戦評・コラム
2024年セガサミー野球部/シーズン展望 「ワンチームとなって共に越えて行く」
2024/03/07
『共越~さらなる領域へ~』をチームスローガンに掲げる2024年シーズン。緑鮮やかな新しい人工芝が敷き詰められたセガサミー野球場に、選手29名の活気に満ちた声が広がる。新たな気持ちで「ワンチームとなって共に越えて行く」と語るのは、就任5年目となる西田真二監督だ。
昨年2023年は、シーズンを通して厳しい現実を突きつけられた。都市対抗では、東京二次予選から苦戦を強いられる。JPアセット証券との一回戦はエース・草海光貴の好投が光って勝利を手にするが、第一代表決定トーナメント準決勝では、わずか1得点に抑えられて明治安田生命に屈する。第二代表決定トーナメントでも、東京ガスの前にわずか5安打に抑えられて零封負けを喫する。第四代表決定戦で勝利して「東京最後の枠」に滑り込み、4年連続14回目の本大会出場を決めるのだが、NTT東日本との大一番もタイブレークの延長10回にもつれる苦しい戦いだったと言わざるを得ない。東京ドームでは三菱自動車岡崎と対峙し、投手陣が粘り切れずに5対8で敗れる。2020年と2021年は2年連続でベスト4、そして2022年はベスト8だった都市対抗では、実に2015年の第86回大会以来となる初戦敗退となった。秋の日本選手権は関東代表決定戦でSUBARUに敗れて本大会出場を逃し、昨シーズンは二大大会ともに大きな成果を手にすることができなかった。
再び輝きを取り戻すために、まだ見ぬ領域へ踏み入れるために、チームの屋台骨を支えるのは経験値の高い選手たちだ。特に10年目を迎える石垣永悟、須田凌平、砂川哲平、宮川和人の4選手は、ワンチームになるためのキーパーソン。主将でもある宮川は「2月の宮崎キャンプでは充実した時間を過ごすことができました」と言い、チームの成長を感じ取っている様子だ。
投手陣では、8年目を迎えて貫禄すら漂う草海、150キロ超のストレートにスライダーやフォークボールといった変化球の質も高まった古屋敷匠眞、安定した投球を続ける舘 和弥の右腕トリオが先発の一角を担うだろうか。中継ぎとして貴重な役割を担う長島光希、伊波友和、田中法彦、そして新人・岩本大地(中央大出)といった右腕たちの力も欠かせない。昨年の課題となっていた左腕では2年目の荘司宏太が大きな成長を遂げ、投手陣の底上げにつながっている。さらに、新人の武冨 陸と尾崎完太(ともに法大出)、下薗咲也(上武大出)の3投手が左腕。即戦力として期待は高まるばかりだ。コーチ兼任となった横田 哲の存在も大きく、13名で築き上げる投手陣は一つとなってマウンドを守り抜く。
各選手が得点圏打率を上げ、昨年以上に得点力を上げていきたい攻撃陣では、5年目を迎えてスケールアップした中川智裕、好打の髙本康平、俊足巧打の植田匡哉、そして昨シーズンは高い出塁率を誇った2年目の高島大輝らが中心を担いたい。実力者である7年目の北川智也や強打の黒川貴章、いぶし銀の働きを見せる片岡大和と福森秀太、熾烈な外野の定位置争いで実力を示したい竹谷理央と谷口嘉紀らも黙ってはいないだろう。捕手として投手陣を献身的に支えながら攻撃でも勝負強さを見せたい吉田髙彰と廣岡隆成、そして俊足自慢の新人・神山福生(国学院大出)の躍動にも期待したい。
東京スポニチ大会を皮切りに始まる各主要大会で、29名それぞれがどんなパフォーマンスを見せてくれるか。夏の祭典である都市対抗では悲願の日本一、優勝チームが手にする黒獅子旗を掴むことができるか。
「激戦区・東京で勝ち抜き、さらに上を目指す」
力強くそう語る西田監督の下、セガサミー野球部の2024年シーズンが動き出す。
文: 佐々木 亨