コラム
W杯戦士「鷹ちゃん」も感激…新生サンロッカーズ渋谷のホーム開幕戦を振り返る
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2023年10月19日
今夏、「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」で男子バスケットボール日本代表が歴史を変えた中、セガサミーグループの一員になって2シーズン目のサンロッカーズ渋谷も変化を“追求”するシーズンがはじまりました。コート内ではBリーグ優勝を知る新たな指揮官のもと、6名の新戦力を迎えました。また、コート外でもホームゲームで新たな試みを導入。昨シーズンからの“変化”を感じた、ホーム開幕戦を振り返ります。
熱気で包まれた会場…初観戦ファンも多数来場
待ちに待ったサンロッカーズ渋谷のBリーグ 2023-24シーズンのホーム開幕戦が10月14日、ついにやってきました。チームは、アルバルク東京で過去2度のリーグ優勝を飾ったルカ・パヴィチェヴィッチ ヘッドコーチ(HC)を迎え、「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」での活躍が記憶に新しい、日本代表の♯8 ジョシュ・ホーキンソン選手ら6名の新戦力を補強。キャプテンの♯9 ベンドラメ礼生選手を中心に悲願の優勝を目指します。新生サンロッカーズ渋谷を一目見ようと、会場の青山学院記念館には開場前から多くのファンが詰めかけ、期待の高さをうかがわせました。今シーズンより屋外に物販売り場を設けた試みも、ファンをわくわくさせるのに一役買ったかもしれません。
午後4時30分には一般開場され、会場は瞬く間に熱気で包まれます。顔なじみのファン同士が久々の再会で言葉を交わす様子はもちろん、初めてのバスケ観戦と思われる方々が写真を撮ったり、楽しむ姿もありました。ワールドカップで巻き起こったバスケ熱の高さを改めて感じます。会場には、初めて来場されたファンの方へチームに親しみを持っていただけるよう、今シーズンより「Welcome サンロッカーズブース」が新たに設置されました。初心者の方でも楽しめるよう工夫を施した観戦プログラムや、初来場の皆さまを対象にチームマスコット・サンディーのオリジナルステッカーも数量限定で配布されました。
人気の鷹ちゃんグッズ、新パフォーマンスチームが初披露
今シーズンよりスムーズな決済対応を目的とし、グッズのほか、飲食やチケットブースが一部キャッシュレス化(※1)され、混雑防止を図りました。しかし、屋内の物販売り場にはお目当てのグッズを買い求めようと、長蛇の列ができるほど。
そんな物販売り場の中には、ひときわ人気のグッズがありました。鷹ちゃんことホーキンソン選手の開幕節限定「鷹ちゃんフェイスタオル」や「レプリカユニフォーム」です。開場と同時に多くのファンが手に取っていました。今シーズンよりユニフォームサプライヤーになったニューエラのキャップやアパレル、サンディーぬいぐるみやサンディーマスコットも新製品として注目を浴びました。
そして、選手が入場し試合開始が近づくと、場内が暗転。ファンの皆さんのご協力もいただき、オープニングムービーと選手紹介の音楽に合わせたペンライトの演出が、青山学院記念館を彩りました。さらに会場の高揚感を高めたのが、ダンスパフォーマンスと光、音楽の融合でした。まず、セガサミーグループが運営するプロダンスチーム・SEGA SAMMY LUX(セガサミールクス)が、ホーム開幕戦に花を添えるダンスを披露。日本発のプロダンスリーグ「D.LEAGUE」の21-22 SEASONにレギュラーシーズン総合優勝を飾るなど、実力が折り紙つきのチームは、バスケファンもうならせました。
スターティング5の紹介では、サンディーと、12名の新体制にパワーアップしたサンロッカーガールズ、今シーズンより結成されたパフォーマンスチーム・428 ROCK CREW(フォートゥーエイト ロック クルー)が息のあったパフォーマンスで会場を盛り上げました。昨シーズンの王者・琉球ゴールデンキングスを迎え、#9 ベンドラメ礼生選手、#8 ジョシュ・ホーキンソン選手、♯10 小島元基選手、♯13 田中大貴選手、♯34 ライアン・ケリー選手の5人がコートに立ち、いよいよ試合が始まります。
王者を相手に奮闘、新たな応援スタイルもチームの力に
午後6時5分、ホーキンソン選手と琉球のアレックス・カーク選手のジャンプボールでホーム開幕戦の火ぶたが切られました。昨シーズンまでサンロッカーズ渋谷は、チームの初得点が決まるまで立って声援を送るスタイルを掲げていましたが、今シーズンより試合開始と共に着席して応援するスタイルへ。昨シーズンに続きホームゲーム開幕戦の初得点は、今シーズンもベンドラメ選手から生まれました。
