戦評・コラム
2023年 JABA東京都企業秋季大会 5,6位トーナメント決定戦
2023.09.26 [Tue] 9:00VS 東京ガス
場所:大田スタジアム
2023年シーズン最後の公式戦で先発マウンドを託されたのは、右腕の草海光貴だった。1回裏は、先頭打者にレフト前ヒットを浴びるも、一死から3番打者を併殺打に討ち取って無失点で切り抜ける。直後の2回表、4番高島大輝がライト前ヒット。5番中川智裕のレフト前ヒットで無死一、三塁と攻め立てると、6番根岸晃太郎に技ありの右前適時打が飛び出して1点を先制するのだから、流れは悪くない。
だが、迎えた2回裏。一死から5番打者に四球を与え、6番打者にレフト前ヒットを食らって得点圏に走者を進められると、草海のピッチングに焦りが見え始める。一死一、二塁から、7番打者にライトフェンス直撃となるタイムリー二塁打を浴びて同点。なおも一死二、三塁から、8番打者にレフト前ヒットを浴びて勝ち越しを許す。9番打者にも、三者連続タイムリーとなるセンター前ヒットを浴びて点差を広げられる。
2つの空振り三振に、捕手・須田凌平の盗塁阻止があった3回裏は、草海が再びピッチングを取り戻すきっかけになるかと思われたが、4回裏にさらに失点を重ねて流れを引き戻すことができなかった。イニングの先頭打者にライトへのソロアーチを浴び、9番打者の中犠飛でも点を加えられた4回裏を最後に、草海は無念の降板となる。
「調子自体は悪くなかった。相手の打線がすごかった」
草海の言葉通りだろう。打順に関係なく、鋭い打球を連発する東京ガスの打線は威力があった。本塁打を含む8安打を浴びて5点を失った右腕は、完敗を認めざるを得なかった。
相手打線の猛攻は終わらない。森井絃斗と長島光希がマウンドに上がった5回裏には、打者8人で一挙4点を加えられて、点差を大きく広げられる。
一方の打線は、3回以降は快音が響かず……。
3回表は、二死から3番廣岡隆成が相手内野手の失策で二塁まで進むが、後続が倒れて無得点。4回表は、イニングの先頭である5番中川がライト前ヒットで出塁するも、6番根岸が併殺に倒れて二死。7番北川智也はファーストゴロに討ち取られて、結局は3人で攻撃を終えた。5回表と6回表は、あっさりと三者凡退で抑えられるだのから、反撃ムードは皆無に等しい。8点ビハインドで迎えた7回表も、5番中川、代打の宮川和人がともにライトフライに倒れて二死。代打の砂川哲平がセンター前へポトリと落ちるヒット。8番須田がレフト前ヒットで続いて走者一、二塁と意地を見せるが、最後は9番谷口嘉紀がショートゴロに倒れて無得点。
シーズン最後の公式戦にしては、あまりも寂しい7回コールドゲームでの敗戦となった。
主将の宮川が肩を落とす。
「今シーズンを象徴するような試合になってしまいました」
投打の歯車が噛み合わずに敗戦が続いた時期もあった2023年。都市対抗だけは東京二次予選を勝ち上がって本大会に出場することができたが、秋の日本選手権では関東最終予選で敗退するなど、シーズンを通しては思うように結果が出なかったシーズンだったと言える。各選手の心の中には「悔しさ」だけが残ったことだろう。
来シーズンに向けての戦いは、すでに始まっている。宮川主将は、きっぱりと言うのだ。
「もう一度、やり直します」
強いセガサミーを取り戻すために――。チームはひとつとなって、強固な力を求めていく。
文 : 佐々木 亨







