セガサマニア ―SEGASAMMY INSIDE STORY―
セガサマニア#002 前編
「セガサマニア-SEGASAMMY INSIDE STORY-」は、セガサミーグループ各社の事業活動を「価値創造ストーリー」に沿って読み解くコンテンツです。
価値創造に向けた事業戦略のほか、現場で働く従業員の声や製品開発の舞台裏等、ここでしか読めない「マニアな」エピソードをお届けします。
- セガサマニア 第2回 前編
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2026.9.28
「ペルソナ30周年」世界的IPへの成長ストーリー
前編
セガサミーグループの一員である株式会社アトラス(以下、アトラス)が1996年に第1作を発売したジュブナイルRPG『ペルソナ』シリーズが、2026年9月20日に30周年を迎えました。
現代日本を舞台に、学校生活と非日常が交錯する独自のゲーム体験で多くのファンを魅了してきた『ペルソナ』は、現在までにナンバリングタイトル5作品を展開。シリーズ累計販売本数は全世界で3,000万本を突破(2026年6月時点)し、国内のみならず海外でも高い支持を集める世界的IPへと成長しています。
なぜ『ペルソナ』は時代を超え、世界中のユーザーを惹きつけるのか。
前編ではシリーズの歴史とIP価値拡大の歩みを振り返り、後編では「ペルソナスタジオ」総合プロデューサー・和田和久氏へのインタビューを通して、その価値創造の舞台裏と、これから描く未来に迫ります。
※代表的なタイトルを抜粋したものです。
『女神異聞録ペルソナ』が築き、『ペルソナ2』が深めた、"オンリーワン"の追求
1986年から一貫して、独自の世界観を持つRPGを数多く世に送り出してきたアトラス。代表作の一つでもある『真・女神転生』シリーズの系譜を継ぎ、1996年に誕生したのが、ジュブナイルRPG『ペルソナ』シリーズです。タイトルにもなる「ペルソナ」とは、人の心に眠る“もうひとりの自分”が神や悪魔の姿となって現れた存在。
シリーズでは共通して、ペルソナ能力に目覚めた少年少女たちが出会い、さまざまな事件や困難に立ち向かいながら成長していく物語が描かれます。学生生活や友情、恋愛といった身近な日常をベースにしながら、不可思議な噂や都市伝説などのオカルティックな事件に挑むという、非日常テイストを盛り込んだミステリアスな世界観は、シリーズを象徴する魅力の一つとなっています。
シリーズの出発点となった第1作目の『女神異聞録ペルソナ』は、異界と化した世界を元の姿へと戻すため、高校生の少年少女たちがペルソナ能力を駆使して悪魔と戦う物語です。
続く「罪」「罰」の2編からなる『ペルソナ2』では、「噂が現実になる」という独創的な設定のもと、理想と現実の狭間で揺れる若者たちの姿を描き、シリーズならではのテーマ性と世界観をさらに深化させました。
こうした初期の『ペルソナ』が貫いてきた価値観は、幅広い層への支持を目指すのではなく、あえて対象を絞り、熱心なファンを惹きつける「オンリーワン」の追求でした。
『ペルソナ3』がもたらした、"ユニーク&ユニバーサル"への転換
2006年発売の『ペルソナ3』は、「死」をテーマに、人は限りある命をどう生きるべきかを問いかけた作品です。
主人公が昼は学園生活を送り、1日と1日の狭間に現れる「影時間」ではシャドウと戦う、日常と非日常が交錯するゲーム構造は、その後のシリーズの基盤となりました。
本作は、「オンリーワン」から「ユニーク&ユニバーサル(独創と共感)」へと、シリーズの価値観を大きく転換した作品でもあります。
『ペルソナ』らしい心に響くシナリオはそのままに、ボーカル入りのBGMやスタイリッシュなデザインを採り入れるなど、演出や表現を大胆に刷新。独創性を保ちながら、より多くのユーザーに届く作品へと進化したことで、新たなファン層を獲得し、『ペルソナ3』シリーズの累計販売本数は500万本を突破。シリーズ飛躍の契機となりました。
その一方で、アトラスを取り巻く経営環境は決して順風満帆ではありませんでした。国内家庭用ゲーム市場の縮小を背景に、2000年代に入ると経営は厳しさを増し、組織再編や親会社の経営危機など事業基盤を揺るがす様々な変化に見舞われます。2010年には親会社に吸収合併され、法人としてのアトラスは一度その姿を消しました。
その後、2013年にセガグループの一員となり、翌2014年には、数々の作品を通じてファンに愛され続けてきた「アトラス」の名を再び掲げ、新たな歴史を刻み始めました。激動の時代を乗り越えながら受け継がれてきたものづくりへの情熱は、その後の『ペルソナ』の飛躍を支える原動力となっていきます。
こうした激動のなかでも、開発チームはゲームづくりの手を止めませんでした。会社の形が変わっても、作品の質にこだわり続ける姿勢を貫きます。
『ペルソナ3』で得た手応えは、「厳しい状況でも、自分たちのものづくりは前へ進められる」という確かな自信となっていました。
苦境にあってもブランドの価値を高め続けたことが、アトラスという会社の復活へとつながります。
現在、セガサミーグループでは、感動体験を生み出す原動力である人財への投資に力を入れています。
一人ひとりが“Game Changer”として挑戦を続けられる環境づくりは、困難な状況でも創造性を失わず、新たな価値を生み出してきた『ペルソナ』開発チームの歩みにも重なります。
『ペルソナ4』で本格化した、派生タイトルによるIP戦略
「真実」をテーマに、2008年に発売された『ペルソナ4』は、都会を舞台にした前作とは対照的に、日本の田舎町が舞台になっており、噂をきっかけに主人公たちが連続殺人事件の真相を追っていきます。
登場人物が自らの内面やコンプレックスと向き合いながら成長する物語と、明るくビビッドな作風が幅広い共感を呼び、シリーズの人気をさらに押し上げました。
そして『ペルソナ4』では、ナンバリングタイトルに加え、シリーズの世界を広げる派生タイトルの展開が本格化します。