試合は1クォーター序盤にリードを許しましたが、残り5分を切って新加入の田中選手やホーキンソン選手の活躍で逆転に成功します。観客席から「鷹ちゃん、いいよ!」と掛け声が飛び出し、新たなBGMも加わって会場を勢いづかせました。終了間際には♯44 盛實海翔選手の3ポイントシュートも炸裂して27-23で2クォーターへ。その後も王者を相手に接戦を演じて、41-38で試合を折り返します。
手に汗握る戦いの中、ハーフタイムショーにはサンディーとサンロッカーガールズ、428 ROCK CREWが再び登場して会場を沸かせたほか、SEGA SAMMY LUXも圧巻のパフォーマンスを披露しました。
サンロッカーズ渋谷は後半、琉球に苦戦を強いられます。3クォーター中盤以降、ベンドラメ選手や新加入の#5 アンソニー・クレモンズ選手、♯43 永吉佑也選手らが奮闘しますが、63-65と勝ち越しを許し4クォーターへ。点差は一時13点ビハインドになります。
それでも選手は最後まで食い下がりました。ボールを奪ってクレモンズ選手が速攻に結びつけ、ホーキンソン選手が3ポイントシュートを射抜きます。
琉球のフリースローに対しては、ファンによるスティックバルーンと大きな声が効いたのかシュートが外れる場面も。今シーズンは試合後半の3、4クォーターに相手チームのフリースローが2本連続で外れると、1階HOMEエンド席(※2)のお客さま全員にお菓子のチートスをプレゼントする企画もあるだけに、応援にもさらに熱が入ります。サンディーとサンロッカーガールズ、428 ROCK CREWもコートサイドや2階スタンドから、チームを後押ししました。
3,910人の観客が見守る中、終了間際には♯28 津屋一球選手や新加入の♯92 村越圭佑選手ら5人の日本人がコートに立ち、ゴールを目指しました。♯14ジェームズ・マイケル・マカドゥ選手と♯16アキ・チェンバース選手を欠く中、86-93で開幕戦を勝利で飾ることはできませんでしたが、琉球を相手に全選手が出場した経験は次につながるでしょう。
「一緒にこの先のシーズンを乗り越えていきたい」
試合後、ルカHCはコート中央でマイクを握り「皆さんの応援の中で、私たちが勝利を届けられなかったことは、本当に残念に思います。琉球さんはとても強い相手で、私たちは一生懸命戦いましたが、勝ちに届きませんでした。どんな困難があろうと皆さんと一緒にこの先のシーズンを乗り越えていきたいと思います。ぜひサポートをよろしくお願いいたします」と話しました。
また、ホーキンソン選手もルカHCと同じく悔しさをにじませました。記者会見で「(開幕戦は)勝ちたかった」と明かします。ただそんな中、移籍して初のホームゲームは印象深い一戦になったといいます。「他のBリーグのチームにいたときも含めてここ(青山学院記念館)で試合をやったことがなくて、今回が初めて。DJも洋楽をたくさんかけてくださって(アメリカの)大学にいたときのような良い雰囲気の中で試合ができました」とコメント。ホーキンソン選手にとって、ホームの応援は大きな力になりました。
「ものすごくファンの皆さんからエナジーを感じました。“鷹ちゃん”と名前を呼んでくれたし、皆さんが愛を示してくれた。その中で僕が感じたことは自分のベストを尽くして、自分の可能性をすべて出すことです。チームとして勝てるようにベストを尽くしたいし、ファンの皆さんを幸せにしてあげたいし、喜んでもらいたい。今日ここで戦って、改めて思いました」。
その後日曜日の試合も敗れ、チームは開幕4連敗となりましたが、まだまだシーズンは始まったばかりです。開幕前、ルカHCも話していたように、チームは新たな指揮官、スタッフ、選手のもと、まさに「変革期」を迎えており、新しくチームを作り上げる難しさもあるでしょう。
ただ、それは裏返せば伸び代が大きいことを意味します。目の前の試合で得られた収穫と反省を糧に、ひとつひとつできることを積み上げれば、強くて、魅力的なチームが出来上がるはず。今シーズンのチームスローガンは“追求”を意味するPURSUIT(パシュート)。新生サンロッカーズ渋谷が、大きな変化を追い求める過程と、その先に見せる姿は、セガサミーグループのミッション/パーパスである「感動体験を創造し続ける ~社会をもっと元気に、カラフルに。~」を体現することにつながります。来年5月まで続く長いシーズンから生まれる感動体験の、いまはまだ序章です。これからに期待していきましょう。
※1 クレジットカード、電子マネー、QRコード決済が対応可能。現金支払いはなしになりましたが、ピザーラブースでは現金・PayPayが利用でき、カプセルトイブースでは現金のみとなります。
※2 エンド席1~5列目、スタンドB・C