ガバナンス
社外取締役メッセージ
世界中を「もっと元気に、カラフルに」していく、
セガサミーのグローバルガバナンスを全力で支えます。
ご自身の経歴をふまえ、どのような視点で社外取締役としての責務を遂行されていますか。
私は日本及び米国資格の弁護士として、30年近くにわたりクロスボーダーのM&Aやファイナンス案件及び国際的なコンプライアンス案件に従事してきました。専門は投資ファンドであり、海外のファンドマネジャーに対する助言も多いため、年金等アセットオーナーである機関投資家を含めた投資家に対するアカウンタビリティという視点を特に重視しています。海外の主要なカジノオペレーターの代理人をした経験もあり、当社が進める海外ゲーミング事業の強化にも貢献していきたいと考えています。監査等委員は会計監査の独立性を監視し相当性に関する意見を述べる立場にあるため、財務指標についても適切に注視していきたいと考えています。
セガサミーホールディングスのガバナンス体制について、総評をお聞かせください。
当社の取締役会は社外取締役が過半数を占めており、社外取締役の女性比率も高く、外国籍の役員も複数いますが、属性の相違を意識した雰囲気がなく、自然にボードダイバーシティが定着している印象を持っています。各取締役がそれぞれの能力や信念に基づいた議論を繰り広げるカラフルな取締役会です。
また、ガバナンス体制についても非常に洗練されていると評価しています。会議体として①「取締役会」、②「グループ経営委員会」、そしてグループ会社の執行サイドの役員を中心とした③「グループ戦略会議」があり、社外役員を含む取締役は原則①及び②に参加することで、モニタリング及びマネジメントボード双方の視点から効率的に経営に参画することができます。③についても重要な会議の録画は①、②の事前資料として社外役員にも共有されます。グループリスク管理等の重要なガバナンス課題に関しては、社外役員が参画する各分科会が設置されており、指名・報酬に係る独立諮問委員会は社外取締役のみで構成されています。
グローバル展開を進めている当グループにとって、グループガバナンスはグローバルガバナンスと同義となりつつあります。海外におけるM&Aを通じて、急速に海外の従業員が増加しており、グローバルレベルで法制度や文化の相違を尊重しつつ求心力もある人財管理がグループガバナンスの重要課題となっていますが、試行錯誤を重ね、そうした課題への対応能力が格段に進化していることを実感しています。
社外役員に対する情報提供体制への評価や課題をお聞かせください。
昨今は、「稼ぐ力」の向上に資するコーポレート・ガバナンスが市場で広く議論されていることから、社外取締役に対してもリスクテイクを適切に後押しするような発言が求められる場合がありますが、そのためには、判断の前提となる適切かつ十分な情報の入手が不可欠です。現場の一次情報が入らない立場として、積極的に質問し、疑問点については追加資料などの提出をお願いしています。
当社は持株会社であるため、当グループの各事業を担うグループ会社及びその買収先とはどうしても距離が存在します。そのため、まずは十分な情報を適時にホールディングス側へ集約することが必要です。そうした情報収集を効率化するために、各事業子会社の法務担当者に、契約書やデューデリジェンス資料等の情報を監査等委員会が直接リクエストできる仕組みを提案しました。契約書条項の是非よりも、むしろ交渉の経過や、人員配置の妥当性、効果的なPMIの実現可能性といった観点で確認しています。
監査等委員は海外往査も行います。実際に現地の社員と直接議論することができると、東京で事務局から報告を受けるだけでは掴めない現場の意気込みや熱意、買収先とのPMIの状況に係る肌感覚を得ることができます。将来、取締役会において追加投資等の審議をする際には、現地で実務を行う人財などを知っている事が書面情報に加えた判断軸の一つとして役立つことと思います。
セガサミーの投資家とのエンゲージメントに関しての評価や重視すべきことをお聞かせください。
近年、機関投資家による取締役とのエンゲージメントへの期待が高まる中、当社株の保有比率が高い海外投資家から社外取締役との対話を求められる機会も増えています。