追加要素を収録した『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』をはじめ、シリーズ初の2D対戦格闘ゲーム『ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ』、リズムアクションゲーム『ペルソナ4 ダンシング・オールナイト』など、RPGの枠を超えた作品へと展開しました。
これらを支えたのが、各ジャンルで実績を持つパートナー企業との協業です。格闘ゲームをはじめ、自社だけでは実現が難しいジャンルにも挑戦。
互いの強みを生かしながら『ペルソナ』らしさを維持することで、新たなゲーム体験を創出し、『ペルソナ4』シリーズの累計販売本数は570万本を突破しています。
さらに、テレビアニメや音楽ライブなどゲーム以外のメディアへの展開も開始しました。世界観をさまざまなメディアへ広げることで、ナンバリングタイトルの発売までファンとの接点を維持し、IP価値を高める戦略が形づくられていきます。
『ペルソナ5』で加速した、グローバル展開とIPの拡張
2016年発売の『ペルソナ5』は、「更生」をテーマに、社会から居場所を失った少年少女たちが痛快な世直しに挑む姿を描いた物語、いわゆるピカレスクロマンとして描いています。
作品づくりへのこだわりは、大衆を巻き込むスケール感のあるシナリオ、ポップパンクをイメージした刺激的なビジュアル、アシッドジャズを取り入れたサウンドへと昇華され、世界的にファンを増やしました。
高い評価は一過性のものではありません。
『ペルソナ5』シリーズは、日本ゲーム大賞の複数回の受賞に加え、2017年には世界的なゲームアワード「The Game Awards」でBest Role-Playing Gameを受賞するなど、国内外で評価を重ね、『ペルソナ』シリーズの認知度を日本だけでなく世界規模でも押し上げています。
また、リマスター版『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』では、15言語での同時発売を実現しました。さらに、過去作もPCを含むマルチプラットフォームへ対応するなど、世界中のユーザーが『ペルソナ』に触れられる環境が整っています。
こうしたグローバルに向けた取り組みの結果、『ペルソナ5』シリーズの累計販売本数は1,300万本を突破。
『ペルソナ』シリーズ全体でも、2020年から2024年にかけて累計販売本数が約2倍へと伸びています。
販売地域の構成比を見ても、北米が約40%を占め、日本は約20%。欧州・アジアがそれぞれ約20%となっており、販売の約8割を海外が占める世界的IPへと成長しています。
※リージョン別販売シェアは、販売拠点ごとに集計しています。
なお、北米拠点は北中南米地域、欧州拠点は欧州地域、アジア拠点はアジア地域およびMENA(中東・北アフリカ)地域の販売を担当しています。
2024年には中国・アジアで、2025年からは日本・北米にてシリーズ初となるF2Pタイトル『ペルソナ5: The Phantom X』を配信。iOS、Android、PC向けに基本プレイ無料で提供し、新たなユーザー層の獲得を図っています。
ゲームを起点に広がるIP戦略と、持続的な成長
近年『ペルソナ』では、『ペルソナ4』以降に本格化したゲーム以外のメディアへの展開をさらに発展させています。
2008年の「PERSONA MUSIC LIVE -Velvetroom in AKASAKA BLITZ-」を皮切りに、音楽ライブは国内外へ拡大。2024年には初の台湾公演を開催しました。
30周年を迎える2026年は、9月から10月にかけて「PERSONA LIVE TOUR 2026 – Resonance -」を開催。国内3都市に加え、ソウル・台北でも公演を行う予定です。
また、お菓子や日用品などの商品化に加え、鉄道車両とのコラボレーションや飲食チェーンでの期間限定メニューの提供など、他業種との協業も広がっています。
ゲームの枠を超えて『ペルソナ』に触れる機会を拡大した結果、20〜30代を中心に、10代から40代まで幅広い年代に支持されるIPへと進化しています。
ゲームを起点に、ライブや商品化、企業コラボレーションへと展開することで、『ペルソナ』はゲーム販売だけに依存しない収益機会を創出するとともに、ファンとの継続的な関係を築いてきました。
そこから得られた収益を新たなゲームやコンテンツへ再投資する好循環が、『ペルソナ』の持続的なブランド成長を支えています。
『ペルソナ』が世界に支持される理由
独創的な世界観だけが、その理由ではありません。
『ペルソナ』がシリーズを通して一貫して描いてきたのは、人との関わりの中で自分自身と向き合い、自ら考え、選択し、成長していく人間の姿です。
その普遍的なテーマを核に据えながら、時代に応じて表現やIP展開を進化させ、作品品質への妥協なきこだわりを貫いてきたこと。変わらぬテーマと絶えざる進化。その両立が、『ペルソナ』を世界的なIPへと成長させました。
2027年2月には『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』のフルリメイク『ペルソナ4 リバイバル』の発売を控え、2026年6月にはシリーズ最新作『ペルソナ6』の制作を発表するなど、『ペルソナ』はさらなる歩みを進めています。
そして30年で培ってきた開発力とブランド力は、2024年発売の完全新作ファンタジーRPG『メタファー:リファンタジオ』をはじめとした、アトラスの新たな挑戦へと受け継がれています。
後編では、30周年という節目を迎えた『ペルソナ』シリーズが、これから何を目指すのか。「ペルソナスタジオ」総合プロデューサー・和田和久氏に、その舞台裏とビジョンを伺います。
©ATLUS. ©SEGA.
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