戦評・コラム
第79回JABA東京スポニチ大会 予選リーグ vs JFE東日本
2025.03.09 [Sun] 12:00VS JFE東日本
場所:神宮球場
雪の中の激戦を制した幸先の良いスタートを切ったセガサミー野球部だったが、予選リーグ2試合目はJFE東日本の強力打線に屈する形となった。
先発は入社2年目の左腕・尾﨑完太。同期の右腕・岩本大地とともに投手陣の中心として期待され、NPB球団からも注目される存在だ。
そんな尾﨑の立ち上がりは「想像以上にマウンドがぬかるんでいて大変でした」と、ステップ幅の大きいフォームのため苦戦し2四球を与えた。それでも「その後工夫できました」「走者を置いての投球は冬からヘッドコーチの吉井(憲治)さんとやってきたので」と、得意の一塁牽制で走者を刺し、ストレートも走り、後続を抑えて3回まで無失点に抑えた。
一方、打線は3回まで走者を出しながらも、走塁死などもあって得点を奪えず。すると、3回裏に尾﨑が2死一塁から盗塁を決められると、相手3番打者の猪田和希にレフトへの二塁打を打たれて先制を許す。続く梁瀬慶次郎にもライト前安打を浴び、右翼手・植田匡哉の失策もあり2点目の生還も許した。4回は「思いきって力を抜いて投げてみました」と余分な力の抜けた投球で三者凡退に抑え、この回限りの4回2失点での降板となった。
西田監督は尾﨑について「やってもらわないといけない投手。2点はまずまずですが・・・勝てる投手になるということはゼロに抑えて欲しいですね」と、さらなる粘り強さを求めた。尾﨑もまた、ストレートの強さや変化球に対する打者の反応、変化球すべてでストライクが取れたについては手応えを明かすとともに、失点の場面については「選択を間違えてしまいました。ストレートでも良かったかもしれません」と悔いた。
打線は失点直後の4回表に反撃。前日は3打席連続三振で代打を送られた中川智裕が「気持ちを割り切って臨みました」と、昨日の悔しさを晴らすような三塁線を破るタイムリーで1点差に詰め寄った。
しかし反撃もここまで、5回は𠮷田高彰の二塁打から無死二塁のチャンスを迎えるが黒川貴章のバント失敗と走塁死でチャンスを生かせず。するとその裏に田中法彦、下薗咲也、伊波友和が、タイムリーや猪田に本塁打を浴びて一挙6失点。「後ろの投手をもうひと踏ん張りさせていきたいですね」と西田監督が話したように、中押しやダメ押しを喫し、試合を決められ、1対8の7回コールド負け。悔しい結果に終わり、決勝トーナメントの可能性は絶たれた。
様々な課題が出た試合の中で大きな収穫は、この日が公式戦デビューとなった新人・加藤巧也だ。明治大時代に4年間過ごした神宮球場は、リーグ戦通算14安打に終わり「個人としては悔しい思いの方が大きかったです」と振り返るが「場慣れはできていたのかなと思います」と持ち味の打撃で躍動。2回の第1打席でレフト前安打、4回の第2打席であわや本塁打というレフトフェンス直撃の二塁打を放った。
「もっと上を目指したくて」と自身のさらなるレベルアップを掲げて進んだ社会人球界は「球の強さや変化球の精度が大学以上ですが、その経験が楽しいです」と心を躍らせる。「競争も激しいので、チームに勢いを与えるようなアピールをしていきたいです」と意気込む若手有望株に今後期待だ。
予選リーグ最終戦は13時から等々力球場でHonda熊本と対戦。西田監督も再三「勝ち癖をつけたい」と話しているように、目の前の戦いに集中し、勝利とともに自信を積み重ねたいところだ。
文・写真:高木 遊(株式会社スポーツオフィスタカギ)





