戦評・コラム
2024年セガサミー野球部/ルーキー紹介①武冨陸投手 中継ぎのスペシャリストを目指す制球力自慢の左腕
2024/03/19
尾﨑完太と同じ法政大出の武冨陸は、伸びのあるストレートと制球力を武器に小気味のいいテンポで打者と対峙する左腕だ。大学では1年秋のリーグ戦からベンチ入りを果たし、2年秋からは主に中継ぎとして登板機会を増やした。
「大学ではそれなりに投げましたが、チーム内にも凄いメンバーが揃う中で活躍するのが難しいと実感した4年間でした」
生まれは神奈川県の横浜市緑区。上山小学校2年から『グリーンボーイズ』という軟式チームで野球を始めた。
「小さい頃はサッカーをやろうか迷っていましたが、友達の誘いで野球チームに入りました。入った当初から投手でコントロールはよかった。奇跡的に横浜市で優勝しました」
笑顔で少年時代を振り返る武冨は、横浜市立の中山中学校でも軟式でプレーした。中学3年時には全国大会に出場。大舞台では初戦敗退となったが、エースとして活躍した。
県内の強豪校から誘いを受ける中で進学を決めた日大藤沢高校では1年春からベンチ入りを果たす。同年夏の神奈川県大会初戦では先発マウンドを担った。エースナンバーを背負ったのは2年秋から。3年夏には、激戦区・神奈川で決勝の舞台まで勝ち上がった。だが、同校の24年ぶりの夏の甲子園出場をかけた大一番で、東海大相模高校に1対24の大差で敗れて準優勝。先発した武冨は9失点で降板して高校最後の夏を終えた。
「桐光学園高校との準決勝までで燃え尽きていました。ベストピッチングは、1失点完投で勝利した鎌倉学園高校との準々決勝。高校時代は変化球でカウントを整えて、最後はストレートで勝負するような投球スタイルでした。大学ではいろいろと考え過ぎてしまった時期がありましたが、今は高校時代のスタイルに戻ったような感じです」
セガサミーでの1年目は、「中継ぎのスペシャリストになりたい」と意気込む。2月の宮崎キャンプを経て迎えた東京スポニチ大会では、東海理化との初戦で1点差に詰め寄られた6回途中から登板。無死一塁とピンチが続く緊迫した試合展開にも怯むことなく、2イニングスを無失点に抑えて社会人デビューを果たしている。武冨は言う。
「投手として常に大事にしていることは、準備と心構え。僅差の試合展開でも、たとえ点差が広がっていても、いつも同じ気持ちで、平常心でマウンドに上がりたいと思っています。1年目から登板機会を増やして、いろんな場面で中継ぎとして活躍したい。たとえ走者を出しても結果的に無失点に抑える。そこを一番に考えて、勝利に貢献できる投手になっていきたいと思います」
ちなみに、好きな言葉を訊ねると少年時代も思い越してこう即答する。
「早寝早起き」
スクスクと成長して、いずれはチームの中心選手となれるか。その左腕に大きな期待が集まる。