コラム
保育士からプロバスケットボールの世界へ転身!サンロッカーズ渋谷を支えるチームマネージャーの仕事とは
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2024年12月6日
プロバスケットボールクラブ『サンロッカーズ渋谷』の主役はコートで驚きのパフォーマンスを見せてくれる選手たちです。そんな彼らのパフォーマンスを裏方として支えているのが、スタッフの存在。今回はマネージャーとしてチームを支える松岡萌那(まつおか もな)さんにお話を伺い、別業界からキャリアチェンジし飛び込んだプロバスケットボールのマネージャーのお仕事と、彼女の信念に迫ります。
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松岡萌那(まつおか もな)
サンロッカーズ渋谷のチームマネージャー。これまでマネージャーとして2020-2022シーズンを鹿児島レブナイズ(当時B3)で、2022-2023シーズンを新潟アルビレックスBB(当時B1)にて過ごし、2023-2024シーズンよりサンロッカーズ渋谷に加入。
別業界からプロバスケットボールの現場へ
2023-24シーズンからサンロッカーズ渋谷のマネージャーとして活躍する松岡さんは、中学校、高校、大学とバスケットボール部に所属。子ども好きということもあり、大学卒業後には一度保育業界へ進みます。その後コロナ禍を経て、「プロの現場でバスケットボールに関わりたい」という思いが強くなり、キャリアチェンジをしてB.LEAGUEへ飛び込む決断をします。
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松岡
中学校と高校時代はプレーヤーでした。しかし高校の引退試合で膝の靭帯を切ってしまい、プレーを続けることが難しくなったため、大学からマネージャーとしてバスケットボールに関わるようになったんです。大学卒業後は保育士として働きながら、クラブチームでマネージャーを続けました。コロナ禍に自分の人生を考え直す時間が増えて、「プロの現場でマネージャーをやってみたい!」という気持ちが芽生えて行動した結果、B3のクラブでマネージャーとしてのキャリアをスタートすることができました。
特殊な仕事であるプロスポーツクラブへの転職は簡単ではなかったそうです。その中で、彼女の洞察力と行動力が道を切り開いていきます。
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松岡
コロナ禍の冬に前職の退職を決めてからクラブを探し始めたのですが、シーズン途中だったため、4月から入れていただけるクラブを探したんです。ただ、私はプロの世界でのキャリアがなかったので、いきなりクラブにメールを送っても良い反応をいただくのは難しいと考えていました。そこで、大学時代の部活動の先輩で、先にプロバスケットボール業界で働いていた澁澤 秀徳(しぶさわ ひでのり)さん(現サンロッカーズ渋谷アシスタントコーチ)や、様々な方の力を借りて、(当時のB3ではマネージャーがいないクラブもあったので)マネージャーを必要としているクラブに話を聞いていただき、キャリアのない自分でも必要としてもらえるクラブを探し出しました。
結果的に鹿児島レブナイズからオファーを受け、松岡さんのマネージャーとしてのキャリアがスタートします。そんな中、飛び込んだプロバスケットボールのマネージャーという職業には、少なからず驚きがあったといいます。
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松岡
まずは私自身がプロバスケットボール選手と接したことがなく、友人にもプロ選手はいませんでした。部活とクラブチームでの経験しかなかったため、マネージャーを仕事として給料をもらうということは想像していたよりも大きなプレッシャーを感じました。今までとは違う考え方の中で、最優先にするべきことやどのように選手をサポートするべきなのか、最初はわからないことばかりで戸惑いがありました。所属させてもらった鹿児島レブナイズにはマネージャーがいなかったので、どこまでを自分がやるべきなのかということも手探りで進めなければならず、とても悩みましたね。その中で、マネージャーがどんなサポートをするとチームがより良く活動できるのかを当時のチームメイトやクラブスタッフに相談しながら学んでいきました。
サンロッカーズ渋谷への加入で学んだこと
2023-24シーズンからサンロッカーズ渋谷に加入した松岡さんは、2025年に創部90周年を迎える、B.LEAGUE最古の歴史あるクラブにポジティブな驚きを感じます。トップクラブであるがゆえに、仕事への向き合い方や自身の振る舞いなど、今でも日々多くの学びを得られているそうです。
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松岡
歴史あるクラブですし、これまで在籍させてもらったクラブとの環境の差には驚きがありました。スタッフの数も多く、マネージャー業務を円滑に進めるために必要だと理解してもらうことができれば、課題解決のために投資していただける資金力もあります。私が加入するまでマネージャーをされていた岡部大河(おかべ たいが)さん(現チームディレクター)から、選手サポートの仕方からクラブのカルチャーまで様々なことを教えていただき、引き継ぎもスムーズに行うことができました。岡部さんはマネージャーも含めてサンロッカーズ渋谷で5年のキャリアを積まれているので、私が加入した昨シーズンは「岡部さんの意見を聞いていれば間違いない!」という感じでたくさん頼らせてもらいました(笑)
