戦評・コラム
2023年 JABA東京都企業秋季大会 5,6位トーナメント
2023.09.24 [Sun] 12:00VS JPアセット証券
場所:JR東日本柏グラウンド
立ち上がりは、重苦しい展開だった。1番植田匡哉がレフトへの二塁打で出塁した1回裏は、2番北川智也が空振り三振、3番高島大輝がピッチャーゴロ、そして4番高本康平がセカンドゴロに倒れて無得点に終わる。すると直後の2回表、先発の飯田大翔が味方の失策や四球が絡みながら二死満塁とピンチを迎えると、1番打者に押し出しの四球を与えて1点を先制される。反撃に転じたい打線は、2回裏にイニングの先頭となった5番中川智裕が死球で出塁。6番砂川哲平が見逃し三振に倒れた直後に、結果的に中川が二塁へ盗塁を試みる形となったが、あえなく憤死。二死から7番宮川和人の四球と8番吉田高彰のライト前ヒットで二死一、三塁と攻め立てたが、9番谷口嘉紀がレフトフライに倒れてチャンスは潰えた。攻守に精彩を欠いた試合序盤に、勝利を予感させるものはなかった。
それでも、中盤に入ると徐々に流れは一塁ベンチに。
5回裏は、途中出場の7番根岸晃太郎が四球を選び、8番吉田の打球が一塁手の失策を誘発して無死一、二塁。9番谷口、さらに1番植田が倒れて二死となるが、2番北川が左中間を深々と抜ける2点タイムリー三塁打を放って逆転に成功した。
5回表から登板して快調なピッチングを続ける伊波友和は、6回表も結果的に三者凡退に討ち取って点を与えない。7回表は、イニングの先頭に死球を与えたが、9番打者の犠打に対して自らの好フィールディングで併殺を決めた。1番打者に四球を与え、さらにボークで得点圏に走者を置くも、2番打者を空振り三振に仕留めて無失点で切り抜けた。
終盤のポイントとなったのは8回の攻防だ。代わったばかりの荘司宏太が3番打者にレフト前ヒットを浴び、さらに味方の失策で無死一、二塁とされた8回表は、4番手で登板した石垣永悟が無死満塁から6番打者をキャッチャーへのファウルフライに討ち取り、さらに2者連続の空振り三振を奪って、この試合最大のピンチを無失点で切り抜けた。すると、直後の8回裏、二死三塁から9番谷口がレフト前へタイムリーヒットを放ち、大きな1点を加える。勝敗を左右する「次の1点」を相手に与えず、逆に奪った展開には、チームの勝利への執念が見えた。
9回表のマウンドには、8回表のピンチを凌いだ石垣が上がった。9番打者を力強いストレートでサードフライに討ち取って一死。1番打者にはライト前ヒットを浴びるも、2番打者をサードゴロに、最後は3番打者をファーストゴロに仕留めてゲームを締め括った。
西田真二監督は言うのだ。
「勝つのは大変ですね……。改めて、野球というものを、そして勝つということを考えさせられました。ただ、この試合に関しては選手たちがよく粘った。8回裏の谷口は、良いところで一本を出してくれた。タイムリーヒットが少ない今大会ですが、我慢強く戦う中で大きな一打を放ってくれたと思います。試合をする中で力をつけることが、来年に向けても大事。次の試合も頑張ります」
粘った先にあった勝利は、チームを成長させてくれる。今シーズン最後の公式戦となる次戦もまた、「成長の種」を見つけ出して、勝利で締め括りたい。
文 : 佐々木 亨