戦評・コラム
2023年度JABA東京都企業春季大会 | 5,6位決定戦
VS 東京ガス
場所:大田スタジアム
先発マウンドに上がったのは、古屋敷匠眞。齋藤裕昭マネージャーが「今シーズンは良いですよ。期待しているんです」と話す速球自慢の右腕だ。1回表は、先頭打者をセンターフライ、2番打者は最後にストレートを投げ込んで見逃し三振、3番打者はセカンドゴロに討ち取って三者凡退に抑えた。昨シーズンまでは、140キロ台後半に迫るストレートで押し切るピッチングスタイルだったが、今シーズンはマイナーチェンジ。ストレートの球速をやや落として制球重視のピッチング。変化球の精度もいい。安定感が一気に増した印象だ。
2回表は、四球と連打で一死満塁とされて犠飛で先制点を奪われたが、その後は再び安定感を取り戻すのだから、今シーズンの古屋敷は違う。3回表は、内野ゴロ2つと見逃し三振で無失点。4回表は、3つの外野フライで三者凡退。5回表は、2三振を奪う中で点を与えなかった。
6回表から登板した左腕の荘司宏太が、二死から四球で出塁を許して走者一塁。続く左打席に立つ6番打者に右越え2ラン本塁打を浴びて点差を広げられたのは痛い。それでも、雨脚が強まって30分ほどの中断を経て再開された7回表は、草海光貴が空振り三振を奪い、4番手で登板した氏家優悟が3連打で満塁とされたが、後続を討ち取って無失点。8回表は田中法彦が、9回表は石垣永悟がともに無失点に抑えて、打線の反撃を待った。
だが、今大会を象徴するように得点シーンが生まれない……。2回裏は、一死から5番高本康平がセンター前ヒット、6番宮川和人が四球をもぎ取り、8番北川智也がセンター前ヒットを放って満塁の好機を作った。3回裏は、二死から3番黒川貴章が技ありのセンター前ヒットでチャンスメイク。さらに4番根岸晃太郎が四球を選んで走者一、二塁と攻めた。4回裏は、7番中川智裕がレフト前ヒットと盗塁で得点圏に進む。5回裏には、一死から2番高島大輝がライト前ヒット。6回裏には、イニングの先頭となった4番根岸がライト前ヒット、さらに暴投で得点圏に進む。8回裏は、一死から3番黒川のライト前ヒット、4番根岸の死球でチャンスが広がった。得点機がなかったわけではない。ただ、勝負所での決定打が、どうしても生まれない。3点を追う9回裏は、7番中川、代打の8番片岡大和、そして途中出場の9番須田凌平が、3者連続三振に倒れてゲームセット。
10三振に9残塁。8安打を放つも長打はゼロ。先頭打者が出塁したのは、わずかに1イニングだけで無得点に終わった。
大会を通じては投手陣の安定感が見えたが、打線は3試合中2試合で零封負けしたように、終始、湿りがちだった印象は拭えない。
打線の奮起、得点力こそが、次なる大会での勝利のカギとなる。
文 : 佐々木 亨