コラム
セガサミーカップ 3年ぶり有観客開催での挑戦と課題
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セガサミーグループは「長嶋茂雄INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント」第17回大会を8月18日から4日間にわたって、セガサミーゴルフエンタテインメント株式会社が運営する北海道千歳市のザ・ノースカントリーゴルフクラブで開催しました。
138人の出場者がしのぎを削り、最終日の最終盤までもつれる中、15年大会覇者の岩田寛プロが逃げ切り、ツアー通算4勝目を飾りました。

今回のセガサミーカップの企画と運営を担当したセガサミーホールディングス株式会社 広報室 福田氏にインタビューしました。

3年ぶりの有観客開催
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福田: 「プロスポーツは、お客様あって完成するものだということを再確認しました。お客様がいてこそ、感動のシーンが生まれる。無観客は本当にさみしい状態でしたので、選手にとってもお客様にとっても有観客はすごく良かったと思います」
2020年は中止、21年は一般非公開で開催され、3年ぶりとなった有観客。福田氏は「若い人たちにも、ぜひゴルフのたのしさを知ってほしくて、22歳以下を無料にしました。若いグループの方々やお孫さん連れての3世代家族の方々も結構いらっしゃったことが印象的です」と語りました。


実際に来場された方々にもお話も聞くことができました。家族で初めて来場したという札幌市在住の駿之介くん(6歳)は「(ギャラリープラザ※の)ダーツが1番楽しかった。(ゴルフも)すごかった」と夏休みの思い出になったことを明かしました。

同じく札幌市から来場されたIさん(25歳)とTさん(21歳)は「テレビCM」が来場のきっかけだったといい、「やっぱり選手をすごい近くで見ることが出来て、すごい迫力がありました」(Iさん)、「ゴルフを始めたのが2か月前で、ルールも詳しくないですが、実際に見てみて、迫力があるし、(選手が)かっこよかったし、これからゴルフをする参考になりました。来年も来たいと思います」(Tさん)と感想を寄せてくれました。

福田氏が「ゴルフ好きのみならず、行楽、レジャーの一種として遊びにいらっしゃってくれたことを実感できました」と手応えを語りましたが、その一方で課題も浮き彫りになったといいます。
見えてきた課題
4日間の大会期間中2日間が悪天候だったことに加え、北海道という立地面やコロナ禍も影響し、集客面で苦戦したと福田氏は率直な思いを語ってくれました。
最終日こそ1500人を上回りましたが、初日から3日目までは1000人を下回り、4日間の合計人数も今季の男子ツアー平均来場者数に届きませんでした。しかし、その中で様々な試みが行われました。
男子プロゴルフツアー活性化を図るため、若年層のファンをターゲットとした「U22無料入場」(22歳以下の入場無料)を実施し、対象年齢である22歳以下の来場者数は一定の成果を残しましたが、まだ完璧とは言い切れません。
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福田: 「正直一朝一夕では難しいというのが正直な感想です。昔の『私を、スキーを連れてって』というキャンペーンで、大規模なプロモーションをして、集客に困っていたスキー場を復活させた例じゃないですけど、正直セガサミーカップの『U22無料入場』というのはなかなか声も届いていないし、北海道という土地柄、本州からいらっしゃるというのはなかなか難しいことです。コロナの影響がどれだけあるかはこれから検証する必要がありますけど、数字的には苦戦した大会だったと思います」
同時に来年以降を見据えて、「会場周辺からいらっしゃるというのが通常で、立地的なハンディキャップもある中で、来年以降はどういった形で、どのメディアに向けてキャンペーンをしていくべきか。それをしっかりと考えていきたいと思います」と話しました。
若年層にターゲットを絞り、これまで行っていた60歳以上の無料入場を取りやめたことも来場者の減少に拍車をかけました。
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福田: 「ゴルフ業界の(高齢化に伴うゴルフ場使用者や来場者数の減少など)2025年問題などを考えて、あえてご年配方の入場無料を中止にして、若い子たちを優遇する形にしたのですが、今の男子ゴルフのファンは圧倒的にシニア層の方々で構成されています。7割以上が50歳以上のファンの方です。今後は、セガサミーカップでどのターゲットを目指していくのかを今一度考えて、ご年配の方々、若い方々への取り組みを検討したいと思っています」

セガサミーグループとしての活動
ゴルフ業界、そしてセガサミーカップに新たな層を取り入れようと、他にも様々な取り組みを行いました。
選手4人を選んで、合計スコアを競い合う応援型予想ゲーム「みんドリ」を導入し、トーナメント期間中は毎日実施しました。
会場がある千歳市内の小中学校では、セガサミーグループのプロダンスチームで、Dリーグに参戦している「SEGA SAMMY LUX」のダンスレッスンを開催したり、パズルゲーム「ぷよぷよ」のプログラミング講座を開催したりするなど地域貢献も実現しました。
福田氏は「ダンスやぷよぷよもすごく喜んでもらえました。非財務的な価値ではありますけど、スポーツ大会をしているからこそ生み出せているものです。間違いなくスポーツを利活用できているものですので、継続していきたいです」と語りました。



今後のセガサミーカップ
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福田: 「誰しもが見たくなる、来たくなるような大会にしたいですよね。『他の大会と比べて、セガサミーカップって楽しいよね』って思われるように。それは、エンタメ企業のセガサミーだからこそできるとも思います。男子ゴルフの復活とセガサミーカップが楽しいと感じてもらうこと。この2つをかなえたいですよね。一朝一夕にはいかないと思いますけど、(セガサミーが)ゴルフ業界全体の中で担える役割があるはずです。歴史ある他の先輩トーナメントを見習って、50年続く大会を目指していければと思います」
人気面や集客面で苦戦を強いられている男子ゴルフツアーですが、今年得た手応えと課題を来年、再来年以降の大会運営の〝道標〟に、今後セガサミーだからこそやれること、セガサミーカップだからこそ実現できることの大きな可能性に期待感を膨らませました。
