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2023.10.06 幾多の危機を乗り越え、「スマスロ北斗の拳」のヒットを生み出したサミーの開発・生産・営業力に迫る【前編】

セガサミーグループが時代を超えて追及しているお客様のご期待を超える価値「感動体験」。開発者などのインタビューや特集記事など、ここでしかご覧いただけない様々なレポートをお届けします。

感動体験レポート

2023.10.06

幾多の危機を乗り越え、「スマスロ北斗の拳」のヒットを生み出したサミーの開発・生産・営業力に迫る【前編】

 2023年1月にサミーのスマートパチスロ(スマスロ)*第1弾として発表し、4月のホール導入以降の累計導入台数は約6万台(2023年7月時点)を突破、現在も全国のホールで高稼働を続ける「スマスロ北斗の拳」。本機種の開発からホール導入までの約2年半の間には、規制改正という追い風がありながらも、新型コロナウイルス感染症の流行などの影響による部材不足をはじめとした幾多の危機がありました。

 

 そのような状況の中、いかにして「スマスロ北斗の拳」は異例のヒットに至ったのか——。今回は、サミーの「開発」「生産」「営業」の各部門から集まった6名のメンバーに、各部門がどのように連携してそれらを乗り越えたのか、開発からホール導入・稼働までの秘話についてインタビューを行いました。

 

  インタビューの模様は【前編】【後編】の2回に分けてお届けします。

*スマスロとは、「スマートパチスロ」の略称。物理的な遊技メダルに代わり、電子情報で貸出や遊技を行う次世代パチスロ機。物理的な遊技メダルを使用しないため、不正行為の撲滅や遊技性・遊技環境の向上など多くのメリットが見込める。

参加者

開発担当A

「スマスロ北斗の拳」のプロデューサー。企画立案をはじめ、出玉設計や映像・演出、筐体デザイン、サウンドなどの各担当と連携し開発業務全般を担う。また販売前後の広報活動もプロデュース。

 

ハード開発担当B

ハード(機械・機構)設計を担う。「スマスロ北斗の拳」の開発では、購買・生産部門と連携しながら部材不足による代替品*の検証なども行う。

*代替品の使用は本来認められていないものだが、新型コロナウイルス等による世界的な電子部品不足を受け、特例的に期限等条件付きで認められている

 

生産/生産企画担当C

生産計画の策定や部材納入、資材管理など生産工程に関わる計画・統括管理を行う。

 

生産/購買担当D

部材の購入計画策定、購入先の選定など部材調達全般を担う。

 

営業企画担当E

開発部門と連携しながら、販売戦略立案やマーケティング・PR施策を検討・実施。

 

営業担当F

遊技機のホール様への営業(販売)活動、アフターフォローを行う。

 

※生産/生産企画担当C、生産/購買担当D、営業担当Fは後編より登場予定です。

今こそ「初代北斗の拳」の再現を

――「スマスロ北斗の拳」の企画が立ち上がった背景から教えてください。

開発担当A

 「北斗の拳」は、当社の人気タイトルで定期的に発売しているシリーズです。チームで、「今度の『北斗の拳』はどういう機種にするか」となった時に、「『初代北斗の拳』の再現」という声があがったところから、2020年6月頃に企画がスタートしました。

 その背景には、同時期にあった遊技機の規制見直しの動きがありました。パチスロは、国家公安委員会が定める規則や業界内の自主規制(内規)*によって、出玉率をはじめとする性能や構造などの技術上の規格が定められています。この規制は、パチスロ機種のスペック(仕様)に関わるもので、ゲーム性に大きく影響します。

 

 2003年に発売された初代「北斗の拳」は、累計約62万台を売り上げたパチスロ史上最大規模のメガヒット機種です。当社では、お客様にご支持いただいたこの初代「北斗の拳」の再現を6号機でも試みたことはありましたが、規制改正・強化などの影響により叶えることができませんでした。そうした中、「この動きを好機と捉えて、やってみないか」となり、コンセプトは「『初代北斗の拳』の再現」に決定し、その後、何度も検討を重ねた企画書を経営陣に提案しました。

*遊技機の規制については、以下の記事で取り上げておりますので、是非ご参照ください。

感動体験レポート『遊技機の規制を紐解く』

――経営陣からの反応は?

