戦評・コラム
2025年セガサミー野球部/2年ぶりの東京ドームへ全身全霊!/第96回都市対抗野球大会東京都二次予選展望
2025/06/12
いよいよ社会人野球最高峰の大会である第96回都市対抗野球大会東京都二次予選が始まる。2年ぶりの出場を狙うセガサミー野球部は6月14日午前10時から大田スタジアムで、昨秋の日本選手権準優勝のHondaを相手に初戦を戦う。

「5月になってから状態が上がってきています」
大一番を前にしたチームの仕上がりに手応えを語るのは就任6年目の西田真二監督だ。昨年は二次予選で初戦からまさかの2連敗を喫して早々に敗退。就任してから初めて本大会出場権を逃す結果となっただけに捲土重来の気持ちは強い。
もちろんその気持ちは選手たちも同じだ。コーチ兼任で現役復帰した投手の陶久亮太を除き、選手最年長となる捕手の須田凌平は「やれることはやってきたと思います」と、屈辱を糧に積み重ねてきたことに自信を覗かせる。その根拠として「チーム力が上がってきました。今年は変な試合をしていません」と話すように大敗はほとんどなく、敗れても接戦に持ち込むことが多い。

投手陣についても須田は「吉井憲治ヘッドコーチが復帰して、カツを入れてくれて甘えがなくなってきました。ブルペンでも自分たちで考えるようになって、サインの意図を読みながら投げてくれるようになってきました」と成長を感じている。また正捕手争いをしている𠮷田高彰については「入社して今が一番調子が良いのではないでしょうか」と話すほど。7年目を迎えた経験に加え、今年は「一昨年に右肘のクリーニング手術をして、肩肘ともに良い状態です」と𠮷田自身も話すように、鋭い送球も目立っており投手を助ける場面が多い。

打線の状態も上向きだ。5月最終週の練習試合3試合では強豪相手に計25点を奪って3連勝を飾った。西田監督は「波はありましたが、社会人野球に慣れてきましたね」と加藤巧也ら新人選手たちの適応に目を細めるとともに、中堅となってきた世代の選手たちにも「引っ張っていって欲しいです」と期待。入社6年目となった植田匡哉は「1試合1本はヒットを打てている感じなのですが、主軸なので安打や出塁をもっと多くしていきたいです」と、さらなる活躍を目指し意気込んでいる。
このトーナメントで特に重要となるのが初戦だ。昨年最下位だった東京都企業春季大会で今年は3位に入り2回戦からの登場となるため、ここで勝てば「あと1勝」で代表決定戦に進めるという状態になる。しかし、ここで負ければその後は連敗で即敗退となる厳しい敗者復活戦に回ることになる。西田監督は「まず初戦に勝つこと。ここで勝てれば乗ってくる」と話し、須田も「初戦にすべてをかけるくらいの気持ちで行きます。勝つか負けるかで天と地の差がある」と、まずは6月14日に全身全霊をかけていく。
そして、須田が「東京ドームに行って社員の皆さんを楽しませたいです」と話すように、選手たち全員が抱くのは普段応援してくれるグループ社員に都市対抗で恩返しをしたいという思いだ。東京ドームでは満員の応援席に座るグループ社員の前で勇姿を見せるために、チーム一丸となって初戦から全力で相手に立ち向かっていく。

文・写真:高木 遊(株式会社スポーツオフィスタカギ)