2018年、都内に点在していたグループ本社機能を住友不動産大崎ガーデンタワーへ集約。現在、約20社、6,000名の従業員がこの地で働いています。グループ本社は“壮大な旅を予感させる港(Beginning of Journey)”をコンセプトに、「GRAND HARBOR」(グランドハーバー)と名付けました。
人財の持つポテンシャルを引き出し、創造性を高め、さらにグループ間のシナジーを創出する。その実現に向けた取り組みの一つが、オフィスづくりです。
その取り組みについて、総務本部 コミュニケーションサービス部の大澤けいさん、内田彩子さん、伊藤愛美さんに具体的なお話をうかがいました。
写真左から、伊藤愛美さん、大澤けいさん、内田彩子さん
「集約」だけではなく「融合」を目指して
――2018年、セガサミーグループは都内に分散していた本社機能を大崎に集約しました。この本社集約の目的は何だったのでしょうか?
大澤
拠点の物理的な集約だけではなく、グループ間の融合です。当時は都内にグループ会社が点在していましたが、グループ会社間の移動時間が多く、対話機会を調整するのも一仕事でした。物理的な距離をなくすことで、自然なコミュニケーションを生み出したかったのです。コミュニケーション機会が生まれればグループの源泉たる人財の交流が活性化し、事業間の連携強化やシナジーの創出につながると考えていました。
移転後の本社は、コミュニケーション促進やシナジー創出を体現するべくデザインしました。1フロア約1,600坪。壁を極力設けない設計とし、役員席も執務室の中ではなく、オープンスペースへ設置して、役員と従業員間の交流を促しています。
まずは距離が縮まれば、発想も広がる。空間は創造の土壌になると考えました。今振り返ってみると、2018年以前とは比較できないほど気軽に、グループ間の連携や、コミュニケーションが行われるようになりました。
受付に込めた“船旅”のコンセプト
――来訪者が最初に触れる「顔」となる総合受付については、どのようなコンセプトで作られたのでしょうか。
大澤
総合受付は、“壮大な旅を予感させる港(Beginning of Journey)”をコンセプトに設計されています。海や桟橋をモチーフにした空間で、お客様をお迎えするキャビンをイメージしています。
来客用会議室には、AからYまでの頭文字から始まる世界の港町の名称を採用し、セガサミーグループの世界観を反映しています。「Z」から始まる会議室はないのですが、それは終わりのない旅を意味しているためです。
〝ここから新しい旅が始まる〟。その象徴が、「GRAND HARBOR」です。
――「終わりのない旅」というコンセプトにより、日々の仕事の中でも創造し続けるということが常に意識される環境になっているのですね。
大澤
そうですね。このコンセプトは単なるデザインではなく、私たちの仕事の姿勢そのものを表していると思っています。セガサミーグループは“感動体験を創造し続ける”ことを掲げていますが、それは一度つくって終わりではなく、常に新しい価値を生み出し続けることが求められます。
そうした考え方を、日常的に自然と感じられるようにするために、オフィスの中にもこの“終わりのない旅”という世界観を取り入れています。空間として体現することで、従業員一人ひとりの意識にも働きかけていると感じています。
食堂から生まれる“体験”
オフィスを語る上で、象徴的な空間の一つが、約480席を備え、1日約1,500名が利用する社員食堂「JOURNEY’S CANTEEN」です。
朝8時から夜9時30分まで営業し、モーニングからランチ、カフェ、ディナー、バーまで、1日を通して多彩な使い方ができる場となっています。
セガサミーグループ本社の社員食堂は、単に喫食するということ以上の機能を果たすよう設計されており、社員食堂を訪れた人同士の交流が自然に生まれるような工夫も随所にちりばめられています。季節の訪れを感じさせるシーズン装飾やイベントに加え、グループ各社が手掛ける製品やサービスの記念日などに合わせた従業員向けのコラボレーションメニューも展開。特にコラボレーションメニューは、食を通じてグループ会社のコンテンツへの理解を深めるきっかけにもなっています。メニューや当日の様子は、グループ各社が運営する公式SNSでも紹介され、社外への製品や事業の紹介、ファンとのコミュニケーションにも活かされています。