開発担当A

 初代「北斗の拳」は、当社が有するタイトルの中でもトップブランドのシリーズです。しかし近年、初代のようなメガヒットを生み出せておらず、復活させたいという強い思いは経営陣にもありました。再びヒットし、当時、遊技していたユーザーの皆様を含めた幅広いファンを掘り起こすことができれば、遊技機市場の活性化につながる可能性も十分にあるので、初代の復活にチャレンジすることが決定しました。

 

 社内の期待を一身に背負う中、2020年10月本格的に開発をスタート。非常にプレッシャーを感じましたが、メンバーとともに初代「北斗の拳」の“面白さ・楽しさ”をもう一度ユーザーの皆様に届けたいという強い思いと覚悟で開発に踏み出しました。

“引き算の思考”で初代のゲーム性を目指して

――内規の変更を見込みながらの開発というのはどのようなものだったのでしょうか?

開発担当A

 規制緩和の動きがあったとはいえ、翌年になっても実際にはまだ規制が厳しい時期が続きました。初代「北斗の拳」が多くのユーザーの皆様を魅了したのは、ゲーム性の高い「バトルボーナス」でしたが、開発当初はそれを含めた強いスペックを叶えるのは難しく、初代にできるだけ近いバランスのボーナス確率とボーナス枚数で進めていました。

 

 いつ、どのように内規が変更されるのかは、私たちにもわからないため、「北斗の拳」に限らず常に内規の変更を見込みながらプロジェクトを進めています。実際に、「スマスロ北斗の拳」の開発期間には、幾度も内規の変更があり、構築しては全部捨ててゼロから再構築するという作業を何度も余儀なくされました。そうした作業もさることながら、大きな壁となったのが「『初代北斗の拳』の再現」でした。

 今、世の中に出ている機種と比較すると、初代「北斗の拳」はシンプルなスペックですが、開発当時は最新の人気機種のウケているスペック要素を入れないといけないのではないかという葛藤がありました。しかし、過去の「北斗の拳」シリーズを振り返ると、余計な遊技性を追加した結果、「北斗の拳」の良さが失われたり、追加した遊技性が悪目立ちしたりすることがありました。これらを踏まえて、今回は、初代「北斗の拳」のそのままの再現に徹しようとなりました。

 過去の「北斗の拳」シリーズの良い点は積極的に取り入れつつも、追加する遊技性を適宜精査し、初代に合わない遊技性はあえて入れないという“引き算の思考”で臨み、試行錯誤しながら初代のゲーム性の再現を目指しました。

――筐体の開発については?

開発担当A

 開発当初は、従来のメダル機として筐体の開発を進めていました。初代と同様の下パネルを採用したり、赤と青のランプを付けたりと、初代「北斗の拳」らしさを重視し、ホールに入った瞬間、「あの北斗の拳が帰ってきた!」と思っていただけるデザインを目指しました。

ハード開発担当B

 当社では、開発効率向上や原価低減などによる事業効率の向上を戦略として掲げており、「スマスロ北斗の拳」では、例えば筐体に使われるディスプレイなどもこれまでのリアプロジェクション方式から、映像の共有化や、筐体のリユースなどの効率面を重視した16:9比率の15.6インチ液晶を新規で採用しました。

初代の“バトルボーナス継続率66%”を死守してほしい

――この時点で、営業企画部門から開発担当への要望は?

