戦評・コラム
2024年セガサミー野球部/ルーキー紹介・尾﨑完太投手⑤ 驚異の回転数を誇る直球自慢の最速151㎞左腕
2024/04/26
法政大では1年春から登板機会を得て、3年春からは先発の軸となって明治神宮野球場で躍動した。リーグ戦での通算勝利数は8勝だが、4年春の4勝無敗の成績が強烈なインパクトとなり、尾﨑完太はプロ野球のドラフト候補として注目を浴びた。
「大学4年間を通してマウンド経験を積めたことはよかった。周囲の素晴らしい投手たちから刺激をもらいながら、学年が上がるにつれて主戦を任せられる投手になり、多くのことを学んだ大学時代でした」
プロ志望届を提出するも、ドラフト会議で指名されることはなかった。「その時は何も考えられなかった。3日間、何も食べられないほどで、立ち直るまで時間がかかった」と言うが、気持ちを新たに社会人野球で勝負することを固く決意した。
野球は、大阪府吹田市にある桃山台小学校1年から始めた。少年時代の尾﨑は、高校野球まで白球を追い、阪神タイガースの大ファンである父親に連れられて甲子園球場でプロ野球の試合を夢中になって観戦した。野球が身近にあった環境で、南千里ジャガーズ(軟式)では投手として活躍。「コントロールがいいピッチャーだった」と振り返る。
南千里中学校時代は、豊中リトルシニア(硬式)に所属。やはり、ポジションは投手だ。3年時には、宮崎県で開催された全国大会にエースとして出場した。
「中学生の頃はストレートが速いわけでもありませんでしたが、コントロールだけはよかった」
中学時代からバッテリーを組む気心の知れた同級生捕手とともに滋賀学園高校に進学した尾﨑は、高校1年秋から背番号11をつけてマウンドに登った。2年秋からはエースに。高校最後の夏も背番号1をつけて主戦を担った。県内の強豪校である近江高校の壁は厚く、甲子園出場は一度も果たすことができなかったが、一歩ずつ確実に投手として成長した。
「高校時代はコントロールと投球テンポのいいピッチャー。ストレート、カーブ、スライダーのコンビネーションで勝負していました」
3年夏の滋賀大会では、光泉高校を相手に準決勝敗退。延長戦にもつれる試合で、尾﨑は10イニングスを投げ切っている。最後は交代した投手が打たれてサヨナラ負けを喫するのだが、タフなピッチングを見せて高校野球を終えた。
尾﨑の最大の武器は、2300~2400回転という高い数値を叩き出すボールの回転数だ。ホップ成分もあり、いわゆる「伸びのあるストレート」で打者をねじ伏せる。法政大2年時点で145㎞だったストレートの球速は、3年春に147㎞、同年秋に149㎞、そして4年生では最速151㎞まで伸びた。二段モーションにした投球フォームが球速アップにつながったというが、同時に「自分で考えて吸収する」という思考の変化が、兼ね備えたポテンシャルをさらに引き出す要因になったとも言う。
ど真ん中にストレートを投げ込む。それでも打たれない、いわば「ベース板で勝負ができる」投手が理想だ。セガサミーでは、さらにワンランク上の投手を目指したいと言う。
「技術的には、もっと飛び抜けたものを身につけていきたい。あとは、野球だけではなく、人間性の部分を一番に考えて成長していきたい」
即戦力として期待が高い左腕は、自らの夢も追いかけながら、1年目からチームの勝利のためにマウンドに立つ。