戦評・コラム
第50回社会人野球日本選手権関東代表決定戦 1回戦 vs JR東日本
2025.09.24 [Wed] 10:00VS JR東日本
場所:等々力球場
谷口嘉紀や高本康平の本塁打などで何度も追いつくも競り負け日本選手権出場ならず
都市対抗と並ぶ社会人野球の二大全国大会である日本選手権出場をかけた関東地区代表決定戦2回戦(初戦)が神奈川県の等々力球場で行われた。
3年ぶりの本戦出場を狙ったセガサミーは見せ場を多く作り、JR東日本と好ゲームを展開したが4対5で敗れて敗退となった。
2年連続の敗退となった都市対抗予選から3ヶ月。出社期間や強化期間を経て、チームは心技体すべてで都市対抗予選以上の状態で臨んだ。
先制したのはセガサミーだ。2回裏、都市対抗予選まではベンチを温めることが多かった谷口嘉紀が「上手く反応できました」とレフトスタンドに放り込むソロ本塁打で先制に成功した。
しかし直後の3回表、先発の尾﨑完太が二塁打と連続四球で満塁のピンチを招く。なんとか見逃し三振を奪って2死としたが、西田真二監督はここで交代を決断。「3ヶ月死ぬ気でここに合わせてきて状態も良かったのですが・・・努力が足りなかったということです」と尾﨑は悔しそうに振り返った。
代わった田中法彦だったが、押し出し四球を与え同点を許した。その後のピンチは凌ぎ、4回表は伊波友和が三者凡退に抑えた。だが、4回まで毎回走者を出しながらも谷口の本塁打でしか得点を奪えずにいると、5回表に伊波が四球と連打で勝ち越しを許し陶久亮太に交代。陶久は無安打に抑えたが、守備陣の挟殺ミスもあって走者を残すと、犠飛を打たれて2点差とされた。
それでも粘り強さを発揮する。5回裏には代打で起用された主将の高本康平がライトスタンドへソロ本塁打を放つと、6回には振り逃げや四球からもらったチャンスで宮川和人の当たりが相手の悪送球を呼んで、同点に追いついた。
点の取り合いは続く。6回表から登板していた草海光貴が、7回表に2死から死球と杉崎成のフェンス直撃の三塁打を許し勝ち越しを許すが、その裏に谷口がセンター前タイムリー。この後、谷口はオーバーランで挟殺プレーを生んでしまい逆転はならなかったが同点に追いついた。
息詰まる接戦で、草海もキレ味鋭い球を投じていたが、9回表に再び2死から杉崎成にタイムリーを許し勝ち越し点を献上。草海は「杉崎成ひとりにやられてしまいました」と悔やんだ。
その裏は先頭の加藤巧也が安打で出塁するも、後続が続かず、最後は中川智裕がキャッチャーフライに倒れて試合終了。今年の全国大会への挑戦は終わった。
試合後、選手たちの口からは「負け慣れてはいけない」「勝ち切れるチームにしないといけない」という言葉が並んだ。2年連続で二大全国大会出場を逃す結果となってしまったが、これを当たり前のものにしてはいけない。このひと冬の鍛錬が2年分の悔しさを晴らす大きな鍵となっていきそうだ。
文:高木 遊(株式会社スポーツオフィスタカギ)








