戦評・コラム
わかさ生活 第73回JABA京都大会 予選リーグ vs 日本製鉄広畑
VS 日本製鉄広畑
場所:マイネットスタジアム皇子山
リーグ戦初戦の鬱憤を晴らすかのように、1番北川智也が右中間を深々と抜ける三塁打を放ったのは1回表だ。無死三塁と絶好のチャンスを掴むと、2番高島大輝のショートゴロの間に北川が悠々とホームを陥れる。わずか5球の先制シーンは、三塁側に陣取るチームに勢いをもたらした。
2回表は、5番中川智裕のライト前ヒットが口火となった。犠打で得点圏に走者を進めると、7番宮川和人の一、二塁間を抜けるタイムリーヒットが飛び出して追加点をもぎ取る。3回表は、イニングの先頭となった2番高島がライト前ヒット。3番黒川貴章のセカンドライナーで併殺を喫するが、二死から4番根岸晃太郎がレフトへ二塁打を放って攻めの姿勢を見せ続けた。先発マウンドに上がった古屋敷匠眞が、二死一、三塁から初ヒットとなるセンター前ヒットを浴びて1点を返されたのは3回裏。それでも、失点直後の4回表、6番須田凌平の三遊間ヒットを皮切りに9番植田匡哉のセンター前ヒットで3点目を挙げるのだから、試合の主導権は三塁側ベンチにあった。
「犠打もしっかりと決めて、ウチのペースだった」
西田真二監督は、4回表まで8安打2犠打と攻め続けた打線の勢いを感じていた。
だが、迎えた4回裏。先頭打者の強烈な打球が、マウンドに立つ古屋敷の右足を襲う。ピッチャー強襲の内野安打。打球の処理を焦った捕手・須田の一塁への悪送球も重なり、打者走者は一気に三塁へ進む。両肩を抱えられた古屋敷がベンチへ退き、そのまま降板を余儀なくされたのはその直後だ。急遽、2番手として登板した森井絃斗が一死三塁からショートゴロの間に1点を奪われ、引き寄せていたはずの良い流れが薄れていくようだった。
「もう少し投げたかった」
好投を続けていた古屋敷が悔しさを滲ませる。先発右腕の予期せぬ降板は、チームにとっても大きな痛手だった。
5回裏を三者凡退に抑えた横田哲が、4番打者にレフトスタンドへ飛び込む同点弾を浴びたのは6回裏だ。6回途中からは田中法彦が、7回裏からは舘和弥が何とか凌いで相手の得点を阻止したが、試合前半にあったチームの勢いは影を潜めた。8回表は、4番根岸の死球、6番須田と7番谷口嘉紀の連打で満塁のチャンスを掴むも無得点。無死一、二塁から始まるタイブレークとなった延長10回表は、4番根岸の犠打が相手ピッチャーの一塁悪送球を誘い、労せずして2得点。一時はリードを奪って勝利の二文字が見えたが、直後の10回裏、8回途中から好投を続けていた6番手の石垣永悟が5番打者に2点タイムリーヒットを浴び、最後はレフトへの犠飛で6点目を奪われてサヨナラでの敗戦を迎える。先発ピッチャーのアクシデントもありながら、主導権を奪い返せなかった試合展開。西田監督は言う。
「振り返ってみれば、試合前半は得点こそしていたものの1点ずつの攻撃。大きく点差を広げる展開にはならなかった。後半は「あと1本」が出ませんでしたね。とにかく、次の戦いに向けて備えていくしかない」
残すは、リーグ戦3試合目となるNTT西日本戦のみ。今こそチームが一つとなり、貪欲に勝利を目指すしかない。その積み重ねが、きっと大きなチーム力を生み出すはずだ。
文 : 佐々木 亨







