コラム
夢のプロ野球へ~ドラフト3位指名・荘司宏太 セガサミー野球部で迎えた人生の“ターニングポイント”
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2024年11月11日
10月24日に行われた『プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD』にて東京ヤクルトスワローズより3巡目にて指名を受けた、セガサミー野球部・荘司宏太(しょうじ こうた)投手。
「夢だった」と語るプロ野球の世界への扉を開くきっかけとなったのは、セガサミー野球部で過ごす日々で迎えた“ターニングポイント”だったと語ります。荘司投手に、今の思いを伺いました。
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荘司宏太(しょうじ こうた)
東京都八王子市出身。小学2年生の時から野球を始め、駿台甲府高等学校では1年生夏からベンチ入り。国士館大学を経て2023年にセガサミー入社。身長172㎝、体重85kg。ストレートの最速は150km/h。左投・左打。
ドラフト指名された時はまだ夕食を食べていた
「東京ヤクルトスワローズさんからご指名を受けた際は、こんなに早く名前を呼んでいただけるとは思っておらず、セガサミー野球部の寮にてみんなで夕食を食べていました」。笑顔でドラフト会議当日を振り返る荘司投手。しかし、大舞台前日はとても笑っていられる状態ではなかったと語ります。「普段は大事な試合の前日もすぐ寝られるタイプなのですが・・・ドラフト会議はまさに『人生がかかっている』状況でしたので、前日は深夜3時頃まで全く眠れませんでした・・・」。
普段は試合で登板する直前にようやく少し緊張するという『強心臓』。西田真二監督(元・広島東洋カープ)から『だるま』というニックネームをつけてもらい、シーズンを通してどっしりとマウンドを守ってきた荘司投手をも“ド緊張”させたドラフト会議当日。自身の中では「もし指名を受けても5位、6位くらいなのではと考えていた」ことから、野球部の寮で仲間と夕食を食べながらテレビ中継を眺めていたといいます。
ドラフト会議は3巡目指名に突入。テレビ越しに見つめる指名会場に、MCの声が響きます。「第3巡選択希望選手・東京ヤクルト・・・荘司宏太、投手。セガサミー」。
「やった!」夕食会場で荘司投手と共にドラフト会議の様子を見守っていた西田監督、そして仲間たちから大きな拍手を受けたという荘司投手。プロへの扉が開かれた瞬間でした。
「指名された時は本当に嬉しくて・・・周りにセガサミー野球部メンバーもたくさんいてくれたので、みんなも同じように喜んでくれました。東京ヤクルトスワローズさんは私の出身地・東京のチームでもありますし、入るなら関東の球団に入りたいと思っていたので、より嬉しかったです。」と荘司投手は喜びを語ります。
ドラフト上位指名でプロ野球の世界へ挑むこととなった荘司投手ですが、セガサミーでの野球生活は、決して順風満帆なものではなかったと振り返ります。
調子が上がらずサポートも経験
- -セガサミー野球部に入部して2年目ですが、1年目はどんな新人時代を過ごしたのでしょうか
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荘司
毎年セガサミー野球部が2月頃に行っているキャンプから練習に参加しました。私はストレートが持ち味なのですが、先輩たちにバンバン打たれてしまい、いきなりレベルの高さを痛感させられました。新社会人なので精神的に大変な部分もじわじわ出てきて、ピッチングの状態も全く上がってきませんでした。入部してから半年近くは、試合のビデオ撮影や裏方としてのサポート業務が中心でした。
小学2年生から野球を始め、高校時代は1年生の夏の大会から早くもベンチ入り。大学時代は抑え投手として常に第一線で活躍し続けてきた荘司投手にとって、チームのサポートに回ること自体、野球人生で初めての経験だったと言います。「サポート業務をたくさん経験して、自分はたくさんの仲間たちに支えられて野球をしていたのだと、改めて気付くことができました」。
運命を変えた“ターニングポイント”
荘司投手が入部して1年目のセガサミー野球部は、5月から6月にかけて行われた都市対抗野球東京都2次予選にて第4代表※として本大会出場の切符をつかみ取りました。しかし、予選の全5試合ともに、荘司投手は一度も登板機会を与えられることはありませんでした。
※当時東京都2次予選に出場した8チームが東京ドームにて開幕する本大会の四つの出場枠をかけて争った
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荘司
チームは勝って負けての繰り返しで、何とか第4代表として都市対抗野球本大会へ出場を決めましたが、私はずっと裏方で・・・不満が表情や態度にも出てしまっていたんだと思います。そんな時、陶久(すえひさ)コーチから食事に誘っていただきました。
当時、荘司投手を食事に誘ったのが、セガサミー野球部でも抑え投手として長年活躍し、現在は投手コーチを務めている陶久亮太(すえひさ りょうた)さんでした。
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陶久コーチ
荘司はストレートで空振りが取れる投手だと感じ、西田監督とも相談したうえで獲得しました。彼は人の懐に入るのも上手く、後輩・先輩関係なく好かれる人間性も魅力です。大学時代から引きずっていた怪我の影響も多少はあったのでしょうが、入部1年目は正直「大丈夫かな・・・」と感じるほど投球に乱れがありました。私も現役の時は入社してしばらくレギュラーメンバーに入れなかったことがあり、その時のもどかしさや悔しさは外れた本人しか分からないものがあると思っています。何か伝えられるものはないかと考え、荘司を食事に誘いました。
- -荘司投手にはどんなアドバイスをされたのでしょうか
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陶久コーチ
本人も悩んでいたので、「今の状況分析と今後の目標を明確にしよう」と話しました。レギュラーに選ばれるためには西田監督へインパクトのある投球を見せなくてはいけません。荘司には決め球のストレートがあり、チェンジアップやカーブなどの変化球もいいものをもっていました。ストレートをより『武器』にするため、変化球の精度をあげていくのはどうかと話し合いました。
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荘司
「僕はどうしたら試合に出られるでしょうか」と正直に思いを打ち明けました。陶久コーチからは、「調子が悪い時だからこそ、変化球でいつでもストライクが取れる状態にもっていこう」と声を掛けていただき、そこから変化球の練習に力を入れました。すると結果的にストレートも球が走る(球威が出ること)ようになり、高校・大学の時よりリズムよくストライクカウントがとれだして、投球術に幅が出ていきました。陶久コーチからのアドバイスはまさに“ターニングポイント”で、あそこから自分でも急速に状態が上向いていったと感じています。
自慢のストレートが走らない現状と、変化球の精度を上げて1つ上の投球術を目指す。現状分析と目標が明確になった荘司投手は、都市対抗野球東京都2次予選終了後わずか1ヶ月半後、本大会でいきなり登板機会を得ることとなります。
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陶久コーチ
2次予選の5試合で1度も投げていない投手が、本大会でいきなり登板するのは通常ありえないことです。それだけ彼が短期間で集中して努力を重ねた結果だと思います。
荘司投手が都市対抗野球本大会で初めてマウンドに上がったのは、2023年の本大会1回戦・三菱自動車岡崎との一戦でした。3対3の同点で迎えた7回裏、2番手の古屋敷投手が相手打線に捕まり4点を献上。なおも2アウト2塁1塁と得点圏にランナーを残した場面での登板となりましたが、荘司投手は相手バッターをショートゴロに打ち取り、それ以上の追加点を許さないピッチングを披露しました。
今年の都市対抗野球ではセガサミー野球部は本大会に出場できなかったものの、荘司投手は東京都代表・東京ガスの補強選手※として本大会へ出場。2回戦のENEOS(横浜市代表)戦では8回から登板し、打者7人に対して2奪三振。ストレートは自己最速を更新する150km/hをマークしました。さらに10月には2026年に愛知県で行われるアジア大会へ向けた、『侍ジャパン社会人日本代表』候補に選ばれるなど、1年間で目覚ましい成長を遂げます。
※都市対抗野球大会において各地区の代表チームが、同地区の地方予選で敗退したチームから最大3名まで補強選手として選出することができる制度
- -1年間で自身がガラッと変わっていきましたね
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荘司
不思議なものですね・・・自分でもこんな状況になるとはまだ信じられない気持ちがあります。
今年の宮崎キャンプの時も一時調子を落としていたのですが、陶久コーチにはずっとマンツーマンでご指導いただき、そのお蔭でしっかり調整ができたため、都市対抗野球でのピッチングに繋がったと感じています。
セガサミーでの“ターニングポイント”を経て急成長を遂げた荘司投手。きっかけを与えてくれた野球部への想いを聞きました。
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荘司
周りの選手に愛されて野球ができたと感じた2年間でした。セガサミー野球部では、先輩、同期、後輩含めてたくさんの仲間が気にかけてくれて、アドバイスや叱咤激励をもらいました。損得なしにたくさん声を掛けてくれた仲間たちのことはこれからも大切にしないといけないと思っていますし、たくさんの学びがあった2年間でした。
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-セガサミーのミッション/パーパスは『感動体験を創造し続ける~社会をもっと元気に、カラフルに。~』です。
プロ野球の世界ではどんな感動体験を提供しながら戦っていきたいと考えていますか? -
荘司
見ていてワクワクするような投球をお見せして、感動してもらえたらいいなと思います。中継ぎの目標としては年間50試合に出場すること、そしてチームを優勝に導くことなので目標に向かって頑張ります。プロの世界は本当に厳しいと思いますし、日々試行錯誤しながら生き残っていきたいです。
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陶久コーチ
抑え投手として期待を込めて指導した1年間でしたが、ここまでの選手に育ってくれて驚いています。荘司自身の努力の成果でいいピッチングができ、それをプロのスカウトの方にも評価してもらえてホッとしましたし、ドラフト会議で彼の名前が呼ばれた時は私も本当に嬉しかったです。より高いレベルでプレーすることになりますが、1年目からチームの軸となって活躍できるよう頑張ってもらいたいです。
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荘司
セガサミーで過ごした2年間は、感謝してもしきれないものがあります。プロの世界で結果を残して、仲間たちに見てもらいたいです。自分はたくさんの壁に当たってきましたが、支えのお陰で前を向くことができました。(投球スタイルが“火の玉ストレート”と称される)藤川球児さん(現・阪神タイガース監督)の投球に憧れてきたので、セガサミーで付けていただいたニックネームと合わせて、『だるま火の玉ストレート』で真っ向勝負します。
セガサミーの『だるま』から東京ヤクルトスワローズの『だるま』へ。火の玉ストレートとともに自身も“浮き上がる”ような活躍を期待しています。頑張れ、荘司投手!
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