戦評・コラム
2025年JABA東京都企業春季大会 3位、4位順位決定戦 vs NTT東日本
VS NTT東日本
場所:大田スタジアム
「90点はあげていい試合ですね」
西田真二監督がそう振り返るように、守備で粘り、少ないチャンスで得点し、この大会を3位で終えた。
この日の先発は武冨陸。今季、オーバースローから腕を下げサイドスローに近い位置から投じるようになった入社2年目の左腕だ。当初の狙いは上半身の動きを良くするためだったが、「思いのほか感覚が良かったので」と継続。球筋に角度が生まれ、130キロ台後半のストレートとキレのある変化球がコースに決まり、5回途中まで無失点。オープナー(本来中継ぎの投手が先発し序盤の短いイニングを抑える役割)としての起用だったが、それ以上の5回途中まで投げ無失点に抑えた。
さらに5回1死一、二塁から登板した草海光貴は、登板直後はNTT東日本の井上大成にライト前安打を打たれるが、右翼手・髙島大輝と二塁手・北川智也の流れるような連係で本塁を狙った二塁走者を刺し生還を許さず。さらにピンチは続いたが相手4番の石井巧をライトフライに抑えピンチを脱した。
5回まで今大会初先発の須田凌平が打った1安打のみに抑えられていた打線は6回に繋がる。先頭の植田匡哉がレフト前安打で出塁すると、神山福生の犠打、加藤巧也のセカンドゴロで三塁へ。このチャンスに前日から4番を任されていた黒川貴章がライト前に運んで、値千金の先制点を挙げた。
6回以降も草海の粘りの投球が続く。8回には中堅手の神山が俊足を飛ばして追いつきながらも落球し(記録は二塁打)無死二塁のピンチを招くが、ここで吉井憲治ヘッドコーチがマウンドへ。
「“なんとしてでも抑えろ”と言いました。ずっと主力として投げきた投手なので」と檄を飛ばされた草海は、続く内山京祐をショートゴロに。これを中川智裕が好判断で三塁に送り二塁走者を挟殺。さらに中村迅のセカンドゴロを片岡大和と中川のテンポ良い連係により併殺を奪い、相手打線に反撃をさせなかった。
そして8回裏。先頭の植田がレフトへの二塁打で出塁し神山が再び犠打を決めると、今度は3番の加藤が低めのスライダーを上手くライト前に運び、貴重なダメ押し点を奪取。最終回は長谷川優也が気迫あふれる投球で相手打線を寄せつけず、三者凡退で試合を締めた。
西田監督は「ダブルプレーが欲しいところで取れましたし、ミスが出てもバッテリーで我慢して抑えてくれました。打線も3、4番が打ってくれて、バントも決めることができました」と内容を高く評価。大会を通しても伊波友和、草海、長谷川と救援陣の好投も目立ち、終盤に勝負を決める戦いができたことは収穫だ。
また、6月から始まる都市対抗予選の前哨戦を2勝1敗の勝ち越しで終えることができたことは大きく、優勝すれば日本選手権の出場権を獲得できるJABA日立市長杯選抜野球大会(4月17日開幕)に向けても弾みがつく内容と結果になった。
文・写真:高木 遊(株式会社スポーツオフィスタカギ)





