コラム
~拡がる【エンタテインメント×バスケ】の可能性~ サンロッカーズ渋谷 2022-23シーズン振り返りインタビュー
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2023年5月12日
今シーズンからセガサミーグループの一員となったプロバスケットボールチーム「サンロッカーズ渋谷」。選手・コーチがコート内で感じた感動体験や、【エンタテインメント×バスケ】の可能性とは!?キャプテンのベンドラメ選手と浜中ヘッドコーチにお話を伺いました。

サンロッカーズ渋谷とは
「B.LEAGUE(Bリーグ)」に所属し、トップリーグのB1で戦うプロバスケットボールチーム。チーム名の由来は「太陽(リング)を揺らす激しいダンクを狙い撃つ集団」。2022年9月にセガサミーグループに加わった。今シーズンの成績は中地区4位。
- -シーズンお疲れ様でした。今シーズンを振り返っていただけますか?
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【ベンドラメ選手】
やはり1位になれなかったというのは悔しいです。もちろんプロ選手としてそこを目指していましたし、それが一番のモチベーションで臨んでいるので。ただ、悔しさの反面、優勝に向けてみんなでチャレンジしてきたプロセスはとても大事でしたし、いい経験だったのではないかと思います。

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【浜中HC】
チームとして決めた「天皇杯優勝」「シーズン優勝」「チャンピオンシップ優勝」の3冠を達成できず、最低ラインだったチャンピオンシップ進出に対しても結果が伴いませんでした。その責任を強く感じています。シーズンの途中にヘッドコーチが変更となり、選手たちも困惑していました。でもその中で選手は一生懸命、僕が体現しようとしていたバスケットボールや、バスケットボール人として大切にしていた「Try with your maximum」(100%でトライし続ける)の姿勢を表現してくれました。とても感謝しています。

- -2022-23シーズンからセガサミーグループの一員となりました。コートからご覧になって、どんな変化がありましたか?
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【べンドラメ選手】
やはりエンタメ性の部分です。開幕戦から本当にすごかったですし、そこに大きな可能性を感じたというか。演出面から選手を後押しする雰囲気を生み出してもらいました。そういった部分を選手として強く感じましたし、エンタテインメント×バスケットボールって、とても相性がいいんだなと思いました。

開幕戦では左からエイリやん、サンディー、ソニックがお出迎え

プロダンスチーム「セガサミールクス」によるパフォーマンス

開幕戦の演出の様子
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【浜中HC】
そうした演出面のこだわり、力の入れようがファンの方々にも伝わったのか、シーズン後半になるにつれホームゲームはチケット完売の試合が増え、自発的に声援を送ってくださる方も増えました。最終戦の川崎ブレイブサンダース戦では、アウェーゲームにもかかわらずサンロッカーズファンの方が「GO SUNROCKERS!」と試合中にたくさん言ってくださった。セガサミーグループの一員となって、プラスのエネルギーがさらに加わったと感じています。
- -ベンドラメ選手は4シーズン連続でキャプテンを務めましたが、リーダーとして大切にしてきたこと、また、今シーズンキャプテンや選手として成長できた部分を教えていただけますか?
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【べンドラメ選手】
僕がキャプテンになった時にチームには「キャプテンだから、特に何をするっていうつもりはない。チームの中でたくさんのリーダーができてほしい。一人一人がチームを引っ張るリーダーっていう意識を持って臨んでほしい」ということを伝えました。そういった意味では一人一人がちゃんと当事者意識をもって考えられるチームになってきたと思います。選手個人としてはシーズンを通してアシストの部分、仲間に点数を取らせるためのパスを今シーズンは意識していました。それで自分のオフェンスの中での選択肢が増えた。シーズンを通してそこがポイントガード*として一つ良かったと思っています。
*ポイントガード:バスケットボールのポジションの1つ。攻守でフォーメーションの指示を出しながら、パスの配給などの役割を担う「司令塔」。攻守で試合を読む力、チームを牽引するリーダーシップが求められる。