――コラボレーションメニューはどのような意図で行っているのですか。
伊藤
グループ各社の製品やサービスを、食を通じて知ってもらうことが目的です。周年イベントや新タイトル発売に合わせたメニューなどを展開しており、現在は、年間20件を超えるコラボイベントを実施しています。
例えば、セガサミーグループが運営するスポーツチームとの連動企画もありますし、海外の会社がグループインした際には、その会社のコンテンツ、キャラクターを紹介し、歓迎する意味も込めてコラボレーションメニューを展開したこともありました。知らなかったことを“おいしい体験”を通じて知ることができ、グループ間、従業員間のコミュニケーション促進に活かされています。
総務本部 コミュニケーションサービス部 コミュニケーション推進課 伊藤さん
季節イベントの進化
――季節イベントについても教えてください。
内田
季節の行事などにも合わせてさまざまなイベントも行っています。
ハロウィンイベントでは、仮装をきっかけに、部門を越えた交流が生まれています。経営陣も率先して参加して、自然とコミュニケーションが広がっていきます。当初は大崎のグループ本社のみで実施していたイベントも、今ではグループの他の拠点とオンラインでつないで実施しています。イベントというきっかけがあるからこそ生まれる交流機会の一つです。
また、セガサミーグループでは女性活躍推進に関する認定を受けていますが、その土壌づくりの一環として、2022年から社内イベントを実施しています。開始当初は、経営層と従業員が直接対話する女性活躍をテーマにしたタウンホールミーティングからスタートしましたが、現在では国際女性デーに合わせたイベントの開催や、それにちなんだメニューの展開などへと広がっています。こうした取り組みは、より多くの従業員が参加できるイベントへと進化しています。当初は女性を主な対象としていましたが、現在は男性にも参加しやすい形へと視野を広げています。さまざまな立場の従業員が関わることで、自然な形で多様な相互理解が深まっていると感じています。
さらに、大崎のグループ本社では、マルチカルチャー人財※が増えつつあり、現在30以上の国と地域から集まった従業員が働いています。こうした多様なバックグラウンドを持つ従業員同士が気軽に交流できるよう、出身地や文化をテーマにしたイベントも企画し、対面交流を促すコミュニケーション施策も実施しています。例えば、初めて顔を合わせる従業員同士でも自然と打ち解け、国籍や会社の垣根を越えたコミュニケーションをとるにはどうしたら良いかという視点で企画を考え、地域の食べ物や文化をきっかけに会話が生まれる交流会を開催しました。
※外国籍である、海外滞在歴があり多文化を経験している、英語・中国語など複数の言語で一定のスキルを認められているなど複数の基準から認定して、多様なカルチャーに接し、その経験を業務に活かすことのできる人財
――イベントはどのように企画されるのでしょうか?
伊藤
イベントは毎週の企画会議で内容を検討していて、実際に採用される企画は全体の2割ほどです。
大澤
移転当初はイベントのほとんどを総務のコミュニケーション推進課が企画していましたが、いまではグループ会社から相談をうけて開催したり、グループ会社や従業員が独自に実施したりということもあります。結果、社員食堂を利用したイベントは昨年時点で年間160件にのぼりました。
――それだけ自然発生的にコミュニケーションを取る施策が生まれるような文化に進化してきているんですね。
大澤
そうですね。この実態をうけて2025年には、社員食堂のリニューアルも実施しました。たとえば移動しやすい椅子や机に入れ替えたり、プロジェクターやスクリーンを使い勝手の良い仕様にしたりと、社員食堂の設備をイベントが開催しやすいものにしました。
総務本部 コミュニケーションサービス部 コミュニケーション推進課 内田さん
さまざまな業務シーンに対応する空間づくり
コロナ禍を経て、在宅勤務やハイブリッド勤務など多様な働き方が定着する中、コロナ以降の働き方、従業員のニーズを見据えて誕生したのが「FREEPORT」です。コロナ禍で不足していた対面コミュニケーションの回復を目的に再設計されたスペースです。
