戦評・コラム
2025年JABA東京都企業春季大会 準決勝 vs JR東日本
VS JR東日本
場所:大田スタジアム
1回戦を劇的な逆転サヨナラ勝ちで突破したセガサミーだったが、準決勝ではJR東日本の4投手による継投と堅守の前に得点が奪えず悔しい敗戦となった。
「内容では勝てていたと思うのですが、いかに点を取るかですね」と悔しそうに西田真二監督が振り返るように、相手より2本上回る8安打を放ったが、要所であと一本が出なかった。
先発は田中法彦。初回を三者凡退に抑えるが、2回にJR東日本の4番でプロ注目の髙橋隆慶にセンター前安打と盗塁を許すと、6番の杉崎成に3ボールからの甘く入った球をレフト線へ運ばれて先制を許す。さらに4回には髙橋の鋭い打球に中堅手の神山福生が一度前に出てから後退しようとするが足を取られ三塁打に。その後は1死を取るも四球と盗塁で二、三塁とされると、篠田怜汰にセンター前安打を許し、2点を失った。
反撃したい打線は2回、3回、4回と得点圏に走者を進めるが得点を奪えず。5回には先頭打者の神山が四球で出塁し、続く植田匡哉が三遊間を破ろうとする打球を放つも、相手遊撃手の海﨑雄太と二塁手の福武修の流れるような連係で併殺に倒れるなど無得点。7回には2死から神山が左中間へ二塁打を放ってチャンスを作り、続く植田がレフト前に安打。「あれはいい打撃やった」と西田監督が称える一打ではあったが、本塁を狙った神山が間一髪アウト。際どい判定で西田監督は抗議するも判定は覆らず。
そして、8回と9回は相手二遊間の好守もあって走者を出すことができず完封負けとなった。
この結果、決勝進出はならず3位決定戦(3月22日正午から大田スタジアム)に回ることとなった。
それでも西田監督が「何かやってくれそうという雰囲気は出てきました」と話したように収穫もあった。8安打を放った打線に加え、前日に続き好投した入社7年目・伊波友和の多彩な変化球を駆使した投球が光った。
4回2死一、二塁から登板するとセカンドフライに抑えてピンチを脱すると、5回以降はテンポの良い投球で8回まで投げきり、出した走者は被安打1本と死球1個のみ。今季から「打者に対してギャップを与えるために」と脱力したフォームからキレのある球を投じられるよう取り組んでいるが、それが形となってきている。
伊波と長年バッテリーを組み、この日も途中出場でマスクを被った須田凌平も「落ち着きが出てきました」と評すように、投手陣最年長となった自覚も投球に良い影響を与えているようだ。須田は「伊波に繋げば大丈夫という存在になって欲しい」と期待しており、伊波も「若い投手が頑張ってくれているので、与えられた役割でしっかり仕事を果たしたいです」と意気込んでおり、貫禄ある投球に今後も期待していきたい。
そして、3位決定戦は翌日で落ち込んでいる暇はない。伊波も「負けてもすぐ次も試合があるのは都市対抗予選も同じ」と話すように、大一番を見据えても重要な試合だ。JABA東京スポニチ大会は1勝2敗で終わっただけに、今大会こそは勝ち越しで終えて、その後に弾みをつけたいところだ。
文・写真:高木 遊(株式会社スポーツオフィスタカギ)