高い身体能力が持ち味のベンドラメ選手。積極的なドライブなどでも得点に絡んでいく

- -浜中さんはヘッドコーチとして初めてチームを率いました。アシスタントコーチとして立つコートと、ヘッドコーチとして立つコート、感覚は違いましたか?
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【浜中HC】
びっくりするほど違いました。
アシスタントコーチの時には「(自分がイメージしていた)ヘッドコーチが必要としていそうなこと」を踏まえて意見を言っていたつもりですが、やはり立場が様々なものをわからせてくれたというか・・・ヘッドコーチにならないと見えもしない、考えもできないことが、ものすごく多かったです。
試合は常に決断の連続。その決断の量、回数、それに伴う責任も含めて目の前の勝負だけを気にすればいいのではなくて、それに付随してくる様々な要素を考えなればいけないというところは想像以上でした。

- -セガサミーグループは『感動体験を創造し続ける~社会をもっと元気に、カラフルに。~』というミッション(存在意義)を掲げています。お二人にとって今シーズン、どんな感動体験がありましたか?
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【べンドラメ選手】
マスクをしての声出し応援が3月から解禁になったことです。
コロナ禍に無観客試合や声援無しの試合も経験してきたので、ファンの方の声がある、応援がある試合というのはプロ選手としてすごくコートの上で感動しましたし、試合の終盤、大事な場面でシュートを決めた時に会場が揺れる感覚などは「プロスポーツをやってきてよかった」と思う瞬間の1つなんです。自分のシュートで会場が沸いて、それを肌で感じてゾクゾクする・・・感動でした。


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【浜中HC】
1月の信州ブレイブウォリアーズ、三遠ネオフェニックス戦は国立代々木競技場第二体育館で、普段とは違うアリーナを利用させてもらいました。日本では「バスケットボールの聖地」と言われる場所で、特に三遠ネオフェニックス戦はオーバータイム*で結果が出た試合となり、ファンの皆さんが一体となった。試合後、コート中央でマイクを渡していただいて・・・小さい頃から代々木体育館の観客席でバスケを見てきた僕が、聖地の真ん中に立ってスポットライトを浴びたことは、すごく感慨深いものがありました。
ヘッドコーチになってから41試合指揮をとりました。毎日毎日が本当に学びであり、新鮮なものでした。よく「チームは生き物だ」と言われますが、本当にそうだなと感じています。安定して勝ち続けることはとても難しい。ただ、そこに対して挑戦し続けた僕自身やスタッフ、選手との一日一日は、いい未来に向かって手探りで進みながらも様々なことを創造できた日々でした。そんなことを肌で感じていけたこともよかったです。
*オーバータイム:第4クォーター終了時点で勝敗がつかなかった場合に適応される延長戦のこと。
1月21日の三遠ネオフェニックス戦は、103-93でサンロッカーズ渋谷が延長の末勝利した。


- -ファンの方にメッセージをお願いします。
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【べンドラメ選手】
今年はバスケットボールワールドカップ*もありますし、バスケがさらに盛り上がってきています。来シーズンもファンの方の声、アリーナの雰囲気作りはサンロッカーズが勝利するための一つのポイントだと思います。もちろん僕たちも皆さんの心を揺さぶるプレー、パフォーマンスをコートの上で発揮しますし、ファンの皆さんは一つ一つのプレーに気持ちを躍らせて、声を出して楽しんでもらい、声援を送ってもらえたらと思います。
*バスケットボールワールドカップ:4年に一度開催。今年はフィリピンをメイン会場に日本・インドネシアとの共催で開催予定。パリ2024オリンピック・バスケットボール競技の予選を兼ねている。
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【浜中HC】
エンタテインメントとバスケの掛け合わせでは、まさに色々な可能性が今後のサンロッカーズにあると思います。
勝ち負けにシビアになっていただくこともそうですが、バスケットボールという競技を一つのエンタテインメントとして今後も楽しんでいただけたら、一人のバスケットボール人としても嬉しいですし、それが今後の日本バスケットボール界を盛り上げるエネルギーになると思います。応援してくださいというよりは、応援されるようなチーム、組織を目指していきます。今後も温かく見守っていただき、そして、ご期待ください!

取材日:2023年5月10日