戦評・コラム
2023年 JABA東京都企業秋季大会 1回戦
2023.09.23 [Sat] 9:00VS NTT東日本
場所:JR東日本柏グラウンド
先取点が生まれたのは3回表だ。一死から1番植田匡哉がレフト線へ二塁打を放ってチャンスメイク。2番砂川哲平の左中間へのヒットで1点を奪った。その裏、先発の舘和弥が8番打者にソロアーチを浴びて同点とされるも、4回表に再び得点機が訪れるのだから、「流れ」は悪くない。イニングの先頭となった6番北川智也がレフトへ二塁打。7番宮川和人は死球で出塁して、8番吉田高彰の犠打が相手投手の失策を誘い、無死満塁と攻め立てる。9番谷口嘉紀はサードゴロに倒れて一死満塁と状況は変わったが、1番植田のレフト前ヒットで三塁走者の宮川が勝ち越しのホームを踏む。さらに、2番砂川のライトへの犠飛で追加点を奪い、リードを2点に広げた。
だが、直後の4回裏、マウンドを守り続けていた舘が4番打者に左中間へのソロアーチを浴びて1点差。6回裏には、登板直後の田中法彦がイニングの先頭打者にセンター前ヒットを浴びる。二死二塁から、三塁手・砂川の失策で再び同点とされた。
追い上げられる試合展開。失策が絡んでの同点劇という内容を考えれば、「流れ」は相手ベンチに傾きつつあっただろうか。それでも、終盤からは投手陣が粘り強く無失点を続けて勝利を信じた。
田中が2三振を奪う中で無失点に抑えたのは7回裏。8回裏に、四球と犠打で一死二塁とピンチを迎えるも、後続をレフトフライ、さらに空振り三振を奪って無失点で切り抜けたのは、4番手で登板した荘司宏太だ。9回裏は、荘司がイニングの先頭に四球を与えるも、犠打に対する捕手・吉田の好守によって併殺。その後、1番打者にライト前ヒットを浴びたが、迎えた二死一塁の場面では、代わった古屋敷匠眞が力強いストレートで後続を討ち取って点を与えなかった。延長に突入すれば、無死一、二塁から始まるタイブレークである。10回裏を、完璧に抑えたのは古屋敷だ。ボールに対する「指のかかりがよかった」と右腕は振り返る。
試合終盤からの粘り強さに、何度か勝利の風が吹いたのは事実だろう。だが、最後は11回裏、一死満塁からのバッテリーミスでサヨナラでの敗戦を迎えた。
「実戦を通して得られるものはある」
西田真二監督のその言葉通り、特に公式戦ともなれば、課題も含めてチームの肥やしになることは多々あるものだろう。
たとえば、延長10回表と11回表は、無死一、二塁から犠打を試みるも、ともに失敗して走者を進められなかった。その拙攻もまた、この試合で見えた課題なのだが、いかに失敗を力に換えていけるか。一つ一つのプレーの精度を高めることができるか。すでに来シーズンも見据えながら戦う中では、各選手が高い意識とモチベーションを持ってプレーすることが求められる。
残りわずかとなってきた2023年シーズンの公式戦。選手たちのワンプレーに対するこだわりと熱い思いが見たいものだ。
文 : 佐々木 亨







