちろんダンスなので勝ち負け以外にも見どころはありますが、D.LEAGUEに挑む以上は勝利が欲しい。昨年はとても悔しい思いをしました。有明の会場からの帰り道にレインボーブリッジを渡る時、勝った日と負けた日では橋から見える景色が全然違うんです。勝って綺麗な景色を見たいですね。

―― SHUTOさん、TAKARAさんはD.LEAGUEのデビューを迎えます。意気込みをお願いいたします

SHUTO

ダンスのお仕事をするのが一つの目標でした。U-GEさん含め、温かく迎え入れてくださったチームの皆さんに感謝して、しっかりステージでのパフォーマンスや結果でその恩を返せるように全力で頑張ります。

TAKARA

僕も一つでも多くチームを勝利に導けるように頑張りたいです。自分が使える技を思う存分にステージで発揮します。僕とSHUTOが入ったことによって、SEGA SAMMY LUXは変わったというのが一目で分かるように、チーム全員で素晴らしい作品を作っていきたいと思います。

―― 気になる2人が初登場するのはどのラウンドになりそうでしょうか

U-GE

10月26日の開幕戦・ラウンド1です。面白いですよ！