戦評・コラム
第78回JABA東京スポニチ大会 予選リーグ vs 日本製鉄鹿島
2024.03.10 [Sun] 9:00VS 日本製鉄鹿島
場所:神宮球場
落ち着いたマウンドさばきで試合の流れを築いたのは、先発右腕の古屋敷匠眞だ。2回裏まで4つのゴロアウトと2つのフライアウトで三者凡退を続けると、二死から初ヒットを許した3回裏も、後続の打者を力のあるボールでねじ伏せて無失点を継続する。
古屋敷が真骨頂を見せたのは4回裏だ。イニングの先頭打者に対してはボール球が先行するピッチングとなった。それでも、動じることなくカウント3ボールからフルカウントまで持ち込み、最後はレフトフライに討ち取る。3番打者をわずか3球でセンターフライに仕留めると、4番打者に対しては2ボール2ストライクから右肘を下げたサイドスローに切り替えてサードゴロに討ち取り三者凡退。変幻自在の投球術も見せてマウンドを支配する姿に3年目の進化を見た。
「明日は完封を狙います」
古屋敷が力強くそう語ったのは前日の試合後だ。その言葉通りに140キロ台後半のストレートとツーシームなどの変化球を巧みに操り、快調に打者を牛耳る右腕は5回裏と6回裏も無失点。7回裏のマウンドに上がった直後に足がつるアクシデントがあり、先頭打者をセカンドゴロに討ち取った直後に降板となるが、散発3安打の無失点ピッチングは先発の役割を十分に担うものだった。古屋敷は言う。
「ピッチングの状態としては、それほどよくなかったと思いますが、足がつらなかったら完封もいけたと思います」
スタメンマスクの須田凌平は、キャッチャーミット越しに右腕の成長を感じ取る一人だ。
「古屋敷は、ストライク率が格段に上がりましたね。『いつでもストライクが取れますよ』という感じで自信を持って投げている。今日もいろいろな球種を散らしながら、しっかりと抑えてくれました」
相手に決定打を許さなかったのは、古屋敷の後を受けた投手陣も同じだった。7回途中から登板したルーキーの岩本大地は、登板直後に二塁打を浴びるも、後続から2者連続三振を奪って点を与えない。8回裏も無失点に抑えた岩本に続いて9回裏に登板したのは田中法彦だ。レフト前ヒットに左中間二塁打、さらに四球で無死満塁とされるが、後続の6番打者をピッチャーゴロの併殺打に討ち取り、やはり点を与えない。二死二、三塁となったところでマウンドに上がった荘司宏太は、四球を与えて満塁のピンチを背負うも、最後は力感溢れるストレートで3球三振に仕留めてゲームを締める。4投手による零封リレーだ。西田真二監督は言う。
「今日の試合は投手陣がよく頑張った。捕手の須田がうまくリードする中で、『0』に抑えたのはよかった」
4番中川智裕のライト前ヒットを皮切りにチャンスを築いた5回表。無死二、三塁から、6番砂川哲平がファースト強襲のタイムリーヒットを放って2点。7番宮川和人のセンター前ヒット、8番須田のバントヒットで無死満塁とした場面では、9番北川智也がライト前へクリーンヒットを放って1点を追加。さらに3番高島大輝の押し出し死球で得点を重ねた攻撃も試合のハイライトと言えるが、それ以上に粘り強く投げ抜いた投手陣の継投は印象深い。主将の宮川は言う。
「ここまで投打がうまく噛み合っている」
連勝で勢いに乗るチームは、決勝トーナメント進出をかけてリーグ戦3試合目に挑む。
文・写真:佐々木 亨







