戦評・コラム
2024年セガサミー野球部/ルーキー紹介③岩本大地投手 先発、中継ぎとフル回転を誓う、スライダー自慢の本格派右腕
2024/04/11

茨城県のほぼ中央に位置する石岡市出身の岩本大地は、自然が豊かな環境で育った。
「夏休みになると、友達と自転車で出かけて朝から夕方までカブトムシを獲っているような子供でした。ずっと外で遊んでいましたね」
そんな岩本が野球を始めたのは、小幡小学校2年生から。小幡スポーツ少年団に入り、三塁手、遊撃手、時には捕手も担うユーティリティ・プレイヤーとして活躍した。最上級生になると投手をメインとして野球にのめり込んでいった。
八郷中学校では軟式野球部に所属。3年時に関東大会に出場して、県南選抜チームのメンバーにも選ばれた石岡は、横浜スタジアムで開催された全国大会でエースとして3位に輝く。最速135キロのストレートを中心に三振の山を築く本格派右腕として活躍した。
中学卒業後は、自宅から車で20分ほどの場所にある地元の石岡第一高校へ進学。1年春から背番号18をつけてベンチ入りを果たし、同年秋からはエースナンバーを背負った。先発で完投できるようになったのは2年秋から。その年の秋に行われた茨城県大会では4強進出。翌年春のセンバツ大会に21世紀枠で出場した。
「甲子園球場に入った時の景色は忘れられない」
9回二死から同点に追いつかれ、延長11回の末に力尽いて無念のサヨナラ負けとなった初戦。それでも、創部105年目で春夏通じて初の甲子園出場となった石岡第一高校のエースとして力投した姿は、多くのファンを魅了したものだ。
中央大では1年秋からリーグ戦のマウンドに上がった。3年時から登板機会を増やしたが、すべてがイメージ通りの歩みというわけではなかった。
「投げる感覚がわからなくなった時期がありました。悩んだ時期は、状態がいい時の感覚すらわからなくって……。投手コーチとコミュニケーションを取る中で、ピッチングをもう一度見直して『新たなもの』を作っていこうとアドバイスをいただき、少しずつイメージ通りに投げられるようになっていきました」
ストレートが安定して、3年生になると140キロ台中盤の球速をコンスタントに出せるようになった。持ち球であるカーブ、スライダー、フォークボール、チェンジアップにも手ごたえを感じる。特に「中学時代から得意だった」というスライダーは、大学でも岩本のピッチングを支えた。リーグ戦では通算2勝に終わったが、「戦国・東都」と言われる厳しいリーグでマウンドに立ったことは、岩本にとって大きな経験となった。
セガサミーでも、その経験値は大きな武器となる。東京スポニチ大会のリーグ戦2戦目、日本製鉄鹿島戦の7回途中から登板して社会人デビューを果たしている右腕は、これからの歩みをこう語る。
「投げられる場所、チームから任せられるところで、しっかりと投げていきたい。レベルの高い社会人野球で活躍できる投手になっていきたい」
いずれはプロへ――。その思いも抱きながら、岩本はセガサミーでの確かな一歩を踏み出している。