カウンター席を中心に構成し、予約も不要でいつでも気軽に立ち寄れる空間として整備されています。ホットコーヒーやフレーバーウォーターを無料で提供しており、コーヒーチャットやカジュアルなミーティングの場として活用されています。現在、ドリンクの利用は1日平均約690杯と、従業員が自然に立ち寄るきっかけとなり、日常のコミュニケーションを支える場として定着しています。
また、「クルー」と呼ばれる専属スタッフが常駐し、施設の管理だけでなく、従業員同士をつなぐハブとしての役割も担っています。
大澤
この空間が完成するまでには試行錯誤がありました。最初は緑あふれる空間にしてみたり、全体的にジャングルをイメージしたデザインにしてみたり、天井に映像を流したり空を表現したりと、さまざまなアイデアが検討されました。しかし最終的には、見た目の派手さや物珍しさよりも、どうしたら実際に人が集まる空間になるかということを重視し、考え抜いて設計しました。
「ちょっと話していこう」と自然に立ち寄れる場所にしたかったのです。
実際に現在は、ランチ後の打ち合わせや夕方の交流などで利用する方もいますし、グループ会社の社長が立ち寄ることもあります。そうして人と人が出会うことでちょっとしたコミュニケーションが生まれています。こうした日常の小さな対話の積み重ねが、グループ内のつながりを生み出しています。
伊藤
また、このコミュニケーションエリア「FREEPORT」の隣には、創造力を広げるための空間として「インスピレーションエリア」が用意されています。セガサミーグループのValue(価値観)である「創造は生命 × 積極進取」があらわすように、エンタテインメントにとってアイデア、創造性は不可欠です。「インスピレーションエリア」はこのアイデアや創造力を発揮するために、落ち着いた雰囲気の中で、自然と新しいアイデアが生まれるよう設計された場所です。デザイン性と機能性を兼ね備えたチェアを配置した個別のワークブースのほか、自由に書籍を手に取ることができるライブラリースペースも整えられています。ライブラリースペースには、一般的な書籍をはじめとして、絵本や漫画、写真集など、さまざまなジャンルの書籍を並べています。
また、空間には環境音が流れ、気分転換を促すアロマの香りが漂うなど、視覚だけでなく嗅覚にも配慮。五感に働きかけることで、思考を切り替えながら創造力を高められる環境が整えられています。
またこうしたコミュニケーションを生む空間とは対照的に、集中して業務に取り組むためのスペースとして設けられているのが高集中エリア「ANCHOR」です。
大澤
一般的に、人が深い集中状態に入るまでには20分前後かかるとも言われています。ところが執務席では電話や会話などでその前に集中が途切れてしまうことも少なくありません。ANCHORは、そうした“集中する時間”を確保するための場所として整備しました。
実際に、短時間だけANCHORに移動して資料作成を行うなど、従業員が業務内容に応じて場所を使い分けるスタイルも広がっています。こうした働き方は、業務内容に応じて最適な場所を選ぶ「ABW(Activity Based Working)」の考え方にも通じるものです。コミュニケーションを促す場所と、集中して考える場所。その両方を用意することで、従業員が状況に応じて働く環境を選べるようになっています。
――コミュニケーションを促進するだけではなく、従業員のクリエイティビティやパフォーマンス向上にもはたらきかけるオフィスになっているんですね。最後に、これからもオフィスの在り方は進化していくのでしょうか?
大澤
オフィスは完成形ではありません。働き方や技術が変化していく中で、空間も常に進化していく必要があると考えています。
AIなどの技術が発展しても、人と人が向き合って生まれるコミュニケーションの価値は今後も変わらないと思います。これからも、従業員同士の対話や新しい発想が生まれる環境を大切にしていきたいですね。
――ありがとうございました。
大崎に集まる多くの従業員が、日々この空間でコミュニケーションを重ね、新しい発想を生み出しています。
「このオフィスは、まだ完成形ではありません。」
大澤さんの言葉のとおり、GRAND HARBORは常に進化を続ける場所です。
ここで生まれる出会いや対話が、新たな挑戦へとつながっていく。
GRAND HARBORは、そのすべての起点です。
この港から、次の感動体験へと続く旅が始まっています。