営業企画担当E

 営業企画部門では、2021年の初期段階で、「初代の“バトルボーナス継続率66%”を死守してほしい」と開発部門に要望していました。ホール様への訴求ポイントとしても、ユーザーの皆様の期待にこたえる意味でもそこは外せませんでした。

 

開発担当A

 開発する上で、ユーザーの皆様に支持される機種であることはもちろんですが、ホール様にとっても魅力ある機種である必要があります。双方を実現するために、営業企画部門と連携し、開発段階でフィードバックをもらっています。

営業企画担当E

 通常もこの段階で試打し、市場環境なども踏まえて開発部門にフィードバックするのですが、今回は、より良い新機種の開発に向けて試打の回数を増やしました。さらに、初めての試みとして、ホール様と直に接する営業担当者にも試打に参加してもらい、意見や要望など現場の生の声を開発部門に伝える機会を設けました。

開発担当A

 初代「北斗の拳」を知る年代の方々もいて、参考になる貴重な意見ばかりでした。初代「北斗の拳」は2003年と、約20年前に発売されたものですので、私たちも思い出しながら開発してはいるものの微妙に違っている部分なども出てきます。例えば、継続確定画面について、ある営業担当者から「初代とちょっと違う」という指摘を受けました。自分たちだけでは気づかなかった部分で、その意見を踏まえて実際に改善を図りました。営業部門と開発部門との連帯感が生まれ、ベクトルを合わせ一丸となって取り組めたことは「スマスロ北斗の拳」の成功の礎になったと思っています。後日、その営業担当者に会った際、「あの時の声、活かしてくれたんですね」と喜んでもらい、本当に双方にとっていい取り組みだったと感じています。

――独自の評価体制「パーラーサミー」で行った試打の評価は?

開発担当A

 当社では、ヒットを目指す上でユーザー志向をこれまで以上に重要視しています。
以前は開発・営業企画など限られた部門で試打評価を行っていましたが、数年前より社内に実際の遊技環境に近い疑似ホールを設置して、開発・営業企画に限らず、そのほかの部門も試打評価を行える「パーラーサミー」という独自の評価体制を構築し、ユーザー志向の推進に取り組んでいます。

 20代から50代までの100名~150名ほどが試打できる環境にあり、匿名のアンケートで意見を収集し、開発に活かしています。「スマスロ北斗の拳」も試作機ができたタイミングで「パーラーサミー」を通し試打評価を行ったところ、非常に好評で、20・30代の層からも「逆に新鮮で面白い」という意見がありました。初代「北斗の拳」を知る世代だけでなく、若い世代にも好評だったことはその後の開発に向けて自信になりました。

――スマスロに決まったのは?

開発担当A

 2021年11月頃には「スマスロ登場」の話が持ち上がり、2022年に入り社内で「スマスロ北斗の拳」をメダル機にするかスマスロでいくかの検討が始まりました。スマスロで有利区間のゲーム数上限が撤廃されれば、初代のバトルボーナスに近づけられるようになる。それ以前にも行われた内規の見直しも踏まえ、初代「北斗の拳」を再現するためには、「絶対にスマスロで進めさせて欲しい」と訴えました。

 

 新型コロナウイルス感染症の影響による部材不足やスマスロ専用のユニットの供給数、生産体制などさまざまな不安要素があった中でしたが、会社としてだけでなく業界としても期待する「スマスロでいく」という決断が下り、2023年1月の発売に向けて、急ピッチで「スマスロ北斗の拳」の開発が進んでいきました。

 

(後編へ続く)

©武論尊・原哲夫/コアミックス 1983, ©COAMIX 2007 版権許諾証YRA-114  ©Sammy

【後編】では、「スマスロ北斗の拳」の開発後期から全国のホールに導入されるまでをインタビューしています。後編もぜひ、続けてご覧ください。

幾多の危機を乗り越え、「スマスロ北斗の拳」のヒットを生み出したサミーの開発・生産・営業力に迫る【後編】はこちら

 

2020年3月期以前の「感動体験レポート」は株主通信に掲載しています

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