戦評・コラム
第97回都市対抗野球大会 東京都二次予選 1回戦 vs NTT東日本
2026.06.13 [Sat] 13:00VS NTT東日本
場所:大田スタジアム
中川智裕の満塁本塁打や植田匡哉の攻守にわたる活躍も…死闘を落とし第3代表決定トーナメントへ
社会人野球最高峰の大会である第97回都市対抗野球大会の東京都二次予選が始まった。今季限りでの活動終了が決まっているセガサミー野球部にとって最後の都市対抗予選は初戦から死闘となった。
大田スタジアムにセガサミーのファンや関係者が多数集結。応援席やバックネット裏だけでなく、ライトポール際の席まで埋め尽くした。
それだけに、佐藤俊和監督と選手たちは、「どんなに劣勢でも『サクラ大戦』が流れれば、そこから波に乗っていける」と感じていた。『サクラ大戦』とは、そのテーマソングである『檄!帝国華撃団』のことで、得点時にのみ演奏される。ゆえに1点さえ取れれば、そこから一気呵成に得点を重ねられると信じていた。
そんな願いは7回に叶う。0対4とビハインドを強いられていたが、髙島大輝のセンターオーバーのタイムリー二塁打で1点を返すと『檄!帝国華撃団』が流れ、勢いが一気に増していく。相手投手の四死球もあってチャンスを広げると、宮浦柚基の押し出し四球で2点差とすると、代打・福森秀太のセンター前安打。これで同点とすると、4番・加藤巧也の左中間を破る三塁打で2点を勝ち越し。さらに植田匡哉の当たりもレフト前に落ち、この回一挙7得点のビッグイニングとなり、絶えず得点歌と歓声が響くような時間だった。
だが、このままで終わらないのが都市対抗予選だ。6回、7回と好救援を見せた尾﨑完太からマウンドを譲り受けた草海光貴は8回を三者凡退に抑えたものの、9回に3本のタイムリーを打たれて同点に追いつかれる。
さらに続くピンチでNTT東日本・中村迅の痛烈な当たりはライト頭上へ。誰もがサヨナラ負けを覚悟したが、植田は諦めずに背走すると、めいっぱい腕を伸ばして打球を掴み3アウト。チームを救う超ファインプレーにスタンドは大いに湧いた。
この勢いは無死一、二塁のタイブレーク方式から始まる10回の攻撃にも繋がり、植田と同期入社で7年目の中川が値千金の満塁本塁打。スタンドは揺れ、割れんばかりの拍手と声援が中川に送られた。
しかしその裏、右肘の故障から復帰し2年ぶりの都市対抗予選となった岩本大地が、味方の失策でピンチを広げると、3本のタイムリーで同点に追いつかれる。9回同様に「あと1アウト」が遠かった。11回も植田のセンター前安打で2点を勝ち越したが、岩本がタイムリーと併殺崩れで同点に追いつかれると、続く道原慧の打球は無情にも植田の頭上を大きく越えてサヨナラ負け。
創部史上初の第一代表になることはできず、次戦は18日13時からの第3代表決定トーナメントに回ることとなった(15日に行われる東京ガス対JR東日本の敗者と対戦する)。
佐藤監督は「悔しいですが、これが予選です」と敗戦を受け止めるとともに、中堅・ベテラン選手の活躍に感謝。そして何よりも全国から詰めかけて大勢のファンが「長い時間(4時間3分)の試合になりましたが、最後まで応援してくれました」と感慨深く感謝の意を示した。
満塁本塁打を放った中川も「セガサミーらしくここから勝ち上がっていきたい」と前を向き、攻守にわたる大活躍を見せた植田も「後輩たちには(都市対抗で)東京ドームに行って、多くの人に見てもらって、(移籍の)声をかけてもらえるようになってもらいたいんです」と7年目を迎えた選手らしい思いを語ってくれた。
悔しい敗戦となったことは間違いないが、まだまだ予選は始まったばかり。ここから何度も『檄!帝国華撃団』を流し、それを東京ドームでも轟かせるためにも、選手、スタッフ、応援団は一丸となって戦い続ける。
文:高木 遊(株式会社スポーツオフィスタカギ)
写真:政川 慎治