当社の経営陣はCEOをはじめ投資家とのエンゲージメントに非常に積極的に取り組んでおり、主要な投資家をグループ経営委員会に招いて意見交換を行うなど、様々な形で対話の場を設けています。経営陣による対話が充実している一方で、今後は、社外取締役や監査等委員がガバナンスの観点から投資家に対して説明責任を果たすことが、ますます重要になってきています。グローバル企業の社外取締役として、英語での対話や各国の法域に即した説明力を高める必要があると考えています。
特に当社が第三の柱として注力しているゲーミング事業に関しては、未知のリスク産業というイメージもあり、投資家サイドに知見があまりなく「事業がわからないので評価できない」との声もありますので、理解していただくためのより一層の努力が必要だと考えています。なお、ゲーミング産業は規制産業であり、非常に高いコンプライアンス意識が求められます。同事業の確立に向け、社外取締役がガバナンスをより厳しい視点から監視している姿勢も投資家に伝わればと思います。
事業ポートフォリオマネジメントに対する評価をお聞かせください。
グループの事業ポートフォリオは一見すると各事業のシナジーが見えづらいかもしれません。しかし実際は、安定した収益を生み出す遊技機事業が、他事業への成長投資や株主還元の原資を生み出すなど、キャッシュフローの面で、事業が支え合う構造になっています。そのような中で、役員の株式報酬に加え、国内グループ従業員の持株会参加率が80%超(2025年7月1日時点)と非常に高いのは特筆すべき点です。今後も、グループ全体の成功を、すべての社員が享受できる体制をより強化していく必要があるとも考えています。一方、戦略投資基準に基づく資源配分の過程では、各事業部門が互いにリスクを厳しく評価し合うことで、健全なリスクガバナンスに繋がっていると感じています。
コンシューマ分野では、欧州スタジオの構造改革もようやく一段落したため、欧州事業ではこれからRovioとセガとの本格的なシナジーを生み出すステージに移行しています。昨年Sega Europe Limitedを訪問した際は、現地マネジメントの安定感及びグループへの帰属意識を感じました。これまでの海外買収先の現地経営陣の方針を尊重するスタンスから、現地のオペレーション及び人事を直接に掌握する形に変化しつつあり、海外事業の成否を握る現地の人的資本の確保も経験を積んできている印象です。
ゲーミング事業で買収した企業のうち、Stakelogic B.V.については、クロージングまでの間、買収先との交渉が難航した時期もありました。社外取締役からも厳しい質問が寄せられる中、臨時グループ経営委員会を複数回開催して議論を重ね、買収条件やリスク要因について十分な検証ができた印象を持っています。半面、同社は非上場会社かつ拠点が欧州に点在しているため、今後は、ガバナンス面の強化が課題になっていくと考えています。StakelogicとGANは、今後のオムニチャネル戦略に説得力を与える組み合わせだと考えており、PARADISE SEGASAMMY Co., Ltd.において積み上げてきたランドカジノオペレーターとしてのノウハウも、今後の事業展開への活用が期待できます。
一方、ゲーミング事業の確立にあたり重要なのが依存症対策への取り組みです。当グループは世界で最も厳格な米国ネバダ州をはじめとして30を超える法域*でライセンスを保有しており、異なる法域で培ったコンプライアンスの知見をもっています。そうした知見とこれまで遊技機事業等で培ってきたノウハウを活かし、国境を越えた統一規制と依存症対策の確立に当グループが貢献できることを期待しています。
*2025年6月現在
今後のセガサミーホールディングスへの期待をお聞かせください。
海外に行くと「ソニック」IPの人気と「セガ」ブランドの世界的に高い認知度を実感します。ゲームは今や国境を越え、地球レベルで幅広いファンと感動体験を共有できるエンタテインメントとなっており、そんな感動体験を提供し続けるポテンシャルを持つのがセガサミーグループだと思っています。そうした中で、私は当グループがグローバルな総合エンタテインメント企業として、世界中を「もっと元気に、カラフルに」していくためのグローバルガバナンスの進化を、しっかり後押ししていきたいと考えています。
※本記事は統合報告書2025から抜粋しています。