戦評・コラム
第48回社会人野球日本選手権 関東代表決定戦 1回戦 vs SUBARU
2023.09.07 [Thu] 13:00VS SUBARU
場所:大田スタジアム
先制点を奪われたのは2回表だ。一死から5番打者に浴びた右中間への三塁打が、先発マウンドに上がった草海光貴にとっての初被安打。6番打者をレフトフライに討ち取るも、7番打者にも右中間を抜ける三塁打を浴びて1点を献上する。
それでも、3回裏に2番高島大輝が、フルカウントからストレートを狙い澄まして右中間へソロアーチを放つ。その同点弾に、三塁側ベンチの士気は高まった。
試合の中盤に入っても、両チームの意地がぶつかり合う。4回表は、イニングの先頭打者にセンター前ヒットを浴び、続く4番打者のショートゴロが中川智裕の悪送球を誘発し、無死一、二塁。しかし、マウンドの草海は迎えたピンチにも動じることなく後続を討ち取って点を与えない。直後の4回裏、攻撃陣は一死から8番須田凌平がライト前ヒットを放ってチャンスを迎える。しかし、9番片岡大和がピッチャーゴロの併殺に倒れて無得点。SUBARUの先発左腕である阿部博光投手から勝ち越し点を奪うことができなかった。6回の攻防も、まさに凌ぎ合いだ。一死からの連打で一、二塁とされるも、後続を併殺打に討ち取って点を許さなかったのは草海だ。一方の攻撃陣も、5番高本康平の四球、8番須田のライト前ヒットなどで二死一、三塁と攻め立てるも、9番片岡が空振り三振に倒れて草海を援護することができなかった。
同点のまま迎えた試合終盤。8回表一死一塁から、4番打者に左翼線へタイムリー二塁打を浴びて1点を勝ち越しされたのは、マウンドを守り続ける草海だった。9回表には、一死一、三塁となった場面で草海からマウンドを譲り受けた2番手の荘司宏太が、1番打者にタイムリーヒットを浴びて1点を追加される。2点を追う9回裏の攻撃は、2番高島がライトフライに倒れ、3番黒川貴章がショートゴロに討ち取られて二死。最後は、代打で登場した廣岡隆成がセカンドゴロに倒れて、無情な敗戦の瞬間を迎えた。
10安打を放って、わずか1得点。
12残塁が示す通り、攻撃陣が決定打を欠いた。ともに一死満塁と攻めながら無得点に終わった1回裏と8回裏の攻撃が、この試合を象徴していただろうか。試合の流れを築き、勝利に向かう風を呼び込むという意味では、1回裏に先制点を奪えなかったのは大きな痛手だったか。1番植田匡哉がチーム初安打となるレフト前ヒットを放ち、2番高島がライト前ヒットで続いて無死一、二塁。3番黒川がレフトフライに倒れるも、4番根岸晃太郎が四球を選んで満塁としたところまでは、この試合での「勝利」を予感させる攻撃力があった。しかし、5番高本が、そして6番宮川和人がともに三振に倒れ、三塁側ベンチに重い空気が流れたのは事実だろう。
3大会連続での日本選手権出場を逃した。その厳しい現実を受け止めるには、多少の時間が必要だろうか。突きつけられた課題を、どう克服していくか。残された2023年シーズンの戦いで、その取り組みや意気込みの成果を見せることができるか。
立ち止まることなく、前へ、さらに前へ。チームは新たな戦いに向けて突き動くしかない。
文 : 佐々木 亨