経営方針
トップメッセージ
CEOメッセージ
4つの強みを発揮し、企業価値の最大化を追求します

2025年3月期は、主に遊技機事業において前期にヒットした『スマスロ北斗の拳』の反動減の影響が大きく、前期比で減収、経常利益段階までの減益となりましたが、当社が重要な経営指標としている調整後EBITDAは増加しました。これは、前期はコンシューマ分野における欧州事業再編に伴い、調整項目である「事業特別損失」の計上が大きかったことの反動によるものです。
エンタテインメントコンテンツ事業においては、コンシューマ分野、映像分野が好調に推移したこと、また前期の欧州事業再編に伴う特別損失の反動から、前期比で大幅に調整後EBITDAが増加しました。遊技機事業については、前期比では減少しましたが、第4四半期には複数のタイトルを投入し、調整後EBITDA 242億円を確保することができました。また、ゲーミング事業においては、ゲーミング機器販売の好調などを受けて前期比で増収となり、調整後EBITDAも黒字化を達成しました。
株主還元につきましては、基本方針に基づき、2025年3月期は通期で52円の配当を実施し、加えて120億円を上限に自己株式の取得を行うことを決定しました。この結果、株主還元の総額は232億円、総還元性向は51.5%となりました。
【中期計画の進捗】

「WELCOME TO THE NEXT LEVEL!」 と銘打った中期計画の1年目として、2025年3月期の調整後EBITDAは当初目標を上回る622億円となり、ROEも12.2%と、順調な滑り出しとなりました。
本中期計画における注力ポイントであるトランスメディア戦略の拡大に取り組み、主要IPの映像化やマーチャンダイジング展開等が進みました。特に「ソニック」IPについては、ゲームの販売だけでなくキャラクターライセンス収入の増加にもつながるなど、同事業における利益成長に寄与しました。
また、事業ポートフォリオの最適化に向けた取り組みとして、フェニックスリゾート及び海外開発スタジオであるAmplitudeの譲渡を⾏いました。一方で、今期より新たな事業セグメントとして立ち上げたゲーミング事業においては、GANとStakelogicの2社の買収を進めました。
中期計画における主要指標の推移

2年目の2026年3月期はF2Pの新作投入の遅れによる影響や、主要IPのフルゲームの新作スケジュールの変更等を主な要因として、ガイドラインを下回る予想としています。
最終年度については、新作F2Pの通期での収益貢献や、フルゲームの大型新作タイトル、底堅く成長を続けるライセンス収入やリピート販売の積み上げ等により、目標を達成してまいります。
【価値創造プロセス】
また当社は昨年、「価値最大化サイクル」と、そこからつながる「価値創造プロセス」を公表しました。

この4つの強みから構築されるサイクルを力強く回すことで、事業領域や地域の拡大が可能になり、それぞれの強みをさらに強化することに繋がり、当社の「社会的価値」・「経済的価値」を生み出す根源となると考えています。
「社会的価値」においては、4つの強みのひとつでもある「人財」について「マルチカルチャー⼈財の育成」、「⼥性活躍」、「中核⼈財の育成」、「職場環境整備」を4つの重要指標として目標を設定しており、全て順調に進捗しております。引き続き、さらに多くの持続的な感動体験の創造を支える人財を育てていくべく、人財の強化に取り組んでまいります。
今後も当社の強みを発揮して感動体験を創造し続けることで、企業価値の最大化を追求してまいります。
CFOメッセージ
最適資本構成にこだわり、積極的な投資を実行して、エクイティスプレッドを拡大します

当社は、2022年3月期に導入した企業価値最大化を目的とした資本効率重視の経営システムを基に、エクイティスプレッドの拡大と積極的な株主還元による、TSR(株主総利回り)の拡大を進めています。エクイティスプレッドを拡大していく構成要素として「利益成長」「資本効率向上」「資本コスト最適化」の3つがあります。それぞれの要素を改善すべく、経営資源と利益の配分を行い、有効な手を打っていくことがCFOとしての私の役割と考えています。
利益成長は、当グループの主力事業の利益拡大を維持させることで、確実に進捗できると見込んでいます。エンタテインメントコンテンツ事業では、コンシューマ分野において、安定的な利益成長を図る体制の確立を目指すとともに、将来の環境変化を見据えた上で積極的な投資を行い、収益拡大を継続してきます。また、遊技機事業においては、規制見直しに対応した競争優位性のある製品の投入によりシェアを拡大しつつ、事業効率を向上させることで、安定収益体制を構築していきます。資産効率向上については、各事業部門が資産効率とキャッシュを稼ぐことを意識した経営を実現するために、ROICを各事業の管理指標として導入を進めています。資本コスト最適化については、最適資本構成によるWACC低減、成長事業投資資金のデット調達、ESG強化による長期リスク低減等を通じて実現する方針です。

投資については、2026年3月期までに、コンシューマ分野、ゲーミング領域、その他のそれぞれの成長領域へ合わせて2,500億円の投資を計画しています。コンシューマ分野では、オーガニックな成長を実現するために開発パイプラインの充実などに対して投資を行うことに加え、戦略に適合する投資先のM&Aなども検討していきます。ゲーミング領域においては、国内外のIR(統合型リゾート)および海外ランドベースのカジノへの参入検討を継続することに加え、海外でのオンラインカジノやスポーツベッティングなどへの投資も視野に検討していきます。参入障壁が高く収益マージンも大きいゲーミング領域を第3の柱として大きく成長させることが、当グループの将来を力強いものにしていくと考えています。

このように、資本効率や財務規律を重視した上で、積極果敢に攻めの財務戦略を実施していきたいと考えています。変化の時代に一歩踏み出した当グループは、挑戦の姿勢を継続することで、投資家の皆様のご期待にお応えしていきます。