戦評・コラム
第79回JABA東京スポニチ大会 予選リーグ vs 三菱自動車岡崎
2025.03.08 [Sat] 15:00VS 三菱自動車岡崎
場所:神宮球場
気温2度、1時間に3ミリの雨は次第に雪へ・・・。
「こんな環境で試合をしたのは初めてです」と、北海道池田町出身で網走市の東農大北海道オホーツクでもプレーした陶久亮太コーチでさえ苦笑いするほどの凍てつく寒さ。そんな過酷な中での一戦を制し、セガサミー野球部は2025年の公式戦初陣を飾った。
陶久コーチが「粘りをテーマにしてやってきたので良かったです」と投手担当として胸を撫で下ろせば、西田真二監督も「よく粘りました」と振り返ったように、投手陣の辛抱強い投球が光った。
打線は何度も走者を出しながらもホームが遠いもどかしい展開だったが、今年のエース格の1人として期待される岩本大地が5回2死まで1安打と好投。さらに先制の走者を二塁に残した中で、マウンドを託された田中法彦もセカンドフライに抑える見事な火消し。
7回からは伊波友和が安打と味方失策でピンチを招くが、続く打者を見逃し三振に抑えると、西田監督が「投げっぷりが良い」と高く評価する新人・長谷川優也をマウンドへ送る。この難しい状況で長谷川は先制タイムリーを含む連打を浴びながらも、「踏み込み足(左足)の使い方を修正できました」と振り返ったように、後続を抑え最少失点で凌ぐ。
すると、直後の8回表、反撃に転じる。2四球を選ぶと、前の回に失策を犯していた宮川和人が汚名返上のライト前安打を放って満塁のチャンスを作ると、西田監督は今年から主将に就任した髙本康平を代打に送る。
ここで髙本は2ストライクと追い込まれ、変化球に泳がされながらも上手くバットを残してレフト前に運ぶと2者が生還し一気に逆転に成功。ベンチは大いに盛り上がり、スタンドからは有志によってアカペラで「檄!帝国華撃団」(得点時のテーマ曲)が歌われた。
この1点のリードを受け、長谷川はさらにギアを上げていく。「慣れてるんで雪は」と笑う新潟県出身の右腕は、その裏からストレートと変化球のコンビネーションで圧巻の三者連続三振。三菱自動車岡崎の反撃を許さなかった。
そして9回表にはオープン戦打率6割と好調の福森秀太、髙本、𠮷田高彰のタイムリーなどで得点を重ねていくと、最後は神山福生のこの日3安打目となる三塁打でダメ押し。一挙8点を奪い、得点をふた桁に乗せた。
その裏は草海光貴が雪の影響もあってか2四球を出すが3三振を奪って試合終了。10対1で勝利し、選手たちは白い息を吐きながら喜びの声を挙げた。
代打で出場し、勝ち越し打を含む5打点の活躍を見せた髙本は「スタメンかどうかは関係なくチームが勝てればいいと思っていたので勝てて良かったです」「最後までみんなで諦めずに勝つという気持ちがあった。たまたま自分が打っただけで、誰が出ても打っていたと思います」と殊勝に答えた。
そして、手応えについても「まだ1つ勝っただけなんで。1年が終わった時に良い1年だったと思えるようにしたいです」と浮かれることなく、既に視線は次戦のJFE東日本戦(3月9日正午開始予定)に向いていた。
文・写真:高木 遊(株式会社スポーツオフィスタカギ)