- -普段のマネージャー業務で意識して取り組んでいることがあれば教えてください
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松岡
遠征の場合は移動やホテルでの生活など、選手にとって大きなストレスがかかることもあります。試合でのパフォーマンスに影響がでないよう、私たちがよりスムーズに、ストレスなく物事を運べるようにする必要があるのでそこを意識しています。たとえば、洗濯ひとつでも選手が快適に試合に臨んでもらえるよう工夫しています。練習着の回収・返却のタイミングは遠征スケジュールなどに合わせて調整し声をかけ作業するようにしていますし、選手によっては汗かきで何度も着替えるため練習着を多めに持ってきている場合があるので、サポーターやリストバンドなどのアイテムが揃っているかなども、洗濯の際には選手毎に確認します。些細なことですが、それぞれのスタイルをこちらが理解することで、選手がストレスなく動ける助けになればと思っています。日本代表選手や元日本代表の選手も多くいて、そもそもの選手レベルが高いので、自分の振る舞いや選手との関わり方に関してもサンロッカーズ渋谷に来てから学んでいることがたくさんあります。
- -B.LEAGUEは土日での連戦が続き、ときには平日の夜にゲームが開催されます。目に見えることのないマネージャーの仕事はどのようなものがあるのでしょうか
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松岡
チームによって違いがあると思いますが、マネージャーで仕事を分担しています。先に1人のマネージャーが試合会場に行きチームの荷物を運び、ユニフォームやタオルのセッティングなど、試合に向けた諸々の準備をします。もう1人のマネージャーは選手のバスやタクシーの手配・確認をし、全員がホテルから出発するところを見届けます。選手が会場入りすると、ミーティングの準備をします。ウォーミングアップが始まればリバウンドでボール拾いをこなし、試合中はタブレットを使って選手毎の出場時間やファール数など、データ打ち込みも行いコーチ陣にお見せすることもあります。土日連戦の場合は、ゲーム1(土曜日)の試合後に洗濯があるので、試合会場でユニフォームなどを集めて洗濯をします。これは私のこだわりですが、衣類の乾燥から畳む作業、のちに選手の部屋に配るところまで徹底的にやります。そして、次の日はまた最初にお話ししたサイクルからという形ですね。
- -なかなかハードですね。お仕事の中で、普段はどんな時に喜びを感じていらっしゃいますか
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松岡
私が喜びを感じる瞬間は、ミスなく遠征を過ごせた時です。もちろん試合に勝った時が最も嬉しい瞬間ですが、そのために自分の与えられた仕事をこなして、無事に試合や遠征を過ごせるとホッとします(笑)
私がマネージャーとして最も心がけていることは、選手、スタッフがストレスなくバスケットボールに集中できる環境を整えることです。そのために先読みして動くことが大事だと考えています。マネージャーは事務作業も多いので、スピード感も求められます。マネージャーの連絡が滞ることは、あってはいけないので少し大袈裟かもしれませんが、寝ている時以外は仕事モードになっていたいと思っています。あとは全体を見渡せるようにすることも大切だと感じています。そういったことをスムーズにできて、さらに試合に勝てた時は本当に嬉しいですね。
2026年にはB.革新という大きな節目を迎えるB.LEAGUE。サンロッカーズ渋谷はトップリーグに位置する『B.LEAGUE PREMIER』への参戦が決まりました。新たなステージへの意気込みと、セガサミーグループのMission/Purposeである「感動体験を創造し続ける~社会をもっと元気に、カラフルに。~」をマネージャーとしてどのように体現していきたいのか、松岡さんの想いとは。
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松岡
サンロッカーズ渋谷は長い歴史のあるクラブで、セガサミーと共に更なる進化を遂げていけると感じています。バスケットボール自体もそうですし、サンロッカーズ渋谷の注目度はこれからも高くなっていくと思うので、日本のトップチームとして活躍し続けられるチームになれるように、私も頑張りたいと思います。セガサミーグループのMission/Purposeを体現するためには、自分自身の感動へと繋がるように、与えられた責務を全うすることが一番だと考えています。自分のサポートが選手のパフォ―マンスを向上させ、選手がプレーで多くの皆さんに感動体験を届ける。こうすることで自分も感動することができます。私は保育士から転職してプロバスケットボールクラブのマネージャーの仕事に就いていますが、「自分のやりたいことを見つけて夢を追いかけることは素敵なことなのだ」ということが、自分のできる日々の取り組みを通じて、当時担任していた子どもたちにも伝わればいいなと思っています。今シーズン、『優勝』という最も感動できる瞬間を皆さんと共有できれば嬉しいです。
日本のトップクラブであるサンロッカーズ渋谷の躍進を支える裏方の仕事。そこにもプロフェッショナルなマインドがしっかりと根を張っています。コートで戦う選手以外の想いも乗せて、サンロッカーズ渋谷は初のB.LEAGUE制覇へ向け、2024-2025シーズンの戦いを続けます。
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