コラム
新メンバー4人と戦い抜いたSEGA SAMMY LUX~振り返るD.LEAGUE 23-24~ステージを超えた「気付き」も
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2024年6月21日
SEGA SAMMY LUXは「第一生命 D.LEAGUE 23-24」でレギュラーシーズン全14ラウンドを戦い抜き、13チーム中8位でフィニッシュ。リーグ開幕以来3シーズン連続で出場していた優勝決定戦・チャンピオンシップ(CS)進出を初めて逃しました。悔しい結果に終わった中、シーズンでの収穫を明かしたメンバーたち。さらにはステージを超え次世代にダンスを広める活動の中で感じた気付きとは。今回、オリジナルメンバーのKENTARO(ケンタロウ)さん、Køødy(コーディー)さんと、ルーキーシーズンを終えたRIMOWA(リモワ)さん、TAS(タズ)さんにお話をうかがいました。
- -シーズンお疲れ様でした。今シーズンを振り返ってみて、いかがでしょうか
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KENTARO
今シーズンはチャンピオンシップに初めて行けなかったので、結果については悔しさが残りますが、収穫のあったシーズンだと思っています。というのも、昨シーズンまでエグゼクティブプロデューサーを務めたBobby(ボビー)さんという僕らの師匠が退任され、今シーズンは選手がメインで作品を作る機会が多くなりました。自分たちの既存のスタイルからなかなか抜けられず、シーズン序盤は試行錯誤していました。
また、D.LEAGUEの流れをつかむのにも苦労がありましたね。リーグは、ダンススキルを測る技術要素と、観客の皆さんをいかに盛り上げたかを測るエンタテインメント要素の2つがあり、ジャッジによって僕らのパフォーマンスが評価され、点数がつきます。このバランスはシーズンごとに変化するのですが、今シーズンは開幕から3ラウンド続けて勝てず、「今のやり方だと勝てない」という話をチームでもしていたんです。
でも、そこからみんなでもがいて、後半のラウンドになってくると、ようやく固定観念が良い意味で壊れて、今までのSEGA SAMMY LUXにはないダンスを表現できたと思います。
- -シーズンの後半、良い状況になってきたラウンドは、どの辺だったのでしょうか
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KENTARO
一気に苦しい状況から抜け出せたというより、ちょび!、ちょび!っと小さな変化が起こった感じです(笑)。自分なりのきっかけは、今シーズン初勝利をつかんだラウンド4です。ベートーヴェンの『月光』をサンプリングした曲を使って、ピアノの落ち着いた音色で始まり、だんだんSEGA SAMMY LUXの得意なヒップホップな世界観へと見ている方を引きずり込むような表現ができました。結構、手応えのあるラウンドになったと思っています。
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Køødy
今シーズンはCanDoo(キャンドゥ)さんがディレクターとしてメインで作品作りを進めてくれて、新しく4人のメンバーも加わりチャレンジができたシーズンだったと思います。特に新メンバーの存在は大きくて、ラウンド3では新メンバーにも意見を出してもらって、普段僕らが触れないような動きを組み込みました。結果として勝利をつかむことはできませんでしたが、新しいSEGA SAMMY LUXを見せられたと思います。
- -ラウンド4の勝利後、一時苦戦しますが、ラウンド9、10で連続のスウィープ*勝利がありました。巻き返した中盤戦だったと思いますが、あの時期のチームをどう見られていましたか
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Køødy
中盤戦はチームの浮き沈みがひどくて…(笑)。みんなでつかんできた感覚はありましたが、まだ迷っていました。スウィープという結果だけ見ると良かったのですが、良くも悪くもSEGA SAMMY LUXとしてどう表現していくのか、ブレブレの時期だったと思います。
*オーディエンス票も含めたジャッジ6票全てを獲得し完全勝利すること
初勝利で新メンバーが感じた“嬉しさ”と“悔しさ”
そんな紆余曲折のある中、ルーキーシーズンを過ごしたのは、RIMOWAさん、TASさん、JO(ジョー)さん、MAAAO(マオ)さんの4人です。今回インタビューにお越しいただいた、RIMOWAさんとTASさんは何を思っていたのでしょうか。新メンバーが中心となってつかんだ最終ラウンド勝利の想いとは。
- -まずRIMOWAさん、今シーズンを振り返ってみていかがですか
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RIMOWA
出場回数はそんなに多くありませんでしたが、正式メンバーとして活動ができて学びの多いシーズンになりました。例えば、ラウンドへ出ない時もカメラワークや照明の打ち合わせを行なったり、衣装やメイク案を準備したりと、見えるもの以外の部分に携われて、出場メンバーでなくても一生懸命動いている人がいることを、身をもって感じました。
- -チームを支える役割は、どう見つけたのですか。衣装の準備で苦労もありましたか?
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RIMOWA
カメラワークや照明は、KENTAROさんやKøødy君などオリジナルメンバーの皆さんから引き継いで、覚えていきました。衣装は主にNOSUKE(ノスケ)さんが担当されて、アクセサリーなどの小物は私を含めて何人かで手分けして手配しました。時には自分たちで買いにも行きました。すぐ手に入らない場合は、いろいろな店舗を回ったり、衣装探しを任された時もしっくりくるサイズを見つけるまで買い直したり、大変でした。
- -選手としては、ラウンド3で初出場しました。パフォーマンスはいかがでしたか
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RIMOWA
ラウンド3はみんなにとっても挑戦の作品で、自分も未知の世界でした。どう表現しようか悩みも多かったんです。みんなからアドバイスをいただきましたが、頭では分かっていても、それを体現できない苦しい時期もありましたね。でも、新しいものに挑戦して得られる学びも大きくて、練習を頑張っていた思い出もあって、そんな経験ができてすごく良かったです。
- - TASさんは、どんなルーキーシーズンでしたか
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TAS
今シーズンは、人生の中で一番の変化がありました。SEGA SAMMY LUXに入る前はソロ活動でのバトルが多かったのですが、チーム活動になったので環境が一変したんです。それによって、周りから意見をいただく機会が増えて、いろいろな刺激を受けて固定観念が壊れました。それこそ初めて出たラウンド3も、自分が未経験のジャンルでした。新しいものに触れたり、作品がどう周りに見られるのか考えるようになったりして、今までにない表現の仕方も見つかったと思います。練習では僕がチームの足を引っ張るわけにいかないので、追いつくことに必死でした。そういった経験によって、だんだんと「成長した」と思えることも多かったです。
- -チーム活動だと、自分では「できている」と思っていた部分が、実は「できていない」と指摘を受けた時もあったかと思います。様々な気づきのあるシーズンになりましたか
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TAS
メンバーの皆さんからダンスのシャワーをめちゃくちゃ浴びましたね。自分が得意と思っていた技でも、できていない。自分が思っていた表現と違うし、価値観の違いも感じました。でも、みんなが僕を良い方向に導いてくれて、今までの自分が思ってきたダンスの殻から抜け出しつつあって、ひと回り大きくなれたと思います。
- -レギュラーシーズンの最後のラウンド14では新メンバーがそろってステージに立ち、勝利をつかみました。そのラウンドについては、どう受け止めていますか
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KENTARO
新メンバー4人ともDリーグでの初勝利だったね!
RIMOWA
私は以前SPダンサー(=1シーズンに3度出場できる、チームに所属しないダンサー)で2度、ラウンドへ出場したのですが、そのときから負けていたので勝つイメージが本当に湧かなかったんです。なので、最後の最後に出場するチャンスをもらって、夢だった「勝ち」を手にして、ステージでSEGA SAMMY LUXの名前が呼ばれたときは実感がなくて。“え…!あ、勝ったんだ…”という感じで。花道を通って帰るにも、初めて勝ったので通り方が分からなくて(笑)
でも、花道の周りに座っているお客さんから「おめでとう!」「やっと勝ったね!」と声をたくさん掛けてもらって、そこで初めて「嬉しい!」という気持ちになって、ここまで頑張ってきて良かったと思いました。
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TAS
僕はとても悔しい気持ちが湧いたんです。ラウンド14で勝つまでは、自分も出たラウンドで負け続けていたので、チャンピオンシップへ行けないという現実に対して、正直に言うと“行きたかったな”くらいに受け止めが軽かったんです。でも、最後のラウンドで初めて勝って、「勝ちの味」を知ったからこそ、チャンピオンシップを逃してしまったことの大きさに気がつきました。どうしても行きたかったという気持ちが一気に出てきました。
- -そんな新メンバーたちをKENTAROさんやKøødyさんは、どう見られていたのでしょうか。なかなか勝てない中でもチームを作っていく大変さがあったのではと想像しているのですが
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KENTARO
タイプが違う4人の選手が加入して、SEGA SAMMY LUXの幅が広がって、パワーアップしていると思っていたので、大変さは無かったです。4人にのびのびとやってもらった結果、成長していった印象です。
Køødy
4人のチーム加入後、まだ僕たちとの関係性が浅い段階でシーズンが開幕したので、最初はお互い探り探りでした。どんな技を持っているのか。どんなジャンルが得意なのか。お互い持っているダンスの引き出しを開けながら、作品を作っていったように思います。「この技できるんだ!」とか「振り付けを作るの上手い!」など、シーズン後半で新メンバーの特性がどんどん見えてきました(笑)
ラウンド14の構成も新メンバーがほぼ作りました。チームとしてチャレンジした新メンバーメインによる振り付けの作品で勝てたので、とても良かったと思っています。
スクール活動は、ダンスを次世代へ教えるだけにあらず
今シーズンのSEGA SAMMY LUXはD.LEAGUEのステージを超えた活動でも広がりを見せました。それは、次世代へダンスを教える取り組みです。東京では部活動の地域連携・地域移行に向けた取り組みの一環として、昨シーズンから取り組んでいた品川区に加え、大田区で中学生などを対象にしたダンススクールがスタート。さらに宮崎でもメンバーが講師を務めるダンススクールが行なわれました。それぞれの活動の中で感じた「気づき」とは。
(令和5年以降、休日における部活動の段階的な地域移行を行政が推進しており、SEGA SAMMY LUXも地域とダンスのさらなる発展に貢献すべく取り組みをスタートしています)
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KENTARO
それこそ、TASはダンスを教えること自体、初めてでしょ?
TAS
そうですね。しかも、一度に30人へダンスを教えることになるとは思わなかったです。クラスという形で教えた経験は無かったので…。特に中学生は思春期ということもあり、どんな距離感で接していいのか探り探りでした。冷静に考えたら全員年下なので、距離を縮めるために敬語でなくとも良かったと思いますが、最初は変に敬語を使ったり、語尾も迷ったりで……。
KENTARO
語尾をくっつけたような喋り方してたよね。「それではやってみよう!…かな?」という言い方で(笑)
TAS
そうです(笑)しかもやってみると、ダンスの振り付けひとつ取っても言葉で説明するのが難しい。レッスンを通して伝え方を考えていったので、その点は成長したと思います。
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KENTARO
スクール活動はある意味で「夢を叶えてもらった場」でした。僕は大学時代に教員になりたくて、実は教員免許も取っているんです。当時と科目は違いますが、ダンスを通して教える立場になって中学生とコミュニケーションを取れて、本当にありがたいです。また、大田区のスクールは学校の部活動の延長という位置づけなので、他のところでバリバリにダンスを習っている子と、ダンスを始めて間もない初心者の子が一緒にやっています。スキルの違う子たちでもダンスを通して表情がパッと明るくなったときに、このまま楽しい気持ちを持ち続けてもらえたら嬉しいなと思いながら教えています。
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Køødy
僕たちのダンスはジャンルの大枠で言えばヒップホップになりますが、その中でもニュージャックスイング、J.S.Bベーシックというニッチなジャンルなんです。自分たちのダンスを中学生に教えられるのがありがたい機会だと思っています。まだ踊るダンサーの少ないジャンルなので、みんながどれだけやってくれるかと始まる前はドキドキしていますけど、いざ始まるとみんなが盛り上がるステップを発見できたりして、教える過程で学びがあります。レッスンの中で生まれたステップもあるんですよ。みんなの波長が合って、そのバイブス*で良い雰囲気になると嬉しいです。自分たちのジャンルを広めつつ、みんなで楽しく踊るというすごく良い経験ができる場だと思っています。
*言葉がなくても伝わってくる雰囲気、空気感、気合いなどを表すヒップホップ用語
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RIMOWA
私も、教えられる機会をいただけてとても嬉しいです!ダンスを言語化するのは難しいのですが、教えられる経験は学びばかりですし、1回のレッスンで子どもたちが成長していく姿を見られると楽しくなります。今は前日からレッスンでどんな振り付けを教えようか考えて、当日を迎えています。あと、レッスン生から頂いた感想を読んで「教え方が丁寧でわかりやすかったです」や「楽しくて家で練習しようと思います」など感想をもらうと’ダンスの先生’としての実感が出てきて、自分にとってダンスを教えることにさらに興味がわいてきました。
- -来シーズンに向けて、意気込みをお1人ずつお願いします
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TAS
チャンピオンシップには、絶対に行きます。そのために、オフシーズンでどれだけ自分のスキルや、表現のバリエーションを増やせるか。他のDリーガーに負けないような、たとえ数秒だけでも自分を魅せられるものを探って磨いて、来シーズンへ生かしていこうと思っています。
KENTARO
僕もチャンピオンシップ進出は叶えなくてはいけない目標です。まずは逃してしまった舞台へ確実に行けるように、チーム力を高めたいです。そのためにも個人の頑張りが必要です。それが、チーム力になりますから。そして来シーズンは、SEGA SAMMY LUXという存在がいま以上に広まるようなシーズンにしたいですね。今年8月にワンマンライブもやります。来年のいま頃にはチャンピオンシップへ出場し、次のオフシーズンにもっと大きい場所でワンマンライブをする…。個々のメンバーが、スターのような存在に近づいていけたらといいなと思っています。
Køødy
僕もチャンピオンシップに行きたいですし、その景色をまだ見ていない新しいメンバーたちと見たいですね。僕やKENTAROさんはじめ、オリジナルメンバーは3回も見ているので。もちろん、挑むには大変な舞台ですが、それでもトップレベルを知って欲しいと思っています。D.LEAGUE以外のコンテストへも出場したいですし、どこを取っても上を目指していけるシーズンにしていきたいです。
RIMOWA
私もチャンピオンシップ進出、シーズン優勝をチームのみんなと一緒に目指していくんですけど、KENTAROさんが言ったように各々がスター性を身に着けていくことも大切だと思います。私はアーティスティックな部分をもっと磨いて唯一無二のDリーガーになりたいです。
KENTARO
ワンマンライブでは、RIMOWAのアーティスティックな部分が見られるかも?
RIMOWA
見られるかもしれないですね!Dリーガーとして誇れるように、自分の尖っているところを光らせていこうと思います。
異口同音に、「もう一度チャンピオンシップを目指す」という思いを語ったメンバーたち、オフシーズンの自己研鑽、さらに8月の初ワンマンライブを経て、今秋、D.LEAGUEのステージへさらに進化したSEGA SAMMY LUXが戻ってくることを期待しましょう。
【ワンマンライブの予定】
SEGA SAMMY LUX初のワンマンライブを今夏、開催いたします。
・開催日 :2024年8月22日(木)
・開催場所:Spotify O-EAST(オーイースト)渋谷区道玄坂2-14-8 2F
チケットは下記リンクからご購入できます。(チケット販売サービスTIGET)